黄昏の月 五日(晴れ)
黄昏の月 五日(晴れ)
スリタが昨日よりも元気になっていた。
今日は傭兵組合さんからの注文の最後の一品、麻痺薬に取り掛かった。
魔法薬での麻痺薬は、魔法で体に束縛をかけるやり方を採る場合が多い。これであれば確認もしやすいし、誤使用しても体に影響は出ない。しかしちゃんと対象を捕らえられるのだ。
効果時間も思いのままになる。何年か前には、まる三日効果を持続させられた。外的要因で効果時間が妨げられる場合もあるけど。知識があれば、三日どころか数秒で簡単に解除できてしまう。
魔法薬であるのが利点であるのと同時に弱点でもあるのだ。
相手が獣であれば利点しか目立たない。というのは、毒と同じだ。
出来上がった麻痺薬を自分の体で試して、ちゃんと効果を確認できたら瓶に詰めていく。
瓶に入れる際に変質するなんて普通はありえないけど、稀にあるから一本ずつ確かめながらやる。
しっかりと封をしたら完成だ。
麻痺薬も終わり、傭兵組合さんからの注文は終了だ。明日からまた暇かもしれない毎日に戻る。
もし本当に暇だったら、スリタにちゃんとした餌を買ってやってもいいかもしれない。今は私の食事で余った野菜を齧っているだけだ。元気になってきたのだから、良いものを食べないと。
本当に元気になった。体力回復薬の影響だ。昨日の状態を思い出すと嘘みたいだ。本当によかった。