帰巣の月 二十二日(雨)
帰巣の月 二十二日(雨)
雨が続いている。でも私は元気です。
昨日、雨漏り用に魔法薬を購入した方がまたやってきた。いらっしゃったときは、うまくいかなかったのかと心配に思った。
実際は逆によく効きすぎたようだ。私の想定では水がグミ状まで固まるはずだった。試験したときも想定通りだった。でも、叩くとコンコン鳴るくらいまで、雨水が固まったそうだ。そこまで濃くしたつもりはなかったんだけど。
もしかしたら雨水だから、そうなったのかもしれない。屋根から染み込んで落ちてくるまでに何かしらの成分を含んで魔法薬がよく効いてしまったとか。
お客さんが、私が伝えたよりも多く、魔法薬を使ったからかもしれない。
とにかく石のようになった水は、とんでもない重さだったそうだ。
お客さんはその重さを運ぶいい方法を探しに来た。提示できる単純な魔法薬は、筋力を増すもの。それだけだと桶の底が抜けるかもしれないから、桶自体を強化する魔法薬も付けた。ちょっと安めに。
これでうまくいけばいいな。でも、たった一日だけで、そんなに多くの水が集まるなんて、どんな穴が屋根に空いているのだろう。そんなに雨量は無いと思うんだけど、私のお店付近と、お客さんの家では雨の降り方が違うのだろうか。