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帰巣の月 十八日(晴れ)
帰巣の月 十八日(晴れ)
今日は迷子になった。
いつも通り買い出しに行った帰り、気まぐれからいつも使わない道に入ったのだ。陽が丁度良く建物の隙間に入っていて、綺麗に見えてしまったから脇道にそれてしまったのかもしれない。
私がサンクシエカに来てから百何十日か経って、この街に慣れてきたつもりでいるけれど、まだまだ知らないことは沢山ある。今日入った横道がまさにそれだ。
知らない道は私を迷わせた。来た道を戻れば解決したけど、何となく迷いたい気分になって、前に進み続けた。
初めての公園に出た。斜めの土地にあって、三段に分かれた公園だった。一番下の段が広場で、二段目に池、一番上の段には散歩道と花壇が整っていた。
そこそこ急な坂の中腹にあって、最上段からは見晴らしがよかった。とても綺麗な場所だった。
ベンチで休んでいたおばあちゃんと話をしたり、赤雪ジャムの団子をもらって一休み。
見晴らしがいい場所で位置を把握できたので、そこからの帰りは簡単だった。初めての帰り道だったのに、道標の魔法薬も必要なかった。
お店を開くのが遅れたけど、とてもいい一日だった。