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帰巣の月 八日(晴れ)
帰巣の月 八日(晴れ)
久しぶりに明るい空を見たような気がする。
今日は氷菓子を作った。そんなちょっと変わった注文が入ったのだ。お店で販売しているお茶を凍らせて欲しいという注文だ。
私のお店には、そこまでの冷却ができる設備がない。だから、吸熱の魔法薬を作成して使った。
吸熱の魔法薬は、食料の保存にも便利だから、作り慣れている。しっかりとしたものを完成させて、お茶を凍らせて出した。
正直、割高だと思う。お茶代に、吸熱の魔法薬の代金もいただいた。魔法薬というだけで高いのに、ただお茶を凍らせて終わりにするのは勿体無い。
お客さんが満足していたからいいんだけど。
ただ一言、本当にいいのかくらいは聞いておくべきだったかもしれない。凍らせるだけなら、もっと安くていい方法があったんじゃないかな?