豊穣の月 十九日(晴れ)
豊穣の月 十九日(晴れ)
昨日、模擬演祭を見た感想は、魔法が簡単に発動されていて、とにかくそれに驚いたという一点だった。
今日はまた少し違った。
今日はおやつとお茶を用意してから出た。もちろんお弁当も用意した。私だからできる、ちょっとしたおまじないが込められている。
おまじないの材料が売っているお店は、カシュネには沢山ある。材料の用意は簡単だった。
昨日と同じく、ヒナオさんに先導されて、会場に乗り込む。昨日と同じく、ヒナオさんは券なしで入っていく。私も、実は券なしで入りました。すみません。
朝から夕方までいたから、多くの演目を見られた。
一番に行われたのは、人形の徒競走だった。魔法で人形を操って走らせる競技だったようだ。意義はよくわからなかった。見ていて可愛かったけど。
そんなこんなで昼過ぎ。私の特製のお弁当でお腹を豊かにした後だった。
宝探しが始まった。
場内に設置された特定の物を見つける。この宝探しの特徴は、宝に指定されている物も明かされていないことだ。
ヒントが散りばめられていて、何が宝物なのか、自分で推測しなければいけないのだ。
私はこの競技で驚いた。四番目の選手が精霊を生?製したからだ。
精霊を作る魔法は、特に気に入っている魔法だ。精霊の魔法は初歩の初歩。それなのに、実力主義な場で登場して驚いた。
もう一つ驚いたことがある。それは私が作れる精霊との差だった。
宝探しをしていた精霊は、動き自体が速かった。それも探知の魔法を使いながら、細かい場所に積極的に潜り込んでいた。
私の目では何が起きているのか、正確にはわからなかった。
だからヒナオさんに解説を求めたところ、やっぱりよくわからなかったけど、八つの効果が同時に発動していたみたいだ。模擬演祭のレベルでは、八つは精霊に意味を持たせられる最低限の数字だとか。
少し悔しさがあった。私は魔法は専門じゃないし、仕方がないのかもしれないけど、私の精霊は役立たずの部類になる。それがとても悔しかった。
私は精霊を出せる薬を作れる。それを拡張したい。これがまた難しいんだけど、今の私にはやる気が出ている。