121/378

豊穣の月　十三日（雨）

お祭り四日目に雨天が直撃した。小雨だったけど、影響があった。

表でやるイベントの半分近くが中止になったし、出店にも影響がでた。特に食品を売る店は何もできなくなった。

その影響で、私はほとんどフィアノさんの出店に居続けた。

フィアノさんの出店も無関係ではない。商品が濡れるだけで、価値が下がってしまう。当然、私の薬も例外じゃなかった。冷えるのは悪くないけど。

少し雨が降るだけで、人が外を歩かなくなる。講堂や劇場に集まっていたみたいだ。

そんなわけで、静かなお祭りになってしまった。雨音が静かだった分を補ってくれていた。

お祭りが静かなまま過ぎていくのは勿体無いけど、これはこれでいいと思う。フィアノさんの出店も、夕方前には閉められた。フィアノさんは、水滴が付いたら拭く作業を日没の時刻まで続けたくなかったみたいだ。

明日は出店の番の約束だ。私のお祭りはここまでになる。残念なような、楽しめたような。いろいろとあった気がする。食べたこともない美味しいものを食べたし、ヒナオさんとも再会した。フィアノさんともよく話したし。うん、十分かな。