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夕餉の月 七日(晴れ)
夕餉の月 七日(晴れ)
今日を開店の前日とする。
そのために、足りていない準備を進めた。
商品になる薬を用意して並べた。
手書きだけど看板も用意した。見栄えはイマイチだけど、ないよりはいいはずだ。明日になったら店先に立てかけておく。転けないようにフックをつけておいた。
掃除もした。今日はここに一番時間を掛けたかもしれない。おかげで汚れはない。
権利書や売上金が入ることになる硬い鍵の金庫は、持ち上げられないように床に埋め込んである。
釣り銭に用意した硬貨もちゃんとある。
足りないものがあるとしたら、それは知名度くらいのはずだ。
店先にお手製の張り紙をしているだけだから、ほとんどの人が私のお店を知らない。
もっと大々的に宣伝すればよかった。今よりは不安が和らいだかもしれない。そう思ったところで、今更どうしようもないけど。宣伝する許可が下りなかったと思い込んで、諦めるしかない。
とにかく明日だ。明日ついにお店を開く。楽しみな反面、恐ろしい。