豊穣の月 十日(晴れ)
豊穣の月 十日(晴れ)
ついに祭りがやってきた。祝福のように空も晴れ渡っている。
楽しい一日になると思っていたけど、商品がなくなるまで忙殺され続ける一日だった。
今日は街中のお店が閉まる代わりに、それ以上の数の出店が並んだ。私はフィアノさんの横に並んでいた。
いつもは入らないお店の品も目に入るから楽しい。
でも私は品を出す側だから、あまり歩き回れなかったんだけど。明日は、フィアノさんが出店を見ていてくれるそうだ。
私はお店と同じように薬を並べた。主に魔法薬が多い。魔法薬だから、どれも値が張るのだけど、飛ぶように売れていった。いつものお店での取引が、なんだったのかと思ってしまうくらい。
それだけお祭りには人がいた。
今日はまだ多くの出店を楽しむ日だった。どの出店も多忙で、一日中縛られっぱなしだった。
私の薬は五十本だけだったから、午後は遊びにまわれた。食べっぱなしだったけど。
黄色揚げという、卵で着色して揚げたパンみたいなお菓子は美味しくて三回は並んだ。
明日になればパレードが始まるらしい。守り神様が、街中の道を練り歩くそうだ。少しだけ、楽しみに思っている。