豊穣の月 九日(晴れ)
豊穣の月 九日(晴れ)
お祭りの前日になった。街全体が賑やかになっているのは気のせいじゃない。
今日はお祭りの準備を進めた。本当は今日を予備日にあけておけばよかったのだけど、昨日ゆっくりしすぎたから準備が終わっていなかった。
だから今日の午前中はずっと準備を進めた。薬を作ったり、運んだり。他のことはフィアノさんがやってくれている。
その間、ヒナオさんに店番をお願いした。
私のお店はお客さんが少ない。魔法薬は単価で稼ぐ。だからほとんど居てもらうだけになるかもしれないと思っていた。みんなお祭りの前日で忙しいだろうし。
そんな日に限ってお客さんが多かったりする。いつもの三倍くらいのお客さんが来たようだ。ヒナオさんはてんやわんやで苦戦したらしい。
悪いことをしちゃったかもと思ったけど、ヒナオさんは楽しんでくれたみたいだった。
ヒナオさんは初めての店番だったそうだ。それなのに、全く間違えず、しっかりやってくれた。私より、お客さんの対応が上手なんじゃないかな。
しかし今日は本当に助かった。またお店で魔法薬を精製するなんてことにならなくてよかった。本当に助かった。我が家に欲しいくらいだ。
ヒナオさんには何か特別にお礼をしないと。私には薬くらいしかあげられるものがない。ヒナオさんが街を出る前に、適したものを考えて用意しよう。
そんなこんなで、お昼前には準備を終えられた。あとは明日を待つだけだ。どうなることやら。実に楽しみだ。