豊穣の月 四日(晴れ)
豊穣の月 四日(晴れ)
お祭りが近づく中でも、お店を忘れてはいけない。
今日の夕方に、服を作る魔法薬の依頼をした方が来た。出来上がっているかどうかの確認だった。
服を作る魔法薬は作ろうとしたけど、まだ着手すらできていない。必須になる材料の『天使の毛髪』がないからだ。
もう少し待ってもらえないかと話をしたところ、承諾してもらえた。無表情だったから、もしかしたら内心怒っていたかもしれない。そう思うと、申し訳ない。
もらえた時間は長い。私が天使の毛髪を見つけられると確信できるくらいの日数をもらえた。具体的にはお祭りが終わってから十日以内だ。
これだけの日数があれば、カシュネに行って帰ってこられる。カシュネには、希少で人気のない材料でも扱っているお店がある。そのお店では天使の毛髪は、希少でもない。そんなお店が何店舗もある。首都だからできる充実具合だった。
天使の毛髪に関する懸念が減って、お祭りに集中しやすくなった。あと六日で始まる。それまでに、販売する薬の数と種類が揃うように作業を進めていく。
今日は数を増やすことに注力した。昨日の三種類の魔法薬を複製し続けた。
昨日と合わせて、三種類がそれぞれ二十本ずつできた。合計で六十本。本数だけなら、一日目を戦えるだけの本数だ。いくらか売れ残ると考えると、二日目もいけるかもしれない。
あとは、もう少しこの三種類を増やして、他の魔法薬が数種類ほしい。使いたいと思える、遊びがある魔法薬を増やしたい。
最近遊んでいた、精霊生成薬で何かできないかと考えている。
変身薬も面白い。私が使っていた、獣の耳が生える薬は、好きな人がいそうだ。
後は香水とか、強壮剤――はあまり面白くはないかな。
私のお店といえば、香水みたいなところがあるから、香水は必須かもしれない。安めで一回使い切り。香りは日替わりにしたら、興味を持ってもらえそうだ。