豊穣の月 三日(雨)
豊穣の月 三日(雨)
二日続いた雨。夕方にはやんだけれど。
今日は主に、薬の作成に力を注いだ。棚の充実化と、お祭りに出す用だ。
棚に並べる用は、いつもの薬と副産物系のもの。なるべく一度に大量に作れるものを優先した。
今日の初めは、お湯に葉を浸してお茶を作る作業からだった。いい香りが充満してくれたおかげで、やる気が湧いたものだ。
お祭りに出す魔法薬も用意しなければいけない。
相互薬という魔法薬の種類がある。二つないし、三つ四つか、それ以上の独立した魔法薬同士をつないで、影響させあう魔法薬を指す。
お祭り用の魔法薬、一種類目は、その相互薬で作った。迷子対策の薬だ。
その効果は単純なもので、二人がそれぞれ薬を飲むと、お互いの位置がわかるというものだ。効果時間は半日に調整した。お祭りを楽しむ時間くらいは、十分に被える長さのはず。
二種類目は、私もたまに使っている、沢山食べられるようになる薬だ。ダイエット用に開発した。
この薬は、食べたものをお腹の中で消してくれる。ちゃんと説明しようとすれば、お腹に溜まった魔法薬に触れた食べ物を変化させて……自分の日記に説明を書いても仕方がないので割愛。
三種類目は、落とし物に気づける薬にした。所持品を何か落とすと、すぐに反応できるというもの。まるで背中や地面に目があるような気分になれる。
この薬を飲んでおけば、一日は落とし物をせずに済む。副次効果として、スリに気づけるようにもなります。
お祭りなら人混みもあるはず。この薬は役に立つに違いない。
この三種類をフィアノさんへ持っていった。置いても大丈夫かの確認だった。
全く問題ないそうだ。私は魔法薬の販売免許を持っているから、魔法薬に関しては確認は一切不要ということだった。それどころか、当日になって出す薬を変えても良いらしい。免許があれば、街も口出ししてこないそうだ。
お祭り用に作った三種類の薬をフィアノさんに見せた。反応はとても良かった。よく売れるはずだと高評価をもらった。
私も、この三種類はお祭りにぴったりだと思う。だからこそ作ったんだけど。
実際のところはどうなるのだろうか。売れてくれればいいけど、うまくいくと確信したときに限って逆の結果になったりする。良くないイメージはここまでにしよう。
とにかく、お祭りまでに数と種類を揃えなくては。フィアノさんからは、一日につき瓶五十本くらいの隙間をもらっている。今の数ではとても足りない。増やさなくては。