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星羅の月 二十四日(晴れ)
星羅の月 二十四日(晴れ)
目的を得られずに帰路をゆく。いい天気で素晴らしい陽気だったけど、行きほど道中を楽しめなかった。
帰りながら材料になる植物を集めている。意識は天使の毛髪に向かってばかりだった。
天使の毛髪がなければ、服を生成する魔法薬は作れない。作れないとして、諦めるしかないのだろうか。
ちょっとそれは悔しい。
魔法薬を作れますと顔を作っておいて、難しい注文がきたら駄目ですと言うのは、格好悪いと思う。そうなりたくない。
今回は、天使の毛髪を諦めるしかない。しかし、別の方法で入手できないか確かめてみるつもりでいる。最悪、カシュネまで遠出して、国内最大の城下市場で買うしかないかもしれない。
これは本当に最終手段だ。特に今はこれ以上は遠出をしたくないと思っている。遠出をしたら、フィアノさんから誘われたお祭りに参加しそこねるかもしれない。