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星羅の月 二十一日(晴れ)

星羅の月 二十一日(晴れ)


街から近いうちは、見通しがいい平地が続いている。その平地を今朝、超えた。


管理が疎かになっているのか、街道も薄くなっていた。

起伏が増えて、思うように進めなくなってきている。魔法薬で体力の増強をしているから、ずっと歩いていられるけど、やっぱり上り坂はちょっと辛い。運動不足が祟っている。部屋に籠もって薬を作るだけじゃなくて、適度な運動に気を使おう。


サンクシエカは本当に薬屋が弱いと痛感させられた。少し街から離れただけで、いい材料になる草花を散見した。きっと知識がある人が少ないのだ。カシュネ付近にあったらどれも根こそぎ採られているはず。荷物に余裕があったら、帰りにでも集めたい。


街から遠ざかると動物をよく見るようになった。しかしまだ危険な動物とは会っていない。

同行者のエノコアさんが、ただの話し相手だ。それでも私にとってはありがたかった。そこらじゅうに生えている薬草の話をしたり、私の魔法についてアドバイスをもらったり。

エノコアさんが言うには、私はあまり魔法の才能がないらしい。普通よりはちょい下だそうだ。社交辞令が混ざっているかどうかは不明。


それにしても、起伏があると景色がいい。エノコアさんと一緒に感嘆の息を漏らしてばかりだった。

開けた視界はいろいろ見せてくれる。上下する山の輪郭。真っ白な雲の群れ。夜になれば、小さな明かりが視界一杯に並んだ。

遠くに小さく街が見えたけど、あれはペトルカだろうか。ガーハルも怪しい。ガーハルはもう少し東かな?


町中では決して見られない景色に、ため息ばかりだった気がする。本来の目的を忘れてしまいそうなくらい、堪能している。

天使の毛髪が見つからなくても、残念には思わないかもしれない。他に得られるものが多すぎるのだ。綺麗な景色もそうだけど、新しい友達とか。


エノコアさんはお肉が好きみたいだ。でも持っていないから我慢してもらう。夕飯は温かいスープだけだ。具は多めにした。食べられる植物がそこらじゅうに生えていたからね。明日の食事は、エノコアさんが作ってくれるそうだ。楽しみでしょうがない。

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