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エピローグ (第1章完結)

ゴブリンの集団を壊滅させた私達は魔石の回収を少しだけした後、地下倉庫をハンナちゃんをおんぶしながら街へ歩いて戻って行った。


夕方に街を出たはずなのに月が西の彼方に見え辺りはもう少し明るくなり初めていた。


「それにしてもマリーレ強かったねー。ゴブリンキングをあんなに簡単に倒すなんて。」


「まぁあれくらいの敵だったら私じゃなくてもネモかネロどちらかだけでも勝てると思うけど?」


「いやいや、多分無理な気がしかしないんだけど……」


そんな話をしていると、私が背負っているハンナちゃんが少しもぞもぞと動いた。


「…う……こ……こは…」


「起きたようだねハンナちゃん。」


ハンナちゃんは薄目を明けながら私の顔を見た。


「マリーレさん!」


ハンナちゃんは私の背中から降りて、驚いた様子で辺りを見渡した。


「あなたが外に出たって聞いて助けに来たのよ。

あと森の中で見つけた子供達は多分救助されたと思うから安心して。」


ハンナちゃんはそれを聞くと、「はぁぁ、よかった。」と安堵の息を漏らした。


「それじゃあブーナンの街に帰還するわよ!」
















「お姉ちゃんッ!」


カンナちゃんがそう叫ぶように言った。


「ハンナ!」


「ハンナお姉ちゃん!」


「ハンナさん!」


街に着いた私達は今度はちゃんと門から入って来た。


ちなみにその際に門番の人に大目玉を食らったが……


そして門を入ってすぐの所にはおそらくハンナちゃんの帰還を待っていたんであろうハンナちゃんの両親、友人、助けられた少年達、そして妹のカンナちゃんがいた。


「みんな………ありがとう……」


ハンナちゃんは涙を流しながらそう呟くようにそう言った。


「全く!心配させやがって!全く……」


ハンナちゃんのお父さんが目を潤わせながらぶっきらぼうにハンナちゃんに言った。


それから集まった人達はハンナちゃんに思い思い話始めてたので私達は宿に戻るために歩き出した。


「傭兵のお姉ちゃん!どこ行くの?!」


だがカンナちゃんが大声でそう聞いてきた。


「…特別親しい関係でもない私達は別に居なくても良いし、私達は疲れたから宿に帰って休みたいからね。」水を差すだろうし。


私はそう言うとネモとネロを引き連れて急いで宿に戻ろうとしたが


「傭兵さん!どこに行くんだい!」


「宿に戻ろうと……」


私がそう言ったとたんハンナちゃんのお父さんは私の腕を捕まれて


「いや!大事な娘を救ってもらったお礼がまだできていない!せめて何かお礼をさせてくれ!」


「いや……大丈夫で……」


「それでは俺の気がすまない!お礼をさせてくれ!」


「そうです……大切な娘を助けていただいたのです!どうかお礼をさせてください!」


私達はその気迫に押されて、なし崩しに宿でハンナちゃん生還祝いのようなパーティーに参加する事になり結果、昼間まで食事や会話を楽しみその後部屋に戻り休むことにした。

















「……マリーレさん、他の街に行くんですか……」


ハンナちゃんを救出した数日後私達はこの世界を旅したいという私の願いからこの街を出ることにした。


その支度中に1人で買い物をしているとハンナちゃんに会い、話がしたいと言われて私とハンナちゃんは今、ベンチがある街の広場で座っていた。


「もともとこの街に滞在した理由は路銀稼ぎと世界を巡る旅、そして傭兵になるためだったからね。」


私がそう言うとハンナちゃんはいきなり私に抱き付いてきた。


「…わっ……どうしたの?……」


「マリーレさん……私も着いて行ってはいけないですか?……」


ハンナちゃんら上目遣いでそう聞いてきた。


「……それは出来ないよ……」


「なんでですか!確かに私は足手まといかもしれませんが料理や雑用係として……」


「いい加減にして!」


私はハンナちゃんの頬を軽く叩いた。


まぁ軽くと言っても、ハンナちゃんからしたら相当痛いであろう。


「私……いや私達は肉親なんていないの。

でも、あなたは大切な両親や妹がいるし、お金に困っているわけでもないしまだ一人立ちする年でもない。

そして何よりあなたは残される家族の事を考えていない。」


私がそう言うとハンナちゃんはさっきまでの勢いがなくなった。


「ハンナちゃん。あなたはまだ子供だし、私達の旅は何が起こるか解らないし、明日の太陽を見る事が出来ないかもしれない危険な旅になるの。」


「……」


「でもちゃんと成人して両親の許可が出た時、私達についてきなさい。

解ったわね。」


「はいっ!」


ハンナちゃんの表情はさっきよりも明るくなった。















そして次の日、私達はハンナちゃんやその両親、カンナちゃんに見送られながら次の街目指して歩き出した。






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