準備そのに
翌朝、俺の朝はまたこのメイドから始まる。お洋服です。それと旦那様が中庭でお待ちです。そういって部屋から出ていく。
中庭に着くと孤児院で見た格好のロベルトと昨日と同じローブ姿のクオリアが並んで立っていた。
「ユーリ、今日は俺は城に行かなきゃならない。面倒はクオリアが見てくれることになっている。なんだ、まぁ頑張れ。」
ロベルトが行ってしまった後。
「ロベルトは君にすごい期待してたんだね!少し落胆が見える。でも君の親になったからには道を示してやろうとしてるみたいだね。昨日武官は無理でも、あいつなら文官でもいけるはずだっていってたしね。」
クオリアは俺のことを見て。
「んで、君はどうするの??」
俺は少し不適な笑みを浮かべる
俺は、地面に左手を付ける。そして魔力を放出、
「凍れ」
自分の背丈くらいの氷板を生成する。厚さは30センチ前後。氷板越しにクオリアの驚愕の顔が見える。がまだ終わらない。
「おぉらぁぁぁっ!!」
魔力を筋肉に、皮膚に通し強化した肉体で氷板を全力でぶん殴る。踏ん張った右足の下の地面はえぐれ、体重をのせて力を受けきった左足の下の地面は凹む。
拳は魔術で作った氷板を完全に砕く。砕けた氷はそれなりの大きさのまま前方にショットガンの玉のようにすごいスピードで飛んでいく。
当然クオリアの方にも飛んでいくが魔術の防御によって防がれる。しかし何個か当たり顔が歪んでいた。俺はどうだとばかりにどや顔をしてやる。
「ユーリ、君ってやつは少し話しと違うようだな。ロベルトからは教養が垣間見えると聞いていたが勘違いだったんじゃないか?」
ん?精神年齢だけなら俺はそれなりのはずなんだが?
「周りを見てみろ」
クオリアに促され周りを見回すと、屋敷の壁に空いた穴、屋敷の巡りにある壁にもめり込んでいるし、極めつけは中庭にあった気に穴が開いている上になんかメキメキと嫌な音が...。
ズドン!!
倒れた.......。
屋敷の1番大きな穴からはメイドが白い目で俺を見ていた。
「いいかい?魔術の行使って言うのは、もっと安全を確認して放出する魔力量を覚えていくもんなんだ。君の前にいたのは危険人物でもましてやここは戦闘区域でもない。もう少し考えてから行動しなさい。なんなんだよあの顔は、あのふんって顔!ふんって顔!」
「ごめんなさい」
魔術のお披露目のあと俺は起こられていた。冷静になってみると相当バカなことをしたのが分かる。中庭に横たわる木だけでもやりすぎだった。
「まぁ、お説教はこのくらいにして。魔術は使えるようになったんだね!おねぇさんは嬉しいよ!それでそれでどうやったのさ?」
俺は昨日の夜のことを話す。
「そうかぁ、聖恨がねぇ、それで氷板をぶっ叩いたあの力はまさか自前ですなんて言わないよね?」
「あれは何て言うんでしょ?身体強化ってやつですかね。体の中の筋肉や骨なんかに魔力を定着させるんですよ。そうするとあんなバカみたいな力が出せました。最初は火傷したらと思いながらやったんですよね。」
「でもやってみたんだ?なんで?」
「いや、出来ると思ったんですよ。こんなことでは終わらない。何か可能性があるはずだって色々考えました。」
「可能性か、ユーリは自分を信じてるんだね。」
「はい!俺は世界最強になる特別ですから!」
クオリアは唖然となる。
「ロベルトから最強の話は聞いてるけどそれは本気だったんだ。最強は遠いよ?さっきの攻撃なんか無視しながらでも進んでこれるやつなんか一杯いるし。」
「そいつらより強くしてくれるんでしょう?師匠が。」
クオリアは苦笑い。ああ、してやるよと。
そこから1日越しの訓練が始まった。
魔力量は増えない、魔力量が増えないと言うことは明らかに相手より魔力量が多ければ状況にもよるが絶対に負けない方法がある。放出量だ。
相手が放出できない量の放出量で魔術を行使する。防御魔術も放出した分しか定着できないためだそうだ。
ちなみに魔術の行使による影響速度も影響力にもよるが放出した魔力量に依存するそうだ。
現実に戻る。
「うおぉぉぉぉ。」
「声だしても何もかわらないってばっ。」
「めざめろー、おれのなかのなにかー」
「そんなことでめざめないってばっ」
放出量の強化はあまり快調には増えていなかった。
「そもそもね。放出量の強化ってのはすぐにはできないの!徐々にってちょっとずつ広げるように増やしていくものなんだよ!」
ずっとこんな感じである。
直に夕暮れになり、ロベルトが帰ってくる。
「これは?」
ロベルトが見たものは中庭に立っている氷板の山と無惨にも倒れた庭の木、それと穴の空いた屋敷だった。
ロベルトが帰ってきてからユーリは山のようになった氷板を消していき、クオリアが状況を説明する。
「そうだったのか。ユーリお前には武官をと考えていたが杞憂だったようだな。明日は午前中は城に上がらねばならんが午後からは暇がある。お前の武器を買いにいこう。」