もやもやした二週間
「ねえ、水川さん、どこから通ってるの?」
「あたしは横浜だよ。東横線の日吉駅の近く」
中学に入学して三日目。ようやくクラスメートと話すようになっていた。
「ただいまー」
「おかえりなさい」
夏実は帰ってくるなり、ソファに座り込んだ。
「はあ~、疲れた」
「電車通学も大変でしょ」
「うん、まだ慣れてない」
夏実は制服のネクタイを緩めた。
「ねえ、パパは大丈夫なの?」
「もうちょっと安静みたいよ」
「そっか」
「まあ、焦って調整して打たれても困るしね」
雪子は夕飯の支度を進めていた。
「ただいまー」
「おかえりなさい」
「今日はパパどうだったの?」
大輔も夏実同様に聞いてきた。
「まだだって。あと一週間は、かかるみたい」
「えっ、そんなにかかるの!?」
大輔は目を丸くした。
「だいぶストレスを抱えてたみたい」
「体って大事だね」
大輔は冷蔵庫を開けて、スポーツドリンクを飲んでいた。
「仕方ない。しばらくマイナーで調整してもらう」
せっかく開幕メジャーを勝ち取ったが、マイナー落ちすることが決まった。俺は少し落ち込んだが、監督からは必要な戦力だと言われた。しかも、投手陣は早くも壊滅状態で入れ替えを検討しているようだ。とにかく焦らず調整できることがラッキーだと前向きに捉えるようにした。




