入学式2
「えー、実は担任は初めてで…」
男性教師は、かなり緊張しながら自己紹介をしていた。その後、配られた資料を丁寧に読み進んでいた。雪子はプリントも見つつ、携帯電話で試合中継を見ていた。
「今日はこれで終わりとなります。明日からは、八時半までに教室に入るようにしてください」
担任教師がそう言うと、流れ解散となった。
「ねえ、どうなった?」
夏実はすぐに雪子に寄ってきた。
「さらにすごいことになってるわ」
スコアを見て、夏実は仰天した。
「0-22」
「そうなのよ。もう信じられないスコアよ」
「やっぱり、新規球団は厳しいのかな」
「ほとんどが他球団を戦力外になったりした選手ばかりみたいだし」
そんな会話しているうちに夏実は、はっとした。
「それで投げたの?」
「それがまだ」
「えっ、まだなの」
雪子はスコア情報の画面にして夏実に見せた。
先発が4回までに11失点。5回以降、リリーフ投手が出てきたが打たれていた。5回に3点、6回に4点、7回に2点、8回に2点。
「毎回得点じゃん」
「しかも、ヒットのところを見て」
雪子の指示で夏実は画面に映されているスコアボードを見た。
「まだヒットがない」
「しかもランナーすら出てない」
「とんでもない試合になってる」
夏実も雪子も一方的な試合結果に衝撃を受けていた。




