表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最後の挑戦  作者: 石井桃太郎
メジャー開幕
67/73

入学式

「ねえ、夏実」

「なあに?ママ」

「本当に桜女子蹴ってよかったの?」

「何よ、いまさら」

 二人は駅の改札を出た。


「あれだけ行きたいって言ってたのに、まさか第二希望の学校にするなんて」

 雪子が聞くと、夏実は少し考えてから答えた。

「元々、塾の先生にも難しいって言われたし、受かったのもたまたま。それに…」

「それに?」

「ううん、なんでもない」

 とても天気がよく、学校まで通学路の並木は桜が満開。

 今日は夏実の入学式。二人は校門をくぐった。


 雪子は体育館後方の保護者席に座り、すぐにカバンの中からすぐに携帯電話を取り出した。

 慣れない手つきで、動画サイトにアクセス。もちろん見るのは野球中継。

「保護者のみなさま」

 突然のマイクに雪子は不意を突かれ、体がびくっとした。

「あと五分ほどで入学式が始まりますので、携帯電話は電源を切るかマナーモードにしてください」

 雪子は試合の様子が気になりながらも携帯電話をカバンの中に入れた。


 入学式は一時間ほどで終わり、雪子は夏実の教室へ向かった。

「あっ、来た」

 夏実は雪子を見つけると、すぐに手招きした。


「今、どうなってるの?」

 雪子は携帯電話を取り出した。

「今日はすごいことになってるわね」

 夏実はスコアを見て仰天した。


「0-17」

「しっ、夏実、ちょっと声が大きいわよ」

「あっ、ごめん」

 夏実は手で口を押えた。まわりを見ると、何人かがちらっと見てきたのが分かった。


「それで、もう投げたの?」

 夏実は小さい声で聞いた。

「それがまだなのよ。この展開なのに不思議よね」

 日本ではビハインドで投げていることが多く、雪子もまだかと思っていた。


「みなさん、席についてください」

 担任の男性教師が教室に入ると、すぐに教室が静かになった。

 雪子は配られた資料に目を通しつつ、周囲にバレないように試合中継を見ていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ