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最後の挑戦  作者: 石井桃太郎
開幕
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開幕戦

「いよいよ、始まったわね」

 子どもたち3人は、テレビに釘付けになった。


「水川さんのところは、よく見るの?」

「うん、うちは夏実が好きでね。あの子、旦那がいつ投げるか予想しながら見てるのよ。最近は試合展開も当たるようになってきてるし、あたしもびっくりよ」

 しかも、夏実は誰が1軍に上がったり、2軍に落ちたりするかも予想しながら見ていた。

「へえ、そうなんだ。うちは旦那が先発するときしか見てなくてね。去年なんて1軍にいないから、全く見てなくて」

「えっ、そうなの。見た方がいいわよ。アドバイスもできるし」

「そうね、旦那のユニフォーム姿、また見れるしね」


 試合は予想通り、1点差勝負になり白熱の展開になった。

4回表、川崎がソロホームランで先制。6回裏、大阪タイガースが同点に追いついた。

お互いのエースが7回1失点と好投し、8回から継投に入った。そして、延長戦に突入。


「なかなか点が入らないわね」

「開幕戦から、こんなに長い試合になるなんてね」

 雪子は時計を見た。すでに10時半を過ぎていた。


「夏実、寝たらどうなの?」

「いやー、いい試合だから最後まで見る」

「春休みだからって、無理しない程度にしなさいよ」

「うん、分かってる」

 夏実はテレビを見ながら返事をした。


「リリーフって、いつ出るか分からないから大変ね。うちは今日、出番あるかな」

 愛は言った。久々の1軍ということで喜んでいたが、出番があるとは限らない。だから、出るなら早く出てほしいとモヤモヤしていた。

「まあね。でも、うちは慣れたわ。少しワクワクしながら見れるのよ。たまにブルペン映るでしょ。そこで投げてれば、もうすぐ登板かなって」

「でも、投げないときもあるのよね?」

「うん、そういうときは、少し凹む」

「やっぱり、先発じゃないと見てて面白くないかも。うちの旦那、ずっと先発にこだわってたのに」


 島本は甲子園ベスト8という実績を残して高卒で入団した。

ドラフト2位と評価も高く、将来の先発候補でじっくり育てられた。

3年目で1軍に初昇格。4年目で初の2ケタ勝利をあげ、以降はローテ入りしていた。

ところが31歳で左ひじを手術し、1年間リハビリ。

その後、先発復帰を目指すも若手への切り替えもあり、リリーフへ配置転換。

試合は12回表まで進んでいた。

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