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最後の挑戦  作者: 石井桃太郎
夢のつづき
46/73

厳しい宣告

 ようやくメジャーの雰囲気に慣れてきた。

なんて思うこともあるけど、実際は必死。

とにかく若い選手もハングリー精神が強い。

生き残りをかけたサバイバルゲームは、今も続いている。


 4試合目のマウンドに、俺は立っていた。

6回から1イニングを予定。相手はマイナー中心だけど、メジャーの選手も出てきた。

ボールの縫い目を見ながら、ストレートを握る。


 日本ではわりと捕手任せにしていた配球も、こっちに来てからは自分で考えるようになった。

メジャーでは投手主体で、投手が投げたい球を投げることが多いからだ。

おかげで自分自身、この歳なのに成長しているような気がしていた。


 1アウトからヒットでランナーを出したが・・・

内野ゴロを打たせ、ダブルプレー。この日も無失点で切り抜けた。



 開幕2週間前、2次カットが発表された。

 今回は自信を持っていた。リストの中には、もちろん自分の名前はない。

 少し安心していると、急に投手コーチと監督に呼ばれた。

「ちょっと部屋まで来てくれないか?」

 一瞬、ドキっとした。俺はおそるおそる部屋に入った。


「残りは2枠だ。それを5人で争うことになる」

 いきなり投手コーチが切り出してきた。続けて監督が言う。

「やるからには優勝は狙う。でも、まだチームの基礎を作っている段階。申し訳ないが、ベテランの選手は多く残せない。少し劣っていても成長の見込める若い選手を使う」


 まだまだ英語に慣れてないが、なんとなくチームの方針は分かった。

マイナーでも、同じように成長の見込める若い選手の方を使うと言われた。

もし、マイナーになった場合、メジャーに上がれない可能性もあると説明された。

やはり、年齢はメジャーでもネック。俺は腹をくくった。


 メジャーに残れなければ、そこで終わり。


 最初は1年というつもりだったが、そんなことは言ってられない。

家族も心配だし、先がなければやっていても仕方ない。

自分にとって、本当の最後の挑戦を迎えた。

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