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最後の挑戦  作者: 石井桃太郎
夢のつづき
41/73

厳しい判定

「今日は、4回から1イニングで」

 そうコーチから言われた。日本と同じように誰が何回に投げるか決まっていた。

 しかし、球数制限があり、どんなに多くても30球以内。

 メジャーでは、肩は消耗品と捉えられているので、日本よりも大事にしてくれそうだ。

 でも、投げ込みが少ないので、不安を感じていた。


「よしっ、言って来い」

 予定通り、4回からマウンドに上がった。

 1回、2回は、FAで加入した左腕・ゴールドマンが投げた。

 昨季、13勝をあげている。新しいチームのエースで、早くも開幕投手に内定。

 3回は若手の中南米の選手が投げ、2人とも無失点。


 俺はいつものように緊張をしていた。

相手打者のデータが、ほとんどない。だから、どちらかというと、力勝負。

マイナー選手らしいので、抑える自信はある。

でも、初登板は何が起きるか分からない。何年経っても緊張するものだ。



 相手バッターが打席に入る。よし、投げるぞ。

俺はストレートを外角低めに狙って投げた。

ボールがキャッチャーミットに吸い込まれる。

いいとこに決まったが・・・


 審判は、ボールの判定。

続いて少し内側に投げる・・・しかし、ボール。

今度は内角に投げる・・・またボール。

バットを振らせようと、フォークを投げた。ワンバウンドになり、明らかなボールとなった。


 いきなり、先頭打者にフォアボールを出してしまった。

ベンチを見る。監督、コーチは腕組みをしたまま立っていた。

すかさず、キャッチャーがマウンドに来てくれた。


「あの審判、日本人の判定に厳しいらしい」

「えっ、そんなことあるの?」

「ああ、日本人が好きじゃないらしい」


 メジャーは、いろいろな国の人間が集まっている。

みんな温かいと思っていたが、やはり中にはそういう差別をする人がいる。

自分は忘れていた。ここでは、外国人扱いなんだ。



 そのあとも、審判の厳しい判定が続いた。

続くバッターも、2ボールの後に真ん中低めに変化球を入れた。

ようやく“ストライク”のコール。

しかし、そのあともボールとされ、ノーアウト1塁、2塁。

たまらず、コーチがマウンドにやってきた。


「仕方ない、力勝負で打ち取れ」と言っているようだ。

 コーチも頭に血がのぼっていて、何を言ってるか分からない。

 しかも、英語で早口。言葉の壁はつらい。



 球場もにわかに騒がしくなってきた。

そんな中、4番バッターが打席に入ってきた。

かなり大きいが、スイングを見る限り荒そうだ。しかも、初球打ちを狙っている。


 俺は腹をくくった。

「頼む、打ち損じてくれ」

 そう思いながら、内角をえぐるシュートを投げた。

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