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最後の挑戦  作者: 石井桃太郎
戦力外通告
4/73

久々のアピール

 暑い日差しの中、試合が始まった。

初回に、北田が先制タイムリーを放った。北田は3つ上のベテラン選手である。

さらに点数が入り、5回で6−1とリードしていた。


 俺は登板に備えて肩を作った。まず、4回にコーチに呼ばれ、プルペンで作り始めた。

けれど、先発投手が抑えていたので、登板はなかった。

隣では、島本が6回から作り始めた。そして、先に呼ばれたのは・・・


“ピッチャー 島本”


 球場にアナウンスされた。ワーといった歓声は全くない。

なぜなら、ここは2軍だからだ。試合を見に来る観客は全くない。

ベテランの北田を見に来た記者が数名いるから、いつもより多かった。



「よーし、行ってこい」

 コーチにそう言われ、島本はマウンドに向かった。

 先発投手が6回に2点を取られたので、6−3になっていた。

 予定では、2イニングらしい。その島本は、7、8回を6人で抑えてきた。


 その間に、俺はもう一度、肩を作るように言われた。

このように、1試合で2度作ることは日常茶飯事。しかも、登板がないこともある。

最近でこそ注目されるようになったが、なかなか目立たないポジションである。

だから、中継ぎ投手は、しんどいポジションなのである。

でも、今日は必ずあるということが分かっていたので、少しだけ楽な気持ちだった。



「最後、たのんだぞ」

 コーチからハッパをかけられ、マウンドに向かった。

 久々の登板なので、胸がドキドキしていた。しかも、2軍戦とはいえ、セーブのつく場面である。

 こんな場面で登板したのは、いつ以来になるのだろうか?


「水川さん、落ち着いて投げれば大丈夫ですよ」

 そう声をかけてくれたのは、捕手の白井だった。有望な若手である。

 と言っても、プロ入り10年目の28歳。

 捕手は一度、レギュラーが固定されると奪うのが困難なポジション。

 俺はなかなかの実力があり、配球もうまい選手だと思っている。

 しかし、今の捕手がすごすぎるのと、打撃が今ひとつで、なかなか上で活躍できていない。


 俺はロージンバックを手に取った。

そして、投球練習を始めた。ストレートを中心に5球投げた。

うん、調子はいい。今日はいける!



 最初のバッターは、若手だった。右バッターで振りは鋭い方だ。

俺は振りかぶって、ストレートを外角に投げた。ストライクのコールが球場に響き渡った。

続いて、内角低めにカーブを投げた。これは外すサインだったので、ボール。

3球目は、外角低めにスライダー。ファールを打たせ、バッターを追い込んだ。

そして、4球目は・・・高めのストレート。空振り三振!


「よっしゃー」

 俺は珍しく雄叫びをあげた。こんなに上手くいったのは、久しぶりだった。

 続くバッターもスライダーでつまらせ、セカンドフライ。

 最後のバッターは、外角低めにフォークを投げて空振り三振。

 三人で抑えて、セーブをあげた。


 そして、俺は選手たちとハイタッチをした。

実に気持ちよかった。2軍とはいえ、プロ初セーブだったことを後から言われた。

1軍でも最後を締めたことはあったが、すべてセーブがつかないときだった。

しかし、これが最後の登板になるとは思わなかった。

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