いじめ
俺は少しの間、ぼーっとしていた。
“家族に相談すればよかった”そう思い、自宅に向かっていた。
「ただいまー」
「お帰りなさい。あなた、どこ行ってたの?」
「いや、ちょっとな」
「どう?そろそろ就職決めなきゃね。今日はFAしていたイチローが再契約よ」
雪子は台所で夕食の支度をしていた。
「うん、俺も決めてきたよ」
「えっ、何か言った?」
「いや、何も・・・」
俺は言いづらくなってしまい声が小さくなってしまった。
さすがに急すぎるので、もう少し黙っておくことにした。
プルルルルー。電話が鳴った。
「いいわ、出なくて。どうせ、勧誘だから。5時頃はよく鳴るのよ」
雪子がそう言うので、俺は出なかった。すると、電話が切れた。
「ほーらね」
雪子は得意そうに言った。しかし・・・
プルルルルー。電話がもう一度、鳴った。
「あれっ、おかしいわね。あなた出て」
そう言われ、俺は出た。
「はい、もしもし。水川ですけど・・・」
「もしもし、○○小学校の3年2組担任の石川ですが、水川さん宅でよろしいでしょうか?」
「はい、そうですが。少々お待ちください」
俺は学校からだったので雪子に任せることにした。
「雪子。大輔の担任の先生から電話が来た。代わってくれ」
「えっ、学校から」
雪子は驚いたようで、すぐに手を拭いて受話器を握った。
「はい、もしもし。お電話代わりました・・・えっ、分かりました」
そう言うと、雪子はすぐに電話を切った。
「あなた・・・すぐに学校に行きましょ」
「えっ!」
「急いで。大変だわ」
そう言うと、すぐに着替えて学校に向かった。
学校に着くと、すぐに職員室へ向かった。
「すいません、水川の母です」
雪子は頭を下げた。俺も続いて頭を下げた。
「水川の父です」
「立ち話もなんですから、教室へ来てください」
担任の先生が教室へ案内してくれた。
教室に入ると大輔と夏実がいた。さらに大輔の同級生が3人いた。
また、相手の親もすでに揃っていた。
俺は雪子から聞いて驚いていた。大輔がいじめにあっていた。