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最後の挑戦  作者: 石井桃太郎
戦力外通告
26/73

最後の挑戦

 2回目のトライアウトを迎えた。

今回は体調もバッチリ!これも妻の雪子のおかげだと思っている。


「あなた、行ってらっしゃい!」

 家族が手を振ってくれた。今日はカメラも回っている。車内では取材に応じた。

「今日の調子は、どうですか?」

「バッチリです!最高の状態を作ることができました」

 俺は堂々とカメラに向かって言うことができた。

 カメラマンやディレクターの坂本も笑顔で返してくれた。



 会場に着いて、ランニングやキャッチボールをすぐに始めた。

今回は東京ドームで行なわれる。この間よりは、ホームランが出にくいので安心した。

今日の参加者は減ったとはいえ、35人もいた。

1回目を回避した選手や自由契約を望んだ選手も参加していた。


 右のリリーフは7人。

今日の朝刊の記事にも、右のリリーフに注目の記事が載っていた。



「集合してください」

 主催者側のアナウンスで集合し、簡単な説明を受けた。

 くじを引いた。俺は6番目に登板することになった。

 これから、俺にとって“最後の挑戦”が始まることになる。


 参加選手がそれぞれポジションについた。ついに“最後の挑戦”が始まった。

同じチームでは、白井、渡辺、杉本、安田の4人が参加していた。

それぞれが受かるようにがんばろうと励ましあった。


 スタンドを見ると、1回目と比べて球団関係者は少なくなっていた。

それでも、韓国や台湾、さらにメジャーの関係者も来ていた。

それだけ、トライアウトも注目されているのである。


「ピッチャー水川」とアナウンスされ、俺はマウンドに向かった。

 ロージンバックを手に取り、ストレートを中心に投げた。

 今日はコントロールもすごくよかった。捕手も同じチームメイトの白井で安心した。

 やはり慣れている捕手だと、またピッチングも変わってくる。


 最初のバッターは、右バッターだった。

ストレートで押して、セカンドフライ。わずか2球で打ち取った。

捕手の白井も「いいですよ」と合図をくれた。


 続くバッターは、左バッター。

カウント2−3からの6球目。やや甘かったが、フォークで三振!

変化球のキレもいい。こんなにいいのは、いつ以来だろうか?


3人目、4人目も内野ゴロでアウトを取った。

ここまで、ほぼ完璧といえる内容。


 そして、5人目のバッターは、千葉の須山。

1回目を回避し、2回目に挑戦。1軍でも活躍している実績のあるバッターだ!

俺は渾身の力でストレートを投げた。ライトフライに打ち取った。



 今回は完璧な内容で終えることができた。しかし、あっけない感じがした。

だけど、悔いが残らないピッチングをできた。

俺はすがすがしくマウンドを降りることができた。


「水川さん、今日はどうでしたか?」

「もう悔いはないです。あとは球団からの連絡を待つだけです」

 俺は堂々と言えた。正直、どこかの球団に拾われると思っていた。




 帰宅して、家族に報告した。

「あなた、やったわ。須山さんを打ちとったのは大きいわ。必ず連絡が来るね」

 雪子も喜んでいた。

「パパのところに早く連絡が来ないかな?」

 夏実もうれしそうに言っている。


 俺も結果を残したことで少しばかり浮かれていた。

完璧な内容で抑えているし、三振も奪った。俺は他球団からの連絡を待った。

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