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最後の挑戦  作者: 石井桃太郎
戦力外通告
24/73

長い1週間

 トライアウトの翌朝、スポーツ新聞を見た。

一面を見ると、巨人の大崎は“千葉”が獲得した。終わった直後に電話をしたらしい。

そのまま、合意をしたそうだ。今日、記者会見が開かれるそうだ。


 記事をみると、参加者の名前と成績が載っていた。

55人が参加していた。その中から、合格者は10人程度だろう。

しかも、右のリリーフ投手だけで8人もいた。激戦区である。


 俺は一日ゆっくり休むことにした。

連絡が来るかもしれないので、携帯電話をポッケに入れていた。


 プルルルルー。携帯が鳴ったので、俺は反射的に取った。

「もしもし?あっ、母さんか?」

「あっ、じゃないよ!全然、連絡くれないから心配してるじゃない!」

 電話の主は母親だった。そういえば、昨日の連絡もしてなかった。


「ごめん、ごめん。気が回らなくて」

「それより、大丈夫なのかい?テレビも新聞も見たよ。ちょっと納得のいかない結果ね」

「心配してくれて、ありがとう。俺は大丈夫だから」

「なーにが大丈夫だよ。まっ、あなたの好きなようにしなさい・・・って言いたいけど、あんたには家族がいるんだからね。分かってるわね?」


「分かっているよ」

「とにかく全力を尽くしなさい。それでダメだったら、父さんの会社を紹介するから」

 それを言われて驚いた。でも、自分にもプライドがある。

「いや、俺は必ず自分でなんとかするよ。いつまでも母さんや父さんの世話にはならないよ」

「だったら、いいけどね」

 こんな感じで電話を終えた。俺は素直に嬉しかった。

 今は2回目に向けてがんばっていくつもりだ!それでも、電話が来ないか気になっていた。

 しかし、かかってくる気配はなかった。



 3日後。いつものようにスポーツ新聞を見て驚いた。

島本はリリーフ左腕が手薄な大阪に入団することになっていた。

俺はすぐに電話をかけた。


「おめでとう。どうして連絡をくれなかったんだよ」

「なんとなく言いづらくて。だって、同じ立場だからさ」

「何言ってんだよ。ちゃんと連絡くれよ」

「悪いな。先に受かっちゃって」


 島本は俺のことを気にかけてくれたらしい。

話を聞くと突然、球団事務所から電話がかかってきて、採用したいのでと言われたらしい。

即決をして、すぐに新幹線で向かったそうだ。

来週には正式に契約をして、入団会見を開くらしい。


 年棒は1000万円。

新人選手と変わらないどころかドラ1で入った選手よりも安い。

奥さんとはこれから話し合うみたいだが、単身赴任の予定でいるらしい。

続けられても、あと2,3年。



 こんな感じで1週間が過ぎた。

結局、1回目の合格者は7人。右のリリーフ投手は誰も受からなかった。

残念ながら、どこからも声がかからなかった。俺は2回目にすべてをかけることになる!

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