朝焼けの欠片
どこに行くのと鈴を鳴らして
朝焼けを踏みしだく君
その柔らかな足の下で
涙色の破片がしゃりしゃりと音を立てた
届きはしないでしょうと君は微笑む
紅と橙と桃を重ねて空を一滴
唇に乗せて露を落とすように消えた
手を伸ばすだけの雲の狭間に
戻れはしないでしょうと君は笑う
その瞳を焦がす光の粒は蕩けた黄金
白い柔肌をさらさらと撫でて零れた
掌には掴めないまま
差し伸べた手は稜線の向こう
見知らぬ行き先は滑らかな背に隠れて
焼きつける他はない
手を取る他はない
温かな指に誘われるまま
朝焼けに濡れる君
そのしなやかな肢体は
鮮やかな空を纏い緩やかに舞う