第14話「俺と榑亜と熊さん」
重い。
ぬいぐるみってこんなに重いのか。
榑亜を見ると楽しそうにしている。
こんなにあるんだったら犁兎にあげてもいいのかな?
機嫌悪い時に榑亜に会わせたら、俺は何されるか。
ぬいぐるみ一つでもあげればあいつは単純だからすぐに
「お兄ちゃんありがと!大好き!」
なんて言われるんじゃないか?
もしそうなったら榑亜に感謝しないと。でも榑亜がぬいぐるみをくれるかが問題だよな。
女子ってよく分からないし。
「絢介さん!」
「ん?どうした?」
「とりあえずここからでましょ?」
「そうだな!」
俺達はショッピングモールを出た。
もし、美樹と付き合ってたら、こんな感じで楽しんでたんだな。
プリクラ撮ったり、ご飯取ったり、間違えた。ご飯食べたり、腕を繋いだり、キスしたり…か。
美樹が俺と別れた理由を知りたい。
そうすれば俺にとって美樹と失恋したことによって俺の駄目なところが分かるし
今後の彼女に(できるかわからないけど)そこを改善してあげればもっと良い彼氏になれる。
別れた理由が、
「私と付き合ってたら今後勉強とかに集中出来なくなるし、私に気を使って家族に気を使えなくなったら困るから。」
とかだったらかなり納得できるな。
当時俺は疑問に思っていた。
周りから見たらズバ抜けて可愛いわけじゃないけど、普通に可愛い子とこんなブサ男が付き合えるなんて思ってもなかった。
ある意味最初からこの結果が目に見えていた。
今美樹は何してるのか?などとも気になる、別に好きなわけじゃない。
「榑亜!ぬいぐるみ5個もいるか?」
榑亜は手顎にあて五秒間ほど悩んだ。
「一つあればいいですけど?誰かに渡すんですか?」
鋭い!鋭いぞ!榑亜!
「榑亜にはまだ言ってないんだけど、俺には妹が居て昨日喧嘩しちゃった訳なんだよ。」
「なんで喧嘩しちゃったんですか?」
「かなり些細な事なんだ。昨日夕飯の時に、ご飯食べに行こうってなって、
俺がデートみたいだな!って言ったらキレられちゃって。」
ニヤニヤする榑亜。俺には何故そんなにニヤニヤするのかがわからない。
「妹さん絢介さんの事大好きなんですね!」
は?何を言ってるの?どう考えても流れ的にそうはならないよね?
「デートみたいだな!だけでキレられるってことはおれのことを余程嫌ってるんだよ。きっと。」
「今日帰ればわかりますよーだ!」
一回転しながら榑亜は言う。
「前までは、凄い甘えてきてたのに、今じゃ呼び捨てが普通だよ。」
はあ。と俺は溜息をついた。
榑亜と俺はショッピングモールを出て、アルゼニアに向かった。
アルゼニアに向かう最中もやたらと視線を感じた。
「榑亜。聞きたいことがお前にありすぎるんだけど。」
「スリーサイズとかですか?」
「なわけない。」
「じゃあ何でしょうか?」
「お前が俺の家に居る理由、なんでお前はそんなに俺に親しくするのか。などなど。」
「簡単じゃないですか?好きだからです♡」
また根拠もなくそんな事を。
「まあいい。アルゼニアでご飯でも食べながら話そう。」
「そうですね!」
こんな会話をしているうちにアルゼニアに着いた。