第10話「俺には恋愛フラグしかっ!」
俺は、すぐに家から出た。
鍵を閉め、ネクタイを締め学校めがけて一直線に行こうとした。
すると彩華が交差点の信号を待っているのが見える。
俺は時計を確認して、
あれ?今日は彩華遅いな。などと思い、彩華のもとへ向かった。
「彩華!」
と俺は声を張り上げて出した。
そうすると彩華は笑いながら手を小さく横に振り
「おっはよー!」
元気に返してきた。
今日も元気だな。まあいい。てかなんで私服?
彩華は私服で、小さいポーチみたいなのを肩から下げていて、学校の制服とはかけ離れていた。
「ん?なんで私服?」
「え?なんで制服?」
と俺と彩華の声が重なった。
一瞬世界が止まったように静まり返ったが、俺は彩華と顔をあわせ
「おい。はもるなよ!」
すると彩華はにっこりしながら、
「絢こそだよ!なんで制服なの?」
と言った。
俺は、笑いながら
「今日学校だろ!彩華こそ私服じゃ学校行けねえよ?」
とバカにしたように言った。
すると笑い返されるように
「ははー。今日は振替休業だよ?私は今家に親戚が来てて、コンビニで飲み物買ってこーい。って言われちゃってさ。」
あ。そうだ昨日入学式だったから振替休業だ。
くー。俺の馬鹿野郎。
榑亜どこいった?早く探さないと転校して来たばかりだからここら辺よくわからないだろ。学校にいればいいんだが。
俺はかなり焦っていた。
もし榑亜がいなければ彩華の用事を手伝いをして、褒美としてキスぐらいしてもらえるかなと期待したけど、榑亜のせいで彩華の手伝いもできない。
まぁ、褒美のキスはないとして。
あぁ、なるほど。犁兎がこんなに起きるのが遅い理由がわかった。俺は転校生に気を取られ、振替休業という大切な日を忘れていたとは。不覚。
「わるい!その用事一緒にいってやりたいんだが、家の用事でな。こんどの日曜頼むな。ごめん!」
「大丈夫だよ。また今度よろしくね!」
と元気良く返した彩華。
少し元気が無くなったようにもみえる。
「じゃあ!」
と手を振り交差点を渡った。
彩華はまた笑いながら手を振った。
絢介は、学校に向かった。
早く探し出さないとあんな可愛い子は不審者に捕まってしまうだろう。と考えた。
公園の前を通りかかる最中、女の人とぶつかった。
「すみません。」
と俺はすぐに言葉がでた。
目があい、相手はその場をすぐに立ち去った。
しかし、俺はその人が誰だか分かった。
同じ高校で同じクラスの鳴神椿姫という女で。
始めて話した言葉がすみませんだなんて考えなかったな。
えーと椿姫はみんなから一目おかれてるいる存在で、俺も少し関わらないようにしていた。
外見はヤンキーみたいだが俺はそうとは見えない。話したことはすみませんだけしかないがヤンキーとは思えないのだ。
でも顔は俺的に、というか周りからみてもかわいいと思う。
まあ別にぶつかって物を落としただけだから何も害はないだろう。
下を見ながら考えていると、可愛らしいクマさんのストラップが落ちていた。
これは俺とぶつかった時に落としたのだろうと思い明日学校の時、机に入れておくことにした。
席は俺の斜め前なので近い。
でもこんな可愛らしいの持ってなんて意外だな。と考えている間に、榑亜の事を思い出した。
学校に急がないと!と思い俺は、また走り出した。
学校の校門の前に着き、周りを確認したがどこにも見当たらなかった。
俺は校門から学校に入り、昇降口を目指した。
車は三台ほどしかなく、とても静かで誰もいないようにも見えた。
昇降口の前に着くと困った顔をしている榑亜がいた。
榑亜は俺の方をみて、
「絢介さーん!」
と言いながら走ってきた。
「今日は祝日だってさ。だから昇降口開いてないんだよ!」
「なるほど!って私達気づかなかったとか馬鹿ですね?やっぱり私達はあいますね!」
全部プラス思考か!彩華が言わなかったら休みなんて俺だってわからなかったよ。
彩華まじでわるいな。
「そうだな。彩華が言わなかったら学校だと、思ってたな!まじで感謝!」
といっている間に、榑亜は頬っぺたを膨らませて
「さいかって誰ですかあ?」
すこし嫉妬気味に言ってきた。
「彩華は俺の幼馴染みで昔から仲良い女の人だよ!」
「へぇ!私という新妻がいながらどういう事ですか?」
などと、意味がわからない発言をして来た。
「彩華は昔からの友達なわけで別にそんな関係じゃない、しかもお前のことなんか知るか!」
とすこし怒り気味に言ってしまった。
榑亜は何も言わず下を向き、とても元気がなくなったようにも見えた。
「そうですよね。」
小さい声で言った。
俺は元気のなくなった榑亜を見て罪悪感にかられた。
「ごめん。いい過ぎたよ。」
と俺はすこし反省気味にいった。
すると、
「昨日の約束覚えてますか?何でも言うこと聞きますっていう!」
それか!それをしたら許してくれるかも。と俺は考えて
「分かった!早く言えよ!」
「私とカップルになってください!」