第7話「未来への分岐点」
体を先に洗ってから入るのがいつもなんだよな。
でもそれだと夢通りになるのか。
いやいや、正夢なんてあり得ないんだし夢とは別の行動でもしてみるか。
いつもなら先に体を洗うのだが、今日は髪を先に洗うことにした。
そんなことは起きるはずもない。と自分に言い聞かせながらも髪を洗う最中何度も後ろを振り向いた。
やはり榑亜の姿はない。
やっぱり来るわけないよな。
俺は少しそういう展開を期待していたがそんなことなど起こるわけがない。
足の親指をチョンチョンと湯船につけ温度確認をした後ゆっくりと浸かった。
ふう。気持ちいいな。
風呂に入ってるといろんなことを考えてしまうよな。
恋愛とは怖いものだな。
どうせ恋をしてもいつかは終わってしまうのだ。
別れてからすぐは美樹の事を思い出すと胸が痛んだが、今は特に痛むことはない。
心の整理ができたのだろう。
でもやはりその時の失恋はかなり俺にとって辛いものだった。
もう俺には恋愛なんて無縁だと言い聞かせてきたが、心の片隅ではあんなに切ない恋をしたまま終われないと思っていた。
だから、夢で見たことを正夢になってほしいと少し思ったのだろう。
もし、俺の人生がラブコメものなら一生ハーレムルートで終われるのだが現実はそう簡単にハッピーエンドにはしてくれない。
現実は自分の現状わひどいほどえてくる。顔は恵まれてるか恵まれてないかで言うと、本当に普通。
恋よ！来い！なんてシャレをいってもつまらないし。
別に今恋愛だけで困ってるなんておかしいだろ。まだ高校生だし。
よくこんなこといって、結婚できないまま死んでく人もいる。
そんなのは嫌だ！と言っていても、言葉だけじゃ解決はできない。
俺は我に帰り、このままだと風呂で寝てしまいそうなので、とりあえず体を洗って出ようと思った。
俺は鏡の前に立ち、真剣な顔を見つめた。
どんな顔をしていてもやはり俺は俺だ。
キリッとした顔。ドヤ顔。手で顎を持ちケツ顎にした顔。
最後以外はどれも変わらない。最後だけザキヤマに似ている。
はあ。とため息をして、体を洗おうとした。
すると後ろから扉の開く音がした。
ん？なんだ？
振り返ろうとしたが脳裏に夢のことが浮かんだ。
まさか榑亜？と俺は思いあえて向かないでいた。
夢通りだと裸Yシャツ。そんな姿を見て俺が理性を保てると思うか？
「絢介さん。」
俺は後ろをふり返らず鏡に反射している何かが見えた。
それは裸Yシャツの榑亜であった。
「お…おい！」
「お背中流します。」
「何でいるんだよ！てかなんだよその服！」
俺は動揺を隠しきれず、自分でシャワーを使い体を流し早めに風呂をでようとした。
「きゃっ」
俺が身体を流す時に榑亜の身体にまでかかっていた。
その時無意識に振り返ってしまった。
榑亜のYシャツが俺のシャワーで濡れてしまっている。
とても高校生にとっては、身体的にも精神的にも持たなかった。
「ごめん！わるいっ！これは、不可抗力で！」
俺はすぐに前を向いた。
榑亜に出ろ」と言おうとすると、鏡に写る榑亜が見えた。
手で何をしているのかと思い俺は後ろをまた振り返った。
一つ一つ丁寧にボタンを外す榑亜。
その姿を見た俺は鼻血がでないように踏ん張った。
俺は、もう理性には敵わずYシャツの中を覗こうとした。
「絢介さんのエッチ。」
なんで分かっている。俺はまだ覗こうとしているだけで見てはない。
鏡に写る俺は顔がにやけ過ぎていた。
やばいと思い、すぐに真顔に戻した。
もう一度かがみに映る榑亜をみるとYシャツのしたは裸ではなく、ILOVE竜宮と書いてあるTシャツを着ていた。
「裸じゃないのか？あっ…」
ふと心で思ったことが勝手に口から出ていた。
やばい！いってはいけないことを言ってしまった。
「あれー？期待してたんですか？」
「そんなんじゃねえよ！そのTシャツどこで手に入れた。」
「えーと？手作りです！絢介さんの分は部屋に置いてあります！」
は？なに？俺の部屋紹介なんてしてないぞ？やはり同じ夢をこいつは見てたとか？
部屋戻ったら聞いてみよう。
「そんなもんいるか！俺は出る！」
俺はその後、風呂から出て髪と身体を拭いて部屋に戻った。
いつもはまだ寝ないのだが精神的にも身体的にも色々と辛くなっていたため眠くなっていた。
俺はなんで榑亜がいるのか？なんて考えていたが睡魔には勝てないため明日考えようとして電気を消した。
するとドアの開く音が聞こえた。
そこに視線を向けると榑亜がたっていた。
「夜這いです！絢介さん?」
俺はもう何も言えなかった。
あえて無視をすれば寝たと思いどこに行くかはわからないがどこかに行くと思っていた。
すると、体に違和感を感じた俺は目を開いた。
榑亜が俺の上に座っている。
「絢介さん?」
「うわーーーーーーー！」
俺の上にまたがる榑亜に対して絶叫した俺。
妹に聞こえてしまったのではないか。
そしたらまずい。
この現場を知らない人が見るとあきらかにエロい現場なので誰かが来てしまってはまずい。
さっきの悲鳴で眠気がすっかりなくなっていた。
「ここからどけ。どかないとお前のこと半永久的に無視するぞ。」
「わかりました。束縛と拘束ならいいのですが無視は嫌なので！」
なんだこいつ！よくわかんねえな。
とりあえず、風呂で思ったことを説明してもらうか。
