プロローグ
初めての一次創作となります。どうか生暖かい目で見ていただけると幸いなのです。
「はい、それじゃあ今日はここまで。週番さん、挨拶お願いします」
「きりーつ、れーい」
四十代前半に見えるややシワの目立つ男の先生は、挨拶が終わると教材と出席簿を持ってさっさと教室を後にした。
形だけの礼を終えた生徒たちは授業という束縛から解放され、それぞれが思い思いの行動を取り出す。
携帯を出してサイトを見ている人や、友人数人と笑いながら廊下に出ていく男子たち。角の方では、最近発売されたPNPをいじくってる人もいる。
「あ~、地獄の政経が終わった~」
かくいう私は、授業終了と同時に机に突っ伏して、束の間の仮眠をとろうとするタイプだ。
授業中は平常点を取るために睡魔と顔面殴り合いながら戦ってきたが、今は喜んで睡魔のジャーマンスープレックスを受けよう。
「あやめ~、さっきのところ見せてくれる?」
「ん~、ほい」
私の友人、谷口紀香が罰の悪そうな笑みを浮かべながら手を合わせてそう言ってきた。
せっかくの睡眠を……と、ぼやきながらも既に私の手には使い古したノートが。
「ありがとあやめ! 次の休み時間には返すから!」
紀香はそう言いながら自分の席に座って、ヒッキーマウスの絵柄がプリントされたシャーペンで殴り書きしていく。
東京都在住、東島高校の二年二組一番、相原あやめ。それが私。
勉強は中の上で運動は中の下、顔はそれなりに整ってるとは思ってるし、身長も女子にしては170センチもある。
人付き合いは可もなく不可もなく、ってところかな。自分でも自覚はしてる。同級生での友人は紀香の他に数人で、あとは少し話したくらいの関係。
両親は他界してる訳でもないし、仕事が忙しい訳でもない。父さんは日曜日には家でゴロゴロする典型的なおっさんだし、母さんも日頃家計のやりくりに苦労する平凡な主婦だし。
そう、私は東島高校に通ってるただの高校生で終わるはずだった。
あいつと出会うまでは――。
感想待ってますぜぃ(笑)