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ギルド5

「よーし、じゃあ始めるぞ。準備はいいか」


おっさんの声が響く。


今俺は半径十五メートル程の円の形をした広場の中央でティエカと向かい合っている。


広場の床は土になっていて固く踏み固められ、石ひとつ落ちていない。


普段は冒険者用の練習場にもなっているそうだが、イメージとしては古代ローマの闘技場に近い。


本物は知らないからただの空想?妄想?に過ぎないけど。


しかし、そのイメージをあと押しするかのように練習場の周りには簡素な観客席のようなものまである。


おっさんもその中のひとつに座り、こちらを注視している。


試験監督の癖に遠っ!


いいのかそれでっ。


いやまあ、近いと危ないかもしれないけどよ。


ちなみに何故、観客席があるかについて質問をしたところ、ギルドに入る際の試験や時々行われる、冒険者同士の試合などを見て自分のチームに勧誘するかどうかを判断しているからだそうだ。


試合程度で完全に手の内をさらすことは滅多にないが実力はある程度分かるらしく、有用らしい。


新しく町に来た冒険者や冒険者になったばかりの者たちにとって仲間を作るいい機会となり、好評なんだとか。


しかし! 今、俺の試験を見ようとしているのはおっさんだけ。


最初は何人か見に来た人もいたんだが、俺とティエカの顔を見てすぐに帰っていきやがった。


俺が幼いせいだろうが、ムカつく。


ティエカを見て帰った理由は知らない。


ここを拠点にしているらしいから実力は把握しているということなんだろうか?


それとも他に理由が?


まあ、あったばかりの人にあれこれ聞くのもおかしな話だ。


とりあえず考えないでおこう。


そんなことを考えている間にティエカがおっさんへと了解の返事を返して、武器である銃を構えたので、俺も慌てて拳を構えて返事をする。


「ようし、じゃあいくぞ。試験開始」


俺はおっさんの掛け声と共にドンッと地面が爆発したかのような音を鳴らして一直線に駆ける。


ティエカの反応は間に合っていない、ただ一つだけ起こせた反応は僅かに表情を強ばらせたのみっ。


すごいっ! 装飾品の効果はここまであるのか。


あっという間にティエカの懐に潜り込み、アッパーぎみに腹を殴る直前で拳を止める。


凄まじい早さだ。


開始直後、二人の間にあった十メートル程の距離を一瞬でゼロにしたといえばその速さがわかってくれるだろう。


拳を止めた状態で顔を上に向けると、ティエカと眼があった。


「・・・・・・えっ、本当に?」


その問いかけに対し、ゆっくりと頷く。


ティエカがキギギッと音がなりそうなぐらいぎこちなく首を動かしおっさんを見たので、視線を追えば口を開けっぱなしにして驚いていた。



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