ギルド3
女性が高らかに発言したあと、その場には白けた空気が漂っていた。
俺は軽く白い目を向けているし、受付のおっさんに至っては頭を抱えている。
しかし、女性はそれを気にした風もなく得意げな表情をくずさない。
なんなんだこの状況は・・・・・・
あまりの状況に軽く頭が痛くなるが、意を決して女性に話しかけてみる。
「えと、貴女は?」
そうすると十七歳ほどに見える女性はますますいい笑顔になって、左手を腰にあて右手で青い色の前髪を手ですきながら肩口で切り揃えられた後ろの髪の方へ流す。
「あたしはCランク冒険者のティエカよ。あなた、冒険者登録で困っているみたいね。」
そう言って女性、ティエカは俺の目をまっすぐに見る。
綺麗な灰色の目をしている。
俺が見とれて返事ができないでいると、受付のおっさんがうめくように声を出す。
「ティエカ、受付の仕事に口を出すな。お前さんへの説教は後でたっぷりしてやるから」
「説教はいらないわよっ。そんなことよりも今困ってたでしょ? それを解決してあげるから、説教はまたの機会にして」
「説教とこの坊主の登録と何が関係あるんだよ」
「いいじゃない。問題が解決するのに説教を今度にするなんて安い代償じゃない」
二人はどんどんヒートアップして俺を無視して話を進めていく。
「あの、俺を無視して話をしないで欲しいんですけど」
そういうと二人はハッとこちらを見る。
こいつら、俺がいるの忘れてたんじゃないだろうな。
「ごめんなさい。えーと、あなたは冒険者になりたいのよね?」
「はい、冒険者になってお金を稼ぎたいんです」
一月分の金しかないしな。
「じゃあ、お姉さんが冒険者登録の試験官をやってあげるよ。手加減はしてあげられないけど、死なないようには気を付けてあげる」
ふむ、試験の内容はまだわからないけど戦闘能力を試す類いのものには違いがないだろう。
それで、死なないように気を付けてくれるってんなら願ったりかなったりだ。
「お願いします!」
「あ、おい!」
なんか、おっさんが何か言っているが無視する。
俺にとって最高の条件だからな。
「どうよ。この子が死なないようにするんだから、あんたも文句ないでしょ?」
ティエカが得意気に言うとおっさんは目をキラッキラッさせている俺を見たあとため息をつく。
「手加減はするなよ。中途半端な実力で冒険者になったら苦労するのは、その坊主だからな」
「分かってるわよ。じゃあよろしくね、えーとっ?」
セリフの途中でこちらを向いたティエカにまだ名乗っていなかったことを思いだし、慌てて名乗る。
「イズールです、よろしくお願いします」
いや〜良かった、試験を受けられるみたいだ。
これで後は合格するだけだ!
あれ? そういえば試験内容って何をするか聞いてなくね?
一つ謝らせてください。
今回の話で名前が出たティエカを以前ヒロインと書きましたが、彼女を仲間にしてしまうと主人公が今後自由な行動がしづらくなってしまうので、少なくとも今回はヒロインになりません。
ヒロインになるかどうかは今後の展開しだとさせてください。
期待されていた方に心よりお詫び申し上げます。
更新はこれからも頑張っていきたいと思います。
今回は読んで頂きありがとうございます。
時間がありましたら感想評価などお願いします。