婚約破棄? それ、宰相府の承認を得ていませんが――新米官僚が王子の横暴を止めます
「おかしいと思います」
第二王子殿下の言葉を遮るように、大広間の千のシャンデリアの下で、私の口は、勝手にそう動いた。
――これが、私が宰相府の問題児になった夜の話だ。
*
王立学園、卒業記念舞踏会。
一年に一度、王都の若い貴族たちが最も華やぐ夜だった。シャンデリアが頭上で咲き乱れ、弦楽団のワルツが緩やかに天井を撫でている。絹のドレスが床を擦る音と若い笑い声が、その上を泳いでいた。
(……場違い、ですわよね、これ)
シャルロッテ・フォン・リーンハイトは、壁際の柱の陰で果実水のグラスを傾けていた。一年前は自分も会場の中央にいたはずなのに、今夜はもう招かれた側ではない。胸元に下級官の徽章。学園を出て半年と少し、シャルロッテは王立学園を「客」として訪れる立場になっていた。
(で、私は、なぜここに……)
隣に立つ長身の青年は、グラスに口もつけずに会場を眺めている。漆黒の髪。鋼縁の眼鏡。眼鏡の奥の鈍色の瞳。表情は微塵も動かない。
「あの、エリアス様」
「黙れ」
低い声で、短く返ってきた。
「私、まだ何を見ていればいいのかすら――」
「だから黙れと言っている」
(怒ってない、よね? たぶん、ね?)
エリアス・フォン・アシュフェルト。宰相補佐官、二十六歳。十年来、宰相府の最年少記録を更新し続けている男。冷徹、無表情、無愛想――シャルロッテが知り得る限り、笑ったところを誰も見たことがないらしい人。
その人に、なぜか今夜、付き添いを命じられた。理由は知らされていない。「黙って隣にいろ」と、執務室で書類の束を渡されながら告げられただけだ。
(なぜ、私を……)
ふと、視線を感じた。会場の中ほど、ひときわ華やかな一団がある。中心に立つのは深い青の上着の青年――第二王子レオンハルト殿下。その腕に、白いドレスの少女が寄り添っていた。金の巻き髪。澄んだ翡翠の瞳。胸元に聖印のロケット。聖女セシリア様。
第二王子の視線が、会場の一角へ落ちた。
その先に、淡い水色のドレスを纏った令嬢が立っている。エヴリン・フォン・ヴァルムント伯爵令嬢。第二王子の――婚約者。
弦楽団の旋律が、ふつ、と途切れた。
「エヴリン・フォン・ヴァルムント」
第二王子が一歩、前に出る。会場の喧騒が引いていく。視線が一斉に集まる。
「貴様との婚約を、本日、この場で――破棄する」
息を呑む音が、いくつも重なった。
(……は?)
会場が、ぴたりと静まり返った。
弦楽団の旋律も、絹擦れの音も、囁き交わす声も――全てが一拍、置き去りになった。次の瞬間、ざわめきが波のように広がっていく。
「ご、ご冗談ですわよね、殿下――」
エヴリン・フォン・ヴァルムント伯爵令嬢の声は、震えていた。淡い水色のドレスの裾を、白い指がきつく握りしめている。整えられた銀髪が照明の下で揺れた。
「冗談などではない」
第二王子レオンハルトの声は冷たかった。傲慢に顎を上げ、その腕に絡みつく聖女セシリアを引き寄せる。
「セシリア。お前が話せ」
「……はい」
聖女が一歩、前に出た。金の巻き髪が肩に流れ、翡翠の瞳に大粒の涙が浮かんでいる。胸元の聖印が小さく揺れた。
「申し上げづらいことですが――エヴリン様は、私に、たびたび嫌がらせをしてこられました」
会場が、しん、と静まる。
「三月前、春のお茶会で、わたくしの頭から紅茶をお浴びせになりました。私の聖衣を汚し、皆様の前で笑いものにすることが目的でいらしたのでしょう」
涙が、頬を伝った。完璧な角度。完璧な光。宝石のような輝き。
「二月前、図書館の渡り廊下で、わたくしを階段から突き飛ばされました。下の段で打ち身を負いましたが、誰にも申し上げずにおりました。エヴリン様の体面を慮ってのことでございます」
(うっ、うわ、これは……)
シャルロッテの背筋に、冷たいものが走り始めていた。
「一月前、社交室で、わたくしのドレスにインクを撒かれました。あの時のドレス、エヴリン様もご存知の通り、わたくしが大切にしていたものでした」
聖女の声が震えた。胸の前で組んだ手が、白くなるほど握りしめられている。
「そして――先週」
翡翠の瞳が伯爵令嬢へ向く。
「王宮の薔薇園で。わたくしを人気のない場所へ呼び出され、わたくしを強くお殴りに――」
「ち、違いますわ!」
エヴリンの声が、悲鳴のように裂けた。
「わたくし、そのような――そんなこと、一度も――」
「ええ、エヴリン様。あなたは『していない』とおっしゃるのでしょうね」
聖女がそっと目を伏せた。涙の雫が、白い聖衣の襟に染みを作る。
「いつも、そうおっしゃいました」
会場の空気が、変わった。
貴族たちの視線が、聖女から伯爵令嬢へと流れていく。同情から、軽蔑へ。憐憫から、嫌悪へ。手の動きが、扇の影が、視線の角度が――一斉に、伯爵令嬢から距離を取り始めた。
「やはり、噂は本当だったか」
「あの悪女は、聖女様にあそこまで……」
「お可哀想に、聖女様」
囁きが、波になって広がっていく。
エヴリンの周囲から、人が引いていった。さっきまで談笑していた令嬢たちが、一歩ずつ後ろへ下がる。誰も、伯爵令嬢に手を差し伸べなかった。
(うわぁ……これは……)
シャルロッテは果実水のグラスを握りしめていた。指先が冷たい。胸の奥で、何かが、ぐうっ、と濃くなっていく。
(聖女様、ですって? あの方が? うちの宰相府には、そんな話、一度も――)
「エヴリン・フォン・ヴァルムント」
第二王子が、また一歩、前に出た。
「貴様は、我が妃たる器ではない。聖女に対する重ねての無礼、もはや看過できぬ」
声を張り上げる。
「俺の婚約者は、本日この場をもって――聖女セシリアに改める」
会場が、爆ぜた。
歓声と、囁きと、感嘆の声が一度に渦を巻いた。「やはり」「殿下と聖女様こそ」「お似合いの組み合わせですわ」――手を打ち鳴らす音すらする。
その中心で、エヴリンが、立ち尽くしていた。
淡い水色のドレス。銀髪。顔から血の気が引いて、唇が小さく震えている。涙すら出ない。出せない。一人の貴族令嬢が、千のシャンデリアの下で、踏み潰されようとしている。
誰も、止めなかった。
(うう……うわ、うわ、おかしい、これ、絶対おかしい)
シャルロッテの胸の中で、ぐつぐつと泡立つものがあった。
(だっておかしい、おかしいに決まってる、だってこれ、宰相府には何の通達も――)
気づけば、足が動いていた。
「シャルロッテ」
隣で低い声がした。
「下がれ」
「あの、でも、エリアス様」
「下がれ。命令だ」
(ごめんなさい)
心の中で謝った。
そして口が、勝手に動いた。
「いや、おかしいと思います!」
会場が、二度目に静まり返った。
千のシャンデリアの光が、ひとりの少女を照らしていた。
濃紺の上着。胸元に下級官の徽章。会場の中で唯一、社交服でも貴族の正装でもない人間。壁際から、まっすぐ大広間の中央に向かって踏み出している。
「な――誰だ、貴様は」
第二王子の声が、戸惑いを孕んでいた。
「シャルロッテ・フォン・リーンハイトと申します」
声に震えはなかった。なかった、と思う。
「リーンハイト伯爵家の三女にして、現在は宰相府文書管理部所属の下級官でございます」
ざわめきが広がる。
「下級官だと? なぜそのような者がこの場に」
「エリアス・フォン・アシュフェルト宰相補佐官の付き添いとして、参列を許されております」
(許されて、というか、命じられて、というか)
「で?」
第二王子が眉をひそめた。
「下級官風情が、王族の前で何を言うつもりだ」
声に苛立ちが混じっていた。
(うわ、めっちゃ怒ってる、けど)
シャルロッテは深く、息を吸った。
胸の奥でぐつぐつしているものは、もう止まらない。止め方を、シャルロッテは知らない。
「殿下。ただいまの『婚約破棄』のご宣言ですが――」
もう一度、息を吸った。
「宰相府としては、本件に関する正式な通達を、一切受けておりません」
会場の動きが、また止まった。
「殿下とエヴリン・フォン・ヴァルムント伯爵令嬢様との婚約は、王国とヴァルムント伯爵家との間に交わされた、国家的背景に基づく政治契約でございます。両家の合意、宰相府による精査、国王陛下のご承認――三段階の手続きを経て成立しております」
胸の中の泡が、声に乗って、外へ溢れ出した。抑えきれない。
「したがって、その解消もまた、同じ三段階を経なければなりません。両家の合意確認、宰相府への正式申請、国王陛下のご承認」
「な――」
「殿下が今この場で『破棄する』と一言おっしゃっただけで、効力が発生するものではございません。それは正式な手続きでも王族の権限でもなく、ただの一方的な宣言にすぎません」
会場が、しん、と再び凍りついた。
貴族たちの顔から、先ほどまでの歓声の残響が、瞬時に剥がれ落ちた。
(あ、あれ? みんな、なんで黙ってるの?)
「だ、誰だ貴様は! 俺を誰だと思っている!」
第二王子が叫んだ。声が裏返りかけている。
「第二王子レオンハルト殿下、その人でいらっしゃるかと存じます」
シャルロッテは丁寧に頭を下げた。下げてから、続けた。
「ですが殿下、お立場とご発言の正当性は別の問題でございます」
「な……っ」
「重ねて申し上げますが、本件は無効でございます。エヴリン伯爵令嬢様は本日この場をもって、いかなる立場からも降ろされてはおりません」
会場の空気が、決定的に揺れた。
聖女セシリアが、目を見開いていた。完璧な涙が、止まっていた。第二王子の手がぴくりと動いた。
(あれ、聖女様、涙、どこ行った)
シャルロッテは伯爵令嬢の方を見た。
「エヴリン様。お顔をお上げください。あなたはまだ、第二王子殿下の正式な婚約者でいらっしゃいます」
エヴリンの瞳から、涙が一筋、こぼれた。今度の涙は、聖女のように完璧ではなかった。震えながら頬を伝う、本物の涙だった。
その時、シャルロッテの後頭部に、強い衝撃が降ってきた。
「ぐえっ」
無理やり下げられた頭が、今度はぐいと押し下げられた。
「失礼いたしました、殿下」
すぐ後ろから、低く、抑揚のない声がした。
「このものは新人でして、礼儀作法すら完成しておりません」
エリアス・フォン・アシュフェルトだった。
「私の顔に免じて、本日のところはどうかご寛恕を」
「お、お前――アシュフェルトか」
第二王子の声が、わずかに弱った。
「お前の、お前の部下が――」
「重ねまして、申し訳ございません」
エリアスの手が、シャルロッテの後頭部をさらに深く押し下げた。
(い、痛い、髪、髪が)
「シャルロッテ、頭を下げろ」
「下げてます」
「もっと下げろ」
「うぐ、これ以上どこに……」
「黙れ」
(はい)
エリアスの長身が、シャルロッテを庇うように一歩、前に出た。
「殿下。ヴァルムント伯爵令嬢の件につきましては、宰相府にて改めて精査の上、ご報告申し上げます。今宵はこれにて、私どもは退出いたします」
返事を待たず、エリアスはシャルロッテの腕を掴んで歩き出した。
会場を抜け、廊下に出て、すぐの角を曲がった。
壁に背を押し付けられた。
「ひっ」
眼鏡の奥の鈍色の瞳が、ぎりぎりまで近づいてきた。
「お前は」
低い、低い声だった。
「自分が、何をしたか、わかっているのか」
「……あの、宰相府の立場として、正論を申し上げました」
「正論でも人は死ぬんだ」
「あ、あの」
「黙れ」
(はい)
エリアスが眼鏡を押さえる手で、額を覆った。長い長い息を吐く。
「……宰相府に、戻るぞ」
シャルロッテの腕を引いて、また歩き出した。
その背中が、いつもより少しだけ、強張って見えた。
*
宰相府の最奥、補佐官執務室。
壁一面の書架。重厚な楓の机。窓から差し込む月光が、机上の書類の角を白く照らしている。深夜の宮廷は静かで、自分たちの足音だけが廊下を遠く反響していた。
扉を閉じた瞬間、エリアスが書類を机に叩きつけた。
「ばんっ」と音がした。
(うわ、机、机が可哀想)
「シャルロッテ・フォン・リーンハイト」
「は、はい」
「お前はなぜ、あのような場で、あのような発言をした」
「いや、おかしいと思ったので」
「『おかしいと思った』」
エリアスが机の角を握りしめた。指の関節が白い。
「お前はその一言でどれだけのものを敵に回したか、自覚があるのか」
「あの、ありますわ。第二王子殿下と聖女様と、それから――」
「全部だ」
「全部、ですか」
「第二王子の派閥。その派閥に連なる貴族家。聖女に同情していた令嬢。今夜のあの会場にいた半分以上の人間が、お前を排除しようと動き始める」
「ええ……」
「『ええ……』ではない」
エリアスが眼鏡を外して、また掛け直した。
「お前は、宮廷では生きていけない」
「でも」
「でも、ではない」
「でも、ですね」
シャルロッテは机の前で、姿勢を正した。
「婚約は、国家的な政治契約として決定されたことです。現に、宰相府の書類上は、本日この時刻も、お二人は婚約状態にあります」
「第二王子殿下の今夜のご宣言は、周囲の忖度を前提とした、横暴かつ理不尽な宣言にすぎません」
「だから何だ」
「だから、申し上げないと」
「申し上げないと、どうなる」
「気持ち悪いですわ」
(言ってしまった)
エリアスが、ぴたりと動きを止めた。
「気持ち悪い、だと」
「胸の奥でぐつぐつするんです。おかしいと思って、それを言わないでいると」
「……」
「あれを言わずに帰っていたら、私、今夜眠れなかったと思います」
エリアスが、長い長いため息をついた。
書架に背を預け、天井を仰ぐ。
「お前は、宰相府ではなく、修道院に入るべきだったのではないか」
「修道院、向いてないと思います」
「……まったくだ」
もう一つ、ため息。
「正論を吐くのは結構だ。だが限度がある。場を選べ。相手を選べ。タイミングを選べ。お前が今夜やったのは、その全てを無視した最悪の組み合わせだ」
「はい」
「だが」
エリアスが、椅子に腰を下ろした。
「お前の『正論』そのものは、間違ってはいない。手続き上、第二王子の宣言は無効だ。それは事実だ」
眼鏡を押し上げる。
「明日から宰相府として正式な調査に入る。この婚約破棄がいかなる経緯で持ち出されたのか。聖女セシリアが挙げた『嫌がらせ』の事例について、伯爵令嬢の側に弁明の機会を与えなかった理由。背後関係。すべて」
「とにかく、お前は段取りというものを……」
「あ、それなら」
シャルロッテの顔がぱっと明るくなった。
「私が何かするたびに、エリアス様がどうにかしてくださいますよね?」
エリアスが書類を取り上げかけた手を、止めた。
長い、長い沈黙が落ちた。
(あれ?)
眼鏡の奥の鈍色の瞳が、ゆっくりとシャルロッテへ向いた。
「お前は私を何だと思っている」
「宰相補佐官、エリアス・フォン・アシュフェルト様」
「そうじゃない」
「ええっと……素晴らしい上司、ですか」
エリアスがもう一度、額を覆った。書類の同じ行を、無意識に二度なぞっている自分の指に、本人だけが気づいていない。
「……明日、朝一番から動く。ヴァルムント伯爵家への面会申請、第二王子殿下と聖女セシリアの動線の照会、学園内での目撃者の洗い出し」
「はい!」
「お前は、付いて来い」
「はい!」
(やっぱり、どうにかしてくださる)
シャルロッテはぱっと笑った。
エリアスの指が、書類の同じ行を、三度目になぞった。
*
翌朝。
ヴァルムント伯爵邸の応接間。
深い赤の絨毯。古い肖像画。窓辺に、白百合が一輪。
シャルロッテの向かいに、栗色の髪を結い上げた侍女が座っていた。エヴリンの専属侍女、リサ。先ほどから、握りしめた手が震えている。
「お話を伺うために参りました」
シャルロッテは穏やかに口を開いた。
「お嬢様――エヴリン様について、学園内外でのご様子を、少しだけ教えていただきたいのです」
「お、お嬢様は」
リサの声が、もう泣きそうだった。
「お嬢様は、聖女様にあのようなことをなさるお方では、絶対にございません」
声が震えた。
「学園ではいつも、おひとりで本を読んでいらっしゃいました。お友達は多いほうではございませんでしたが、それはお嬢様のお人柄が静かでいらっしゃるからで――誰かを傷つけたりなど、そんなことは誓って」
「春のお茶会の日、エヴリン様はどこにいらっしゃいましたか」
シャルロッテは静かに問うた。
リサが顔を上げた。
「春のお茶会、と申しますと――三月前の、図書館前の小庭の」
「はい。聖女様が、あの場で、エヴリン様に紅茶をかけられたとおっしゃっています」
「……それは、不可能でございます」
リサがきっぱりと言った。
「あの日、お嬢様は、ご家族の集まりで領地に戻っておられました。三日前から、王都にすらいらっしゃいませんでした」
(出た)
シャルロッテの隣で、エリアスが帳面に何か書き付けている。
「証人になれる方は」
「ヴァルムント伯爵様と、奥様、それからご親族の方々。当家の御者、宿の主。皆様、お嬢様が領地におられたことを証言できます」
「では、二月前の、図書館での件」
「お嬢様は二月前、二週間ほど風邪を召されて、自室で療養されておられました。お医者様の診断書が、当家に残っております」
「一月前の、社交室の件」
「その日のお嬢様の予定は、王立学園の特別講義への出席でございました。出席記録も、そちらに残っております」
「先週の、薔薇園の件」
「外祖父様の見舞いで、王都郊外のお屋敷にいらっしゃいました。これも外祖父様と、お屋敷の使用人の方々がご証言できます」
(全部、嘘だ)
シャルロッテの背筋が、冷たくなる。
というか、聖女側が「適当に日時を決めた」のがありありとわかる、雑な工作だった。
「ありがとうございます、リサさん」
シャルロッテは深く頭を下げた。
「最後にもう一つ。エヴリン様は学園で、第二王子殿下と聖女様のご様子をどのように見ていらっしゃいましたか」
リサの目に、また涙が浮かんだ。
「殿下と聖女様は学園入学の頃から、いつもご一緒にいらっしゃいました。お嬢様は何度かそれをご相談してくださいました。『婚約者として、お止めすべきでしょうか』と」
「お嬢様は、止められましたか」
「いいえ。何も。ただ悲しんでいらっしゃいました。それなのにいつの間にか、学園では『お嬢様が嫉妬に狂って聖女様を虐めている』という噂が広まっておりました」
リサの拳が、白くなる。
「お嬢様は、悪女の烙印を押されたのです。何もしていないのに」
シャルロッテはリサの手を取った。
「ありがとうございます。エヴリン様の冤罪は、私どもが必ず晴らします」
リサが、ぼろぼろと泣いた。
ヴァルムント邸を辞して馬車に乗り込みながら、シャルロッテは指を折った。
「次は、第二王子殿下付きの侍女、ですわね」
「アネット・モリエール。第二王子殿下の私室を担当、殿下の側近の動向に詳しい」
「彼女は、こちらの調査に協力的ではないだろうな」
エリアスが帳面を閉じる。
「だが、崩しようはある」
(崩しようって、どういう意味なのかしら)
馬車が、王宮の使用人棟の裏手に止まった。
使用人棟の二階、共用の応接室。アネットが、腕を組んでこちらを見ていた。
「あら、あらあら」
最初の一声が、それだった。
「貴女、先日の舞踏会で殿下に無礼を働いたお嬢さんでしょう?」
くすくす、と笑う。
「そんなお嬢さんに、お話しすることなど、何もございませんわよ」
「ほうほう」
シャルロッテは飄々と頷いた。
(出た、舐められてる)
「ほうほう、と申されましても」
「いえ、なるほどな、と思いまして」
「は?」
アネットが眉をひそめる。
その時、シャルロッテの後ろで、エリアスが一歩、前に出た。
「アネット・モリエール」
低い、温度のない声だった。
「本調査は、宰相府が公的意思のもと実施するものだ」
「……は」
「協力を拒む場合、宰相府はこれを『調査妨害』として記録する。記録は宰相閣下を経て、国王陛下のご決裁にも上がる」
アネットの顔から、笑みが、すうっと引いた。
「あ、あの、それは……」
「そして、調査妨害が認定された使用人は、王宮使用人名簿から永久に抹消される。再就職の保証はない」
エリアスは、声を一切張り上げなかった。ただ、淡々と、事実を述べた。
それが余計に、怖かった。
(うわ、エリアス様、温度低い、低すぎる、寒いですわ)
アネットの手が、震え始めた。
「わ、わかりました、お話しします、何でも、お話しします」
「では、伺います」
シャルロッテは穏やかに微笑んだ。
「殿下と聖女様の関係は、いつ頃から、どのように」
アネットが、堰を切ったように喋り始めた。
「殿下は学園の入学直後から、聖女様にすっかり入れ込んでおられて……毎日のように聖女様のお部屋を訪ねておいででした」
「ふむ」
「最近では、殿下のご判断は、ほぼ全て聖女様の入れ知恵によるものでございます。今回の婚約破棄も――」
「聖女様が、入れ知恵を」
「はい。一週間ほど前、殿下のお部屋で、聖女様が殿下に申し上げているのを聞いてしまいました。『卒業記念舞踏会で、皆様の前で宣言なさるのが最も効果的でございます』と」
(ビンゴ)
シャルロッテは隣のエリアスを見た。エリアスが帳面に書き付けながら、わずかに頷いた。
「殿下のご判断ではなく聖女様の差配であったと、認識して間違いございませんね」
「は、はい。間違いございません」
「ありがとうございます」
シャルロッテは深く頭を下げた。
アネットがびくり、と肩を震わせた。
「あ、あの。私、罰せられるのでしょうか」
「いいえ、アネットさん」
シャルロッテは穏やかに言った。
「ご証言いただけたこと、感謝いたします。あなたに不利益が及ばぬよう、宰相府として配慮いたします」
「……はい」
アネットの目に、わずかに涙が浮かんだ。
(ふむ)
シャルロッテは内心思った。
(みんな、本当は、おかしいと思っていたのね)
午後の王宮。
使用人棟の小部屋に通されたシャルロッテとエリアスを迎えたのは、震える小柄な侍女だった。マチルダ・フローラ。聖女セシリア付きの侍女である。
シャルロッテとエリアスを見た瞬間、マチルダの顔から血の気が引いた。
「お、お話しすることは、何も……ございません……」
声が震えていた。先ほどのアネットとは違う震え。これは、舐めているのではない。
怯えている。
(何かを、知っている)
「マチルダさん」
シャルロッテはそっと椅子を引いて、向かいに座った。エリアスは扉の脇に立ったまま。
「あなたが何かを話したことで、あなたに不利益が及ばないよう、私が誓います。私の名にかけて」
「で、ですが、聖女様は――」
「聖女様は本日この時刻、王宮の私室におられます。あなたとの距離は十分にあります」
「ですが、ですが、家族が」
「家族の方は宰相府で、すでに保護の準備を進めております」
シャルロッテは静かに言った。
「あなたの故郷の村に、宰相府の使者が向かっております。もし聖女様の側からあなたのご家族に何かが及びそうな場合――宰相府は家族の方を直ちに王都へ移送し、保護下に置きます」
その時、エリアスがシャルロッテの耳元に唇を寄せた。
「お前、いつの間にそこまで手配した」
声を殺した、目の前の侍女には聞こえない、低い問い。
「勘ですよ、勘」
「……真剣に答えろ」
「そういうことにしないと、答えてくれないかと思いまして」
「……」
「ですのでエリアス様、本当にすぐご手配いただけますと、ありがたいですわ」
エリアスの口から、長い長い息が漏れた。
(あ、これは「黙れ」の一歩手前のため息ですね)
マチルダの瞳が、見開かれた。
「な、なぜ……」
「あなたが何かに脅されている、と推察したからです」
シャルロッテは穏やかに微笑んだ。
「合っていますか」
長い、長い沈黙があった。
マチルダの肩が、震え始めた。震えが、嗚咽に変わった。
「……っ……ぅ……」
顔を覆った。
「私……私……見てしまったんです……」
「何を、見られましたか」
「聖女様が……どこかの男の方と……お部屋で……ご様子があまりに親密で、心配になって、近づいて……」
マチルダの声が、震える。
「お部屋から聞こえてきました……『カルヴァニアからの指示は』と。男の方の声でした……『次の動きは、伯爵令嬢の排除をもって第二王子の傀儡化を完成させること』、と」
(カルヴァニア)
シャルロッテの背筋に、氷の刃が走った。
隣のエリアスの帳面が、ぴたりと止まる。
「聖女様は、それに、何と」
「『承知しました。婚約破棄は、卒業記念舞踏会の場で行います』と」
マチルダの目から、涙がこぼれた。
「私、その日のうちに、聖女様にお見つかりました。立ち聞きをしたのが、ばれました。聖女様は、私を、ご自室にお呼びになって……」
マチルダの体が、激しく震えた。
「『家族の命が惜しければ、黙っていることね』と。それから聖女様は、私を隣国とのお手紙のお使いに使われるようになりました。私の家族の命を、人質に……」
マチルダが嗚咽した。
シャルロッテはマチルダの手を、強く握った。
「マチルダさん」
「は、はい」
「あなたのご家族は、必ず守ります」
「……」
「そして聖女様は、もう二度とあなたに何もできなくなります」
マチルダの嗚咽が、止まらなかった。
その手が震えながら、エプロンのポケットに伸びた。
差し出されたのは、薄い、折りたたまれた紙の束。
「これ……」
「これは」
「聖女様がお使いの度に、私に運ばせていらしたお手紙の写しでございます。私、怖くて、自分のために写しを取っていました。捨てるに捨てられず――」
シャルロッテは震える手で紙を開いた。
暗号で書かれた数行。差出人の押印。受取人の押印。
その中に、確かに、文字があった。
『カルヴァニア公国 第三情報局 ヴァレンティン・モール』
(決定的な、証拠)
シャルロッテは、紙を畳んで、エリアスに差し出した。
エリアスが受け取った。眼鏡の奥の鈍色の瞳が、紙の上を二度なぞった。
二度。
「……シャルロッテ」
「はい」
「これは、もう宰相府の管轄ではないな」
「ええ、存じております」
国家の安全保障そのものに関わる問題だ。
「国王陛下に、直接、ご報告申し上げる案件ですわね」
「ああ」
エリアスが、紙を懐に深く仕舞った。
「マチルダ・フローラ」
エリアスの声が、マチルダに向いた。
「お前とお前の家族は、本日この時刻をもって宰相府の保護下に入る。安心しろ」
マチルダが、また泣いた。今度は、別の意味の涙だった。
*
三日後。
王宮、特別査問会の間。
高い天井。長卓を囲んで、国王、王妃、宰相、軍務卿、貴族院議長、そして主要派閥の貴族たち。中央の証言席に、シャルロッテとエリアスが立っていた。その向かいに、第二王子レオンハルト。傍らに、聖女セシリア。
舞踏会から、わずか四日。
舞踏会の翌日、エリアスが宰相に報告した。宰相が国王に上奏した。国王が、特別査問会の招集を命じた――その経路を辿って、シャルロッテは今、ここに立っている。
(うわぁ、緊張、緊張、しないと言ったら嘘ですわよね)
国王ヴィルヘルム陛下が口を開いた。
「リーンハイト伯爵令嬢」
「は、はい!」
「卿の、本件に関する報告を、聴取する。順序立てて、申し述べよ」
シャルロッテは深く息を吸った。胸の奥で、ぐつぐつしているものは、もう泡立ちを越えて、煮え立っている。
第二王子が、こちらを睨んでいた。
「リーンハイトとやら」
第二王子が、苛立った声で口を開いた。
「俺にこのような手間を取らせて、どう責任を取るつもりだ」
シャルロッテは飄々と、恭しく頭を下げた。
「責任は、本件の真相が明らかになった暁に、取らせていただきます」
「真相、だと」
「はい、殿下」
顔を上げる。
「では、申し上げます」
手元の書類を、一枚ずつ、めくっていく。
「第一に。聖女セシリア様が、卒業記念舞踏会の場で、エヴリン・フォン・ヴァルムント伯爵令嬢に対して挙げられた、四つの嫌がらせ事例について」
「四件すべて、エヴリン様にはその日時その場所にいらっしゃらなかった確固たる証拠がございます」
書類を、長卓の上に広げた。
「三月前の春のお茶会の日。エヴリン様は領地におられました。証人、ヴァルムント伯爵をはじめ、計七名」
「二月前の図書館での件。エヴリン様は風邪で自室療養中。担当医師の診断書、添付済み」
「一月前の社交室での件。エヴリン様は王立学園の特別講義に出席中。出席記録、添付済み」
「先週の薔薇園の件。エヴリン様は外祖父の見舞いで、王都郊外の屋敷に滞在中。複数の証人がございます」
会場が、静まった。
聖女セシリアの翡翠の瞳が、揺れ始めた。
「な――そのような、そんなはずは」
「いえ、そのはずです」
シャルロッテは穏やかに続けた。
「次に、第二に」
書類を、また一枚、めくる。
「本件の婚約破棄宣言がどのように準備されたか。第二王子殿下付き侍女アネット・モリエール嬢の証言をご紹介いたします」
長卓の上に、第二の書類。
「『卒業記念舞踏会で、皆様の前で宣言なさるのが最も効果的でございます』。聖女セシリア様が第二王子殿下に、舞踏会の一週間前に申し上げた言葉でございます」
「な、なんだと――」
第二王子の顔色が、変わった。
「殿下のご判断ではなく、聖女様の入れ知恵に基づくものでございます」
「で、でたらめだ! でたらめに決まっている!」
「ご証言は書面で、署名をいただいております」
シャルロッテは穏やかに書類を指した。
第二王子の顔が、白くなっていく。
「第三に」
ここで、シャルロッテは深く息を吸った。
胸の奥で煮え立っているものが、ついに音を立てて外へ流れ出す。
「聖女セシリア様付き侍女マチルダ・フローラ嬢が、聖女様のご自室で目撃されたある会話について」
長卓に、第三の書類を広げた。
暗号で書かれた手紙の写し。
差出人欄の文字。
「『カルヴァニア公国 第三情報局 ヴァレンティン・モール』」
国王が、立ち上がった。
会場の空気が、爆ぜた。
「な――それは」
貴族院議長が椅子から身を乗り出す。
軍務卿の顔が紙のように白くなる。
「聖女セシリア様は、カルヴァニア公国第三情報局の指示のもと、王国内での諜報活動と有力貴族家の排除工作に従事されておいでです」
シャルロッテの声は、もう震えなかった。
「そして、その指示は、こちらでございます」
もう一枚。
「『次の動きは、伯爵令嬢の排除をもって、第二王子の傀儡化を完成させること』」
会場がしん、と凍りついた。
聖女セシリアの体が、ふらりと揺れた。
翡翠の瞳から、もう涙は流れなかった。
代わりに――別のものが、瞳の奥に浮かんでいた。
怒り。
憎悪。
追い詰められた獣の、眼。
(あ、地金が出ましたわね)
「嘘よ……嘘、嘘、嘘よ!」
聖女が叫んだ。先ほどまでの天使のような声は、どこにも、なかった。
「捏造です。それは捏造です。私はそんなこと、何一つ――」
「マチルダ・フローラ嬢の証言、彼女のご家族のご証言、そして暗号文書の解読結果――三方向からすべて裏が取れております」
シャルロッテは静かに言った。
「ご自身の侍女がご自身の手紙の写しを取っていらしたとは、想定外でいらっしゃいましたか」
聖女が唇を噛みしめた。血がにじむほど強く。
第二王子は、もはや言葉が出ないようだった。
口が、何度も開いては閉じた。
「リーンハイト殿」
国王が、低い声で言った。
「結論を、述べよ」
「は、はい」
シャルロッテは深く息を吸った。
全員の視線が、自分に集まっている。
ぐつぐつしていたものが、最後の泡を吐き出して、静かに、研ぎ澄まされた言葉になった。
「本件は、単なる婚約破棄ではありません」
会場の空気が止まる。
シャルロッテは一拍、置いた。
もう一拍。
そして――。
「国家契約に対する不正な干渉、ならびに虚偽告発でございます」
貴族たちの間に息を呑む音が、波のように広がった。
その時、シャルロッテの隣で長身の影が一歩前に出た。
エリアス・フォン・アシュフェルト。
漆黒の髪。鋼縁の眼鏡。鈍色の瞳。
声には何の感情もなかった。淡々と、事実を、置くように。
「……以上が、宰相府の見解でございます」
会場が、決定的に揺れた。
貴族たちの視線が、聖女と第二王子から滑るように離れていった。
先ほどまで、聖女に同情を寄せていた令嬢たち。
第二王子の派閥に連なる、貴族家の当主たち。
誰一人として、聖女と第二王子に視線を返さない。
手のひらが、一斉に返った。
国王の声が低く、重く、響いた。
「聖女セシリア。本件に関する一切の調査が完了するまで、王宮地下の独房にて、身柄を拘束する」
「いやよ、いや! 私は聖女よ、私を裁ける者など――!」
「衛兵」
国王の一言で、衛兵たちが歩み寄った。
白い聖衣が両側から抑え込まれる。金の巻き髪が乱れた。翡翠の瞳がぎらぎらと光った。
「離して、離しなさい! 私は、カルヴァニアの、カルヴァニア公国の――!」
会場の貴族たちが一斉に目を逸らした。
聖女が、引き立てられていく。叫び声が扉の向こうに消えた。
「レオンハルト」
国王の声が、続いた。
「お前の処遇については、本日のうちに、追って沙汰する」
「ち、父上――」
「だが、これだけは今、申し渡しておく」
国王の声が震えた。怒りで。あるいは、別の何かで。
「もし聖女セシリアが、確かにカルヴァニア公国の手の者であった場合――もはや、この宮廷に残れると思うな」
第二王子の膝が崩れた。
大広間の床に落ちた、鈍い音。
シャルロッテはその光景を静かに見つめていた。
胸の奥のぐつぐつは、もう消えていた。
代わりに、深い深い息を吐いた。
会場の隅、貴族席の最後列で、淡い水色のドレスを纏った令嬢が両手で顔を覆って肩を震わせていた。
エヴリン・フォン・ヴァルムント。
冤罪を、晴らしてもらった令嬢。
シャルロッテは、その姿を見て軽く微笑んだ。
(よかった)
胸の内のぐつぐつは、いつの間にか収まっていた。
*
夕暮れ。
王宮の中庭。橙色の光が石畳を染めている。鳥が空を横切り、どこかの鐘楼が夕刻の鐘を低く打っている。
査問会を終えて、シャルロッテとエリアスは宰相府に戻る道をゆっくりと歩いていた。
無言だった。
無言だが、その沈黙は舞踏会の夜の沈黙とは違う種類のものだった。
(疲れた)
シャルロッテは、一度深く息を吐いた。
四日間。本当に、長い四日間だった。聖女と第二王子。手のひらの返りと、地金の暴露と、エヴリン伯爵令嬢の涙。
全部、終わった。
(私、ちゃんと、できたのかな)
ふと、隣を見上げた。
エリアスは、いつも通りの無表情で、まっすぐ前を見ていた。漆黒の髪に、橙色の光が落ちる。鋼縁の眼鏡のレンズに、夕陽が映り込んでいた。
(あ、そうだ)
シャルロッテは、小さく笑った。
四日間、隣にいてくれた人。書類の束を渡してくれた人。後頭部を押さえて、頭を下げさせてくれた人。「正論で人は死ぬ」と、低い声で叱ってくれた人。「お前は付いて来い」と、言ってくれた人。
胸の奥で、温かいものが、ふわり、と広がった。
なぜか、今、口にしたかった。
いや、たぶん、口にしないと、また気持ち悪くなる、いつものやつ。
だから――。
「エリアス様」
「何だ」
「これからもずっと、私のパートナーとして――」
エリアスの足がぴたりと止まった。
シャルロッテも、二歩進んでから振り返った。
(あれ、なんか、エリアス様、止まってる?)
エリアスは、何も言わなかった。
夕陽がその横顔を照らしている。鋼縁の眼鏡の奥の鈍色の瞳が、ゆっくりとシャルロッテへ向いた。
長い、長い、沈黙。
「……それは」
「はい」
「公務上の話、だな?」
「? もちろんです」
シャルロッテは、不思議そうに首を傾げた。
(どうしたのかな、エリアス様、なんかいつもより固い気がする)
エリアスは、また長い息を吐いた。
書類を深く懐に仕舞い直した。
夕暮れの王都を背に、長身の青年がもう一度息を吐いた。
その耳の縁が、夕陽の色とは違う赤みを帯びていることに――。
シャルロッテだけが、気づいていなかった。
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