第13話 ランキング10位以内へ
ブックマーク100を突破した私は、次なる目標を定めた。
――ランキング10位以内。
ランキングは、無名の作者にとって唯一の「光の当たる場所」だ。
そこに載れば一気に新規読者が押し寄せる。
逆に載らなければ、存在に気づかれず、静かに埋もれていく。
私はその事実を身に染みて理解していた。
だからこそ、10位以内に入ることは、夢でありながら現実的な次の階段だった。
■ ランキングを巡る日常
この頃の私は、完全に「ランキング病」にかかっていた。
目が覚めればまずランキングを確認し、仕事の合間もスマホをちらちら。
夜寝る前にも必ずチェックしては、順位に一喜一憂した。
――なろう作家あるあるその①
「ランキングを見て胃が痛くなる」。
昨日は12位だったのに、今日は18位。
その数字の上下で、心の天気が決まってしまう。
数字に支配される自分に苦笑しながらも、やめられなかった。
■ 更新ボタンを押す手の震え
ランキング上位を狙うには、更新頻度が命だ。
私は毎日の更新を徹底し、時には一日二回投稿した。
しかし、更新ボタンを押す瞬間は、いつも緊張で手が震えた。
「これで数字が伸びなかったらどうしよう」
「むしろ順位が下がったら……」
――なろう作家あるあるその②
「更新ボタンを押すのが怖い」。
結局は押すしかないのに、心臓は毎回バクバクしていた。
■ 感想欄の魔力
ブックマーク100を超えた頃から、感想が少しずつ増えてきた。
「ここ面白かったです!」という応援もあれば、軽いツッコミや疑問もある。
それが嬉しくて、私は毎日何度も感想欄を開いた。
通知がなくても、なぜかリロードしてしまう。
――なろう作家あるあるその③
「通知が来ていないのに感想欄を確認してしまう」。
そして、もし新着がゼロなら、意味もなく落ち込むのだ。
■ 順位との戦い
ある朝、私はランキングを開いて息を呑んだ。
――「9位」。
ついに、夢にまで見た10位以内に入っていた。
思わず叫びそうになり、慌てて声を飲み込んだ。
スマホを何度もリロードしては確認する。
「間違いじゃない。確かに9位だ」
その瞬間、これまでの苦労が一気に報われた気がした。
だが同時に、新たな恐怖も生まれた。
「この順位を維持できるのか?」
「明日には落ちてしまうんじゃないか?」
――なろう作家あるあるその④
「順位が上がると、今度は下がることが怖くなる」。
■ 読者との距離
10位以内に入ると、確かに読者は増えた。
感想も応援も増え、「毎日楽しみにしています」という声も届く。
それが嬉しくてたまらなかった。
だが、中には辛辣な意見も混じる。
「またテンプレ展開か」
「ここで引き伸ばすのはずるい」
――なろう作家あるあるその⑤
「嬉しいコメントより批判の一文のほうが頭に残る」。
十人が褒めても、一人に否定されれば、そればかり考えてしまう。
人間とは不思議なものだ。
■ 維持する難しさ
9位に入った翌日。
私は朝からスマホを開いた。
順位は――11位。
たった一日で圏外に押し出されていた。
落胆で胸が沈み込む。
だが、同時に理解した。
「10位以内に入るのは一瞬。維持するのは地獄」。
だからこそ、上位に居続ける作家は本当にすごいのだ。
努力と工夫を積み重ね、何より継続の力を持っている。
私は改めて、自分の未熟さを痛感した。
■ 今日のまとめ
ランキングは作者を喜ばせ、同時に胃を痛める
更新ボタンを押すのは毎回緊張の瞬間
感想欄は魔力を持つ――通知がなくても覗いてしまう
10位以内は一瞬の栄光であり、維持するのは地獄
それでも、そこに挑み続ける価値がある
私は深く息を吸い、キーボードを叩いた。
「たとえ圏外に落ちても、また這い上がればいい」
次なる目標は――「1位目前」。
そこで待ち受けるのは、さらなる緊張と試練だ。