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ライブ配信で始まった関係は、本物になれるのか  作者: 宮野ひの


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第31話 イベントに参加してみよう<井戸川萌子side>





<井戸川萌子side>



 今日の放課後、吉瀬さんとライブ配信をすることができる。

 内心ワクワクしている私がいた。だけど、隣の席の彼女に悟られないように、平常心を装う。


 そんなとき鳴海がいつもの調子で「おはよう」と声をかけてくれた。

 にやける顔がにじみ出ていたのだろうか。


「……二人とも、何かあった?」


 そんなことを聞かれてしまった。


 何かあるか、ないかで言えば……ある。

 私たちはキスまでした仲だ。


 ——鳴海は鋭い。

 人の表情や雰囲気だけを見て、何を思っているか言い当てられるように感じる。


 鳴海と仲良くなるきっかけになったのも、私が電車酔いで具合が悪くなったときのことだった。

 吊り革に掴まって、駅に着くまで平気なふりをしていたのに、彼女は目ざとく見つけて「大丈夫?」と声をかけてくれたのだ。


 心の中を読み取ることは、人によっては気味が悪いと思うだろう。

 だけど、あのときの私は、鳴海が神々しい存在に思えたんだ。


 ——多分、鳴海は私が吉瀬さんを好きなことを知っていると思う。きっとバレバレだ。


 だから最近では、まるで私の嫉妬心を煽るかのように、吉瀬さんに積極的に話しかているんだと思う。


 ——それに、鳴海には好きな人がいる。

 誰であるかは言えないけど……。


 鳴海は友達の好きな人を奪うような真似はしない。そこは信じていた。


 鳴海は自分の好きな人を教えてくれたのに、私はまだ言えていない。


 わ、わざわざ秘密にしているわけじゃないよ!


 まだ自分で自分の気持ちがわからないから、そんな姿勢を貫いているだけ。


 気持ちが整理できたら、きっと鳴海に、好きな人を打ち明けることができるのかな……。





「この前と同じ部屋だねー」


「だね……」


 待ちに待った放課後。吉瀬さんとカラオケ店にやって来た。

 ——そう。ここで一緒にライブ配信をするためだ。


 偶然、一週間前と同じ部屋に案内された。

 だからだろうか。


 ここで吉瀬さんとキスをしたなぁというようなことが頭をよぎる。

 ブンブンと軽く頭を振った。


 吉瀬さんはというと、カバンをソファーの上に置いて、足を伸ばしてだらりと座っている。まるで自分の家にいるようだ。


 そんな姿を見て、ホッと息をつく。

 私は急いで個室内の扉を閉めた。


 あっ。——密室になった。


 やわらかい暗さに包まれた室内で、カラオケのモニターには最新曲の紹介映像が映っている。


 スタバに行ったときはまた違う。なんだかドキドキしてしまう。

 み、みんな、好きな人とデートするときって、こんな気持ちになるのかなぁ。


 吉瀬さんから少し距離をとってソファーに座る。

 彼女はあどけない表情でこちらを見た。


「今日はどういう配信にするの?」


「せ、せっかくカラオケにいるんだから、また歌配信にしようと思うの」


「OK!」


「ねぇ。最初から、吉瀬さんも一緒に映るのはどう?」


 この前は、彼女がひょっこり現れて場をかき乱した。


「良いと思う! そういえばさぁ……」


 吉瀬さんが顎に人差し指を押し当てて言う。


「配信するにあたって、何か目標を決めない?」


「目標?」


「うん! キラライブっていろんなイベントがあるでしょ? そこで上位に入るとボーナスポイントがもらえるし、その分、収益アップにもつながる! ……やりがいも感じられそうじゃない?」


 そっか。コンテストかぁ。

 ライブ配信をするにあたって、一度も参加したことがなかった。


 私は歌を歌うのが好きで——ライライちゃんに憧れて配信を始めた。それがすべてで、他には何もない。

 だからかな。特に、ライバルと競い合うコンテストに参加しようという意欲が湧かなかった。


 確かにランキングの上位に入ると、ボーナスポイントが入って、知名度も上がる。

 収益アップにもつながるので、つまり二人で参加すれば、運命共同体のような活動ができるということだ。


 それに気まぐれで始まった、二人のライブ配信も、何も目指すものがなければ、いつか終わりが来るかもしれない……。

 それは嫌だった。だったらイベントに挑戦して、同じ目標に向かって頑張った方が、長くそばにいられる気がした。


「……うん。何かイベントに参加してみよう」


「そうこなくっちゃ! まずは、今どんなコンテストがあるか見てみようよ」


 キラライブのアプリをタップして、良さそうなイベントがないか、探してみる。

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