第13話「骸骨騎士団との遭遇」
薄暗い神殿跡地の内部は、しんと静まり返っていた。高い天井には巨大な石像が睨みを利かせ、青白く光る光苔の微光が天井の装飾を浮かび上がらせている。
「……まるでダンジョンの中に迷い込んだ探検家みたいだな」
蒼真が小声で呟いた。
カチャ…カチャ…
乾いた音が遠くから少しずつ近づいてくる。その音は複数だ。やがて視界の奥、崩れた柱の影から奴らが姿を現した。
「来た……」
それは骸骨兵──**《スケルトン・ソルジャー》**だった。全身が黄ばんだ骨格だけで構成され、錆びた剣と盾を携えてこちらに迫ってくる。背筋がざわりと粟立つような不気味さがある。
さらに──その奥にはひときわ異様な存在がいた。
──《スケルトン・ナイト》
通常の骸骨兵よりも二回りは大きく、禍々しい黒銀の甲冑を身に纏っている。盾の表面には呪紋のような文様が刻まれており、右手の長剣は鋭利な紫色の光を放っていた。頭蓋の眼窩にも紫炎の光が揺らめいている。
「中ボスクラスか……気を付けろ」
俺は大剣を構えながら前に出た。
◆
「まずは雑魚から!」
蒼真が駆け出し、スケルトン・ソルジャーの群れに突っ込む。拳を突き出すと同時に、今回新たに覚えたスキルを発動する。
──《崩掌衝》
【性能】
短距離の前方範囲攻撃
直撃した敵はノックバック+骨折部位破壊の追加効果
スキルレベル依存で破壊範囲拡大
蒼真が腰を沈めると、その拳から淡い橙色の衝撃波が扇状に広がった。骨兵たちの脚部や肋骨が一気に砕け、数体が吹き飛ばされる。
「おお、いい威力だな!」
「使い勝手いいわコレ!ガンガンいくぞ!」
一方、美月は後方から支援に回る。
「《ブレイブブースト》!」
俺に筋力上昇バフがかかると同時に、彼女も新スキルを発動。
──《祈りの旋律》
【性能】
周囲の味方全員のHP微回復+状態異常短縮
継続発動型支援スキル(詠唱後、自動で数十秒間発動)
美月が手にした短杖の先端が淡い金色に輝き、優しい旋律が空気中に広がる。神殿内の冷たい空気が柔らかく温もるような不思議な感覚が広がった。
「癒しながら戦闘補助もできるってすごいな……!」
◆
スケルトン・ソルジャーたちは次々と蒼真が捌き、美月の補助で息を吹き返す俺が前線を張る。
「来いよ……!」
俺は新習得スキルを構えた。
──《鋼壁衝撃》
【性能】
攻撃と防御を兼ねたカウンター
受けた物理攻撃のダメージを一部吸収し反撃
重戦士の主力防御スキル
スケルトン・ナイトの長剣が勢いよく振り下ろされるのを、俺は大剣の平面で真正面から受け止める。
「──っ!」
衝撃が腕にずしりと乗るが、吸収感覚がそれを和らげる。溜まった衝撃力を一気に反転。
「喰らえ──《鋼壁衝撃》!」
大剣の腹で相手の剣を跳ね上げ、その勢いのまま刃を袈裟斬りに叩き込む! スケルトン・ナイトの肩甲冑が砕け、紫の光の粒が弾け飛んだ。
「ナイス、晴翔くん!」
「このまま押し切る!」
◆
スケルトン・ナイトが後退すると同時に、まるで護衛のように脇から新たな存在が現れた。
──《スケルトン・メイジ》
骨のローブを纏い、杖の先に青黒い魔法球を浮かべている。頭蓋にはひび割れが走り、顎がカタカタと鳴る。
「魔法系も出てきたか!」
「注意して!」
スケルトン・メイジが詠唱を始めると、魔法球が膨張する。
──《シャドウスフィア》
【性能】
範囲暗闇付与+持続ダメージ魔法
命中時に視界が遮断されるデバフ
「まずい──蒼真、止めろ!」
「任せろ!」
蒼真が跳躍し、空中から強烈な一撃を放つ。
──《空掌裂波》
【性能】
中距離飛び道具系拳撃
貫通性能あり。直線上の敵を複数打ち抜く
拳から飛び出した圧縮された気功弾が、一直線にスケルトン・メイジの胸部を貫通。骨が砕け散り、魔法詠唱が中断された。
「よし、これで──」
が、スケルトン・ナイトはなおも攻めてくる。紫の目がぎらぎらと輝き、死角から高速の突きを繰り出す。
「晴翔くん危ない!」
美月が《サンクチュアリ・バリア》を間に合わせるが──突きの鋭さにバリアが小さく軋む。
「くっ──ここだ!」
俺は再び《鋼壁衝撃》で剣を弾き返し、さらに連携で新スキルを繰り出した。
──《ヘヴィスマッシュ》
【性能】
前方単体特大火力
チャージ式、溜め時間で威力上昇
クリティカル発生率上昇
大剣を後方に大きく引き、一気に踏み込みながら肩口から叩きつける。
「おおおおおっ!!」
ズドォン!!
スケルトン・ナイトの胸骨が粉々に砕け、紫の炎が一気に散った。
──《中ボス:スケルトン・ナイト討伐完了》
◆
戦いが終わった後、俺たちはドロップアイテムを確認した。
──《ドロップアイテム:黒曜の小手》《亡者の魔晶石》《朽ちた盾の欠片》
「お、重戦士用小手だな」
俺は《黒曜の小手》を装備。黒光りする腕当てが重量感のある剣撃をさらに安定させてくれる。腕力+5、スキル発動時の硬直軽減効果もある優れモノだ。
「私はこの《亡者の魔晶石》を分解して回復スキル素材に使えるわ」
「盾の欠片は蒼真が防具クラフト用に持ってけよ」
「ありがたく頂くぜ!」
セリスは後方で静かに見守りながら、小さく呟いた。
「順調だな……今のところは」
その冷静な赤い目は、何かさらに奥の危険を察知しているように思えた。
「さて──次の区画へ進もう」
俺たちは慎重に神殿のさらに奥へと歩を進めていく。




