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7話:屋敷

 マナさんとの会話に花が咲き、かなり遅めのペースではあるが、ダウジングマシンを頼りに歩みを進める。

 

 

 「茂って来ましたね、クマさんとか出ないでしょうか?」


 「追い払えそうな発明も持ってきてるから大丈夫だよ」


 「良いクマさんなら可愛いですけどね」


 

 良いクマさんとは!?。

 昨日今日で結構話したので仲良くなったつもりでいたが、やはり女性との会話は難しさを感じる。

 というかオレ、自分の話ばかりしてた気も……

 マナさんは笑顔だったが、本当に楽しいんだろうか?

 目的はエルフ探しなので、そこに協力すれば楽しさは二の次で良いかもだけど何か質問をしなければ。

 

 

 「マナさんは虫取りに来たことがあるって言ってたけど、この辺まで来たの?」


 「ここまで奥に入ったのは初めてですね


 「そっか」

 

 

 会話終了……と次の話題を探すのに必死になっていたオレは、目の前の景色が変わっているのに気がつかなかった。

 

 

 「ネオウさん、なんだか霧が濃くなってませんか?」

 

 「まぁ山だからね」

 

 

 言われて気がついたが確かに霧が濃い。

 いや……これは濃すぎないか?

 視界がほとんど無く、隣にいるマナさんのシルエットが、なんとか確認できるレベルだ。

 ここは山と言っても標高は1000メートル以下のはず、気温や季節を考えても、この濃さはおかしい。

 

 

 「あれ?」


 「今度は晴れて来ましたね、ビックリしました」


 「あのレベルの霧が、こんなすぐ晴れる訳ないんだけど……アレを見て」


 「立派なお屋敷ですね!!」


 「オレたちは霧に気がついてから動いていない、そして立ち止まる前に、あの屋敷が目に入っていれば気がついたはず」


 「と言うことは……霧が濃い間に出現したか、私たちが別の場所に迷い込んだということですね」

 

 

 非現実的な話なので口にすべきか迷ったのだが、言いたいことを、だいたい言われてしまった。

 驚き唖然としたのも束の間、マナさんの言葉と行動は、ここで終わらない。

 

 

 「状況を考えれば、聖剣ドロボーの住処に違いありません、ガサ入れです!!」


 「えっあっ」

 

 

 その凄まじい勢いに、オレはマナさんの背中を追う事しか出来なかった。

 屋敷の入り口に、あと数メートルで手が届くかという所で息を切らしながらも何とか追いついた。

 


 「マナさん、どうするつもり?」


 「え?」

 

 

 時既に遅しと言うべきか、なんとなく予想は出来ていたが、何の迷いも無く屋敷の扉を開けているマナさん。

 その右足は、すでに中へと踏み入れている。

 


 「流石に、これ以上は、まずいよー」


 「コチラは窃盗の被害に遭っているので、問題ありません!!」


 

 言い切った……ここまで来ればオレも同罪。

 普段からマキシム法は破りまくってるけど、刑法はヒヤヒヤする。

 なんかリン生徒会長の気持ちが少しは分かった気が……

 今度からは話くらい耳を傾けるようにしようかな。

 

 

 「うぬ、それは良い心がけだ」


 「あれ? 心の声漏れてた? ってうわぁぁぁ」

 

 

 そこにいたのは、リン生徒会長だった。

 驚きと絶妙なタイミングに思わず情けない悲鳴をあげてしまった。


 

 「リンちゃんもお散歩ですか?」

 

 

 平然と話を続けるマナさん、そして散歩な訳がない。

 

 

 「ゴホン、男女が2人で山奥とは不純な香りしかしないので見張りに来たんだ」


 「結構暇なんだね」

 

 

 あまりにストレートすぎる感想を口にし思わず自分の口を両手で覆う。

 だが時すでに遅し、リン生徒会長の眉がピクピクと動いているのが分かる。

 

 

 「リンちゃん、不純ってどういう意味ですか?」

 

 

 まるで、この単語を初めて聞いたかのような純粋無垢な反応。

 本当に同じ高校生なのかと疑いたくもなるが、お陰様でリン生徒会長の怒りは引っ込んだようだ。

 

 

 「ゴホン、まぁ2人とも無事そうで良かった」

 

 

 オレとマナさんを追いかけて来たその行動。

 不純とは違うかもしれないが、その行動の方が、よっぽどアレに思える。

 

 

 「そういえばリン生徒会長って今まで、この裏山に来たことある?」


 「小学校の頃の遠足くらいだな」


 「じゃあ、この屋敷についてなんて知ってる訳ないか?」


 「この屋敷? 堂本ネオウかマナのご家族のモノじゃなかったのか?」

 

 

 再びリン生徒会長の眉間にシワが寄る。

 マズい……これは住居不法侵入。

 今さっき、彼女に見られたらどうなるか分からないと考えたばかりだ。

 

 

 「そそそ、そういえばマナさんどこに行ったのかなぁ?」


 「白々しい、マナさんは、さっきまでそこに……いない!?」

 

 

 その場しのぎのつもりで出た言葉だったが、グルリと見渡せる範囲にマナさんがいない。

 広い屋敷ではあるが数秒の出来事、そう遠くへは行っていないだろう。

 とか考えている間に、バタンバタンとドアを開け閉めする音が聞こえてきた。

 リン生徒会長と共に現場に急行すると、そこには一部屋一部屋中を確認するマナさんの姿があった。

 

 

 「おいマナ!! 人様の家なんだろう?」

 

 

 まるで空き巣の現行犯のように取り押さえられるマナさん。

 いや……空き巣とやってる事は変わらんか……

 

 

 「リンちゃん離して下さい!! 聖剣ドロボーの証拠がぁ!!」

 

 

 身長差のせいで宙に浮きながらバタバタするマナさん。

 何にとは言わないが見とれてしまっていると、彼女と目がバッチリ合ってしまった。

 

 

 「ネオウさん助けて下さい!! リンちゃんが離してくれません!!」


 「堂本ネオウ!! お前からも何とか言ってやれ!! 相変わらず小柄なのに凄い力だ」

 

 

 この場合どっちの味方をするべきだろうか?

 個人的にはマナさんの味方をしたい。

 とか考えているとドアが開けられた部屋が目に入ってきた。

 

 

 「マナさん、聖剣ドロボーの手がかりは見つかったの?」


 「それがミニマリストさんなのか部屋が空っぽでして」

 

 

 暴れるのを辞め、押さえられたまま質問に答えるマナさん。

 彼女は、ここに来るまで何部屋もチェックしているはずだが、その全てがモヌケの殻だったという訳か。

 手がかりを探しておいる割に、確認が数秒で終わる訳だ。 

 

 

 「マナ、聖剣ドロボーと連呼しているが人様の敷地に勝手に入るなど~」

 

 

 リン生徒会長の説教モード、女子相手には貴重だ。

 

 

 「おい、堂本ネオウ!!」


 「はいっ!?」

 

 

 次はオレの番かと覚悟を決めたが、彼女の要件は違った。

 

 

 「さっきから、お前の手に持っているダウジングマシン的なのが、凄い勢いで回ってないか?」


 「えっ?」

 

 

 話し込んだりで、気がついていなかった。

 これは、マナさんの言う聖剣ドロボーが近くにいる事を意味する。

 

 

 「行ってみよう!!」


 「はいっ!!」


 「ちょっと待てぇ!!」

 

 マナさんは拘束からスルリと忍者のように抜け出し、オレの隣に着地した。

 そのまま魔力探知機を頼りに早足で進むが、人の姿どころか気配もしない。

 

 

 「遠くにいるのでしょうか?」


 「いや、魔力探知機の性能を考えると、そんなに離れていないと思うよ。

 向こうも移動しているみたいだね」


 「気がつかれてしまったんでしょうか?」


 「かもしれないね!!」

 

 

 オレが用意できる装備で、これ以上のモノは無い。

 今日取り逃がせば、マナさんの期待に答えるのは難しくなる。

 そう思うと自然と歩みが早くなった。

 マナさんとリン生徒会長よりも前に出ている気がする。

 運動は苦手なオレが、ここまで走るなんて……


 その時だった、忘れもしない目の前に腰まで伸びた見とれてしまう銀髪。

 夢にまで見た、いや夢の存在だと思っていたエルフが今オレの目の前にいる。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


 下の星から評価も、面白いと感じたら、入れてくださると嬉しいです。

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