17話:作戦☆
私、宮下マナは聖歌さんに赤い巨大ロボを見た翌日、早速ネオウさんに声を掛けたのですが……
「ネオウさん……屋敷に」
「ゴメン、もう屋敷に行くつもりはないんだ」
取り尽くし間もなく断られてしまいました。
ロボが見つかったという情報だけでも伝えられれば話しは変わったかもしれませんが、残念です。
「やはり難しいか」
後ろから声を掛けてきたのは、生徒会長も務めるリンちゃん。
「やはりって、こうなる事が分かっていたかのような口ぶりですね」
「話し終える前に行ってしまうとは思わなかったが、ロボの件を伝えたからとて結果は同じだったろう」
「え!? 何でですか!? 男の子ってロボ大好きなはずでは?」
「堂本ネオウが元気をなくしているのは、自らの夢だったファンタジー世界が、力なき者のにとっては脅威でしかないと知ったからだ。
そんな奴が、この世界に巨大ロボがあるなんて知ったらどうなると思う?」
「あ……」
今のネオウさんでは、あのロボを厳重に封印してしまうのが関の山。
元気になるどころか、より魔法から離れてしまうかもしれません。
「夢が変わるなんてのは、珍しい事でも悪い事でもない。
今の問題は、奴の元気が無さすぎることだ。
それは、ファンタジーという夢を復活させるだけが方法でもないだろう?」
「流石リンちゃん!! 私よりネオウさんの事を考えてらっしゃいますね!!」
リンちゃんの頬が赤くなったと同時に、少し不機嫌になったように見えます。
何かマズいことを言ってしまったでしょうか?
「ゴホン、まぁとにかくだ、奴を元気付ける事と夢をまた追わせる事はイコールでないという事だ」
「とは言っても、ネオウさんと話すようになったのは最近の事ですしパッと思いつきませんねぇ」
「すぐ思いつく位であれば、わざわざ元気付けようと動く必用もないのだがな」
リンちゃんは顎に手を当て、少し下を向いています。
私はこれが、本気で悩んでいる仕草だと知っているのですが、口に出すとまた怒られてしまいそうなのでチャックです。
人任せで無く、真剣にネオウさんを元気付ける方法を考えなければ。
「そういえば……うろ覚えなのですが、ママがどんな男の人でも元気にする方法を教えてくれた事がありました、確か棒を何とか……」
「ストップ!! ストップ!! それ以上は子供がして良いことでも、知って良い事でもなぁい!!」
何を怒っているのか分かりませんが、鬼の形相のリンちゃん、少し怖いです。
ネオウさんを怒る機会が減った分、私に向いている気がします。
「大人で無いまでも同級生ですよ!!」
「それを口にして何をするのかピンと来てないのは、本当に同級生か疑いたくなるぞ」
何を怒っているか分からないに加えて、何を言っているか分からないも追加されました。
とりあえず今はネオウさんを元気付ける方法を考えなければ。
「怒ってばかりいないで、もう一声アドバイスを頂ければと」
「そうだな……まぁお前達2人がどうなるとも思えんし、その数歩手前くらいならいいか?」
「はい?」
「コッチの話しだ、さっきのマナの話しが、少しばかり参考になっただけだ。
ネオウと何処かに遊びに行ったらどうだ? 一度は水族館やらに行ったと聞いたぞ?」
「あれは遊びに行った訳じゃありません!! でも……確かにお互い楽しかったと思います。
でもリンちゃんと聖歌さんは一緒に行かないんですか?
元気付けたい気持ちは一緒ですし、大勢の方が楽しいですよ?」
良い提案かと思ったのですが、リンちゃんは首を横に降りました。
「私は少し調べたい事がある、聖歌には悪いがオススメはせんな。
今のネオウは魔法というモノを意識させない方が良いだろう」
確かに……聖歌さんは聖剣泥棒であり異世界人。
悪い人ではないと思いますが、嫌でも魔法を意識してしまいます。
「分かりました!! 早速明日にでも誘ってみます」
「あぁ、そっちは頼んだ、検討を祈るぞ」
***
翌日の放課後、私は早速行動へと移しました。
「ネオウさん!! 暇ですよね?
これから買い物に行きませんか?」
はい早速失敗です、言った瞬間に気がつきました。
声を掛ける第一声で相手を暇人扱い。
1日の大半を費やしていたであろう活動をいきなり辞めたので間違いは無いと思いますが、これではいけません。
「えっと、えっと……ゴメンナサイ!!」
次に出るのは謝罪の言葉、これではネオウさんを困らせるばかりです。
「無理しなくていいよ? オレを元気付けようとしてくれてるんだよね?」
「ちが……」
言い切らなければいけないのに……詰まっちゃいけなかったのに……
言葉が遣えてしまいました。
「マナさん、ウソ苦手っていうか、ほとんど吐いた事ないでしょ?」
「ウソじゃありません!!」
今度は言い切れた、確かに私はウソが苦手です。
でも、これはウソじゃない、確かに私は無理をしていたけど……
ネオウさんに元気になって貰いたいのは、本気!!
だから、そのためにはどんな無理もしなくちゃ!!
話して分かった……今のネオウさんは独りにしちゃダメだ!!
「ネオウさん!! また聖剣を奪われてしまいました!!」
「え? え? え?」
「リンちゃんは調べ物、聖歌さんは異世界人なので出歩けません。
なので、また一緒に探してください!!」
気がつくと、ネオウさんの手を無理矢理引っ張り、当てもなく走っていました。
ネオウさんには元気になって欲しい……
でも何でこんなに私は必死なんだろう。
ロボットを見て欲しいから?
聖剣の事を知りたいから?
うんうん、ネオウさんの心が異世界から離れたら、友達じゃなくなる気がするから
、かな?
このまま考えても答えが出ない問いですね。
「マナさん!! マナさん!!」
「はつはい!?」
手を夢中で引いたまま、見慣れない場所に来てしまいました。
ネオウさんは息を切らし、手も痛そうに……ゴメンナサイ。
「もう!! 聖剣を盗まれたって絶対ウソでしょ?
どこに行くつもりなのさ!!」
「買い物に連れだそうとしても、首を縦に振って下さらなかったので」
「オレの事は、放っておいてよ!!
異世界なんて……もうどうでもいいんだ!!」
感情的に大きな声を出すネオウさん。
こんな所を見たのは初めて……
「私は……見て見たいですよ?
ネオウさんの造るファンタジーな世界を。
危険って、今の世界でも沢山あると思うんです!!
それなら、もっと……キラキラした世界の方が……」
ダメだ……私じゃ、ネオウさんを説得できない……
彼の顔は……前みたいなキラキラを失ったままだ。
せめて買い物に一緒に行って気分転換でもと思いましたが、私と出かけたってネオウさんのキラキラは……
自分の無力感で、瞼が熱くなって来る……
今のネオウさんの気持ちは、この気持ちよりもっと絶望しているはずなのに、何も出来ない。
「マナさん……ゴメンね。
自分の夢を諦めるのは自分の自由。
だけど、必死に元気付けようとしてくれてる友達を無碍にするのは罰当たりだよね?」
ネオウさんは、笑って手を差し伸べてくれた。
やっと笑ってくれたけど……無理してる。
私の為に、さっき私に「無理しなくていい」って言ったクセに。
こうなったら、楽しまなきゃ!!
自分の頬を叩き気合いを入れ、私とネオウさんは街へ向かう事になりました。
「何か買いたい物とかはあるの?」
「あっ……」
誘ったのに何も考えてない……無念。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
ストーリは一生懸命練っているので少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると幸いです。
下の星から評価も、入れてくださるとモチベが最高潮になるとか。
他の連載作品も見て頂けると、良い事があるらしい。




