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16話:挫折☆

 オレは負けた、スズメさんの召喚魔法。

 そのダーク・フェニックスに手も足も出なかった。

 

 だけど、そんな事は大した問題じゃない。

 スズメさんの残した一言が、1週間経った今もオレの心に突き刺さっている。 

 

 

 「堂本ネオウ、魔法のある世界とは、ファンタジーな世界とはこういう事だ!!

 お主の願う世界は、老人や子供、闘う術の無い者に、このような化け物がいる世界で暮らせという事なのだ」

 

 

 オレの知ってるラノベのチート主人公は、どんな敵も苦戦する事無く倒して仲間を護る。

 だけどチート主人公だって、全ての魔物を倒している訳じゃ無い。

 描かれていない所で、彼らが助けられなかった、把握できなかった犠牲は日々出ているはず。

 そんなこと……想像もしていなかったな。

 

 

 「堂本ネオウ!!」

 

 

 オレを呼ぶ大きな一言で、今登校中で、学校に到着したのを思い出した。

 あれから1週間、ボーッとしている時間が増えている。

 もうファンタジーな世界は目指さないって決めたんだ……進路なり次の目標を考えないとな。

 

 

 「リン生徒会長、おはよ」


 「おはよ!! ではない!! 魔法のホウキでの登校は校則違反だとあれほど……」

 

 

 言葉を進めるごとにリン生徒会長の歯切れが悪くなっていく。

 きっとオレが徒歩で登校しているからだ。

 あれ以来魔法のホウキは使っていないのだが、校門前での検閲は不定期開催。

 オレが徒歩通学になったのに気がついていなかったのだろう。

 指導受けたり屋敷で一緒だったりするけど、1対1の交流がある訳じゃないからね。

 

 

 「もうリン生徒会長に迷惑かかるような事はしないよ」


 「迷惑って……」

 

 

 普段は規則を守れ言ってる癖に、守ったら守ったで心配したような顔。

 言われた通りにしてるのだから、こっちが罪悪感を感じる様な言い方は辞めて欲しい……

 

 ここ数日絡んでた相手の趣味思考が変わっては戸惑うのは分かる。

 ……心配してくれているのは申し訳ない。

 

 校則を守っているオレに、これ以上言える事はないからか、リン生徒会長は引き返していって。

 

 オレの願望かもしれないけど、すぐに慣れてくれるだろう。

 


 

 ***

 


 

 「堂本ネオウが校則を守ると仕事が一気に減るもんだな」

 

 

 私、渡リンはマキシム高校生徒会長を務めている。

 このマキシム市を牛耳るマキシム社が管理する由緒正しき学校。

 ここの生徒会長を努めるという事は、マキシム市の、いや日本の未来の秩序を護る事を意味する。


 訳あって1年にして選出されたが身に余る光栄と言う言葉が相応しい任務。

 ……だが時期が最悪だった。

 恐らく人類のエネルギーが魔力に変わって以来、最大の問題児であろう堂本ネオウ。

 こいつと同じ世代……どころか同じクラスとは。

 タイミング的な問題だが私が生徒会長になってから毎日重大な校則違反者が出ていることになる。 


 よく幸運が訪れると「人生の運を使い切った」なんて表現が使われる。

 私の場合は「人生の不運を使い切った」そう言わずにはいられない。

 

 

 「リンちゃん……リンちゃん……」

 

 

 深く考え事をしていたせいか今まで声を掛けられていたのに気がつかなかった。

 特徴的な可愛らしい声もだが、私を“リンちゃん”なんて呼ぶのはマキシム高校に1人しかいないので、相手がマナだとすぐに分かった。

 

 

 「すまないボーっとしていた、おはよう」

 

 「おはようございます、ネオウさんの事を考えてらしたんですか?」

 

 「そそそそそそんなわけ!! テスト前で寝不足だっただけだ」


 「今日、久しぶりに屋敷に行きませんか?

 ネオウさんが……魔法の発明を辞めてしまって、スズメさんとの勝敗の約束は見逃されて自由になりましたし」


 「なっ!! なぜ私が、堂本ネオウを元気づける作戦会議などに参加せねばならん!!」


 「私は、屋敷に集まるとしか言ってませんよ? テスト勉強を一緒にと思ったのですが」


 「あっ……」

 

 

 やってしまった……マナが策士というか、私が間抜けすぎると言うべきか。

 

 

 「リンちゃんが言うなら、作戦会議としましょう」

 

 

 満面の笑み……はめられてしまったらしい。

 仮にも自分から口にしてしまったので断る術は無かった。




 ***  

  

 


 放課後屋敷に集合すると、エルフ?という種族らしい聖歌さんが、ホコリまみれで出迎えてくれた。

 

 

 「ゲホッゲホッ……2人ともいらっしゃい、久しぶりね。

 ネオウ君は……来てないか……」

 

 

 聖歌の露骨に残念そうな表情。

 考えてみれば、異世界から来たという彼女にとって、ネオウはこの世界で唯一の理解者。

 原因がハッキリしていてもそんな奴が来なくなれば肩も落とすか。

 なんて考えている間に、マナは話しを進めていた、

 


 「そのネオウさんの事で作戦会議に来たのですが……

 聖歌さんは、何故ホコリまみれに!?」

 

 

 私の記憶が正しければ、マナは、自分の聖剣とやらを狙う聖歌を警戒していたはずだが、いつの間にか友のようになっている。

 そこが彼女の良いところ、私には到底マネできない。

 にしても、堂本ネオウが研究でやらかす以外、比較的綺麗な屋敷で聖歌がホコリまみれなのは気になる。

 


 「それがね……ネオウ君がいたら見て欲しかったんだけど、すっごいの見つけたの!!」

 

 

 閑散として、不自然に大きな暖炉だけがある部屋に案内された。

 暖炉の横には引きずったような痕……まさかなぁ?

 


 「この部屋ね!!」

 

 

 上機嫌な聖歌の脇を素通りし、私は暖炉を痕のある方へ押した。

 すると暖炉は簡単に動き、後ろに隠されていた地下へ続く階段が目の前に広がる。

 

 

 「リンちゃん、すごいです!!」


 「わーーーーん、私が最初に見つけたのにぃ!!」

 

 

 キラキラと目を輝かせるマナと、滝のような涙を流す聖歌。

 この屋敷が異世界とやらから来た可能性を差し引いても、これだけ不自然に大きければ気がつくだろう……いや聖歌が引きずったであろう痕が決め手だった訳だが。

 

 

 「本題は、この中にあるのだろう? 突っ立ってないでいくぞ!!」

 

 

 気がつけば先陣を切っていた、なぜ私がここまで乗り気なのだろう?

 まぁ、私も一緒に来なければ2人とも聞かないだろうし、先陣も後陣も変わらない。

 とはいえ、らしくもない自分の態度に苛立ちながら一本道を進むと、縦に長い部屋へたどり着いた。

 

 

 「これは……」


 「そう!! 私が見つけたのはこれ!!」


 

 それはそうだろう“こんなモノ”の他に見せたい何かがこの場にあるなら、勘弁してくれと泣いている所だ。

 異世界だからといって、存在するものだろうか?

 どちらかというと未来の技術ではないか?

 『超巨大ロボ』とは……

 

 

 「うわぁ!! 赤くて格好よくて強そうです!!

 これならスズメさんのダーク・フェニックスにも勝てそうですよ!!」

 

 

マナは驚きよりも、喜びが上回っているようで、巨大ロボの周りをウロウロしている。

ダーク何ちゃらの名前も私と違い覚えている、というか気に入ってるようだ。

 

 

 「動けばね」


 「動かせないんですか?」


 「こんなの初めてみたもの、最近みんな来なくて暇だったから掃除して待ってただけよ」

 

 

 この口ぶりでは、ロボの発見は偶然、ここにあるのは知らなかったし、ダーク何ちゃらの対策をしていた訳ではなさそうだ。

 

 

 「それでホコリまみれだったんですね、異世界ってこんなのもあるんですね」


 「初めて見たって言ったでしょう? 私の世界のより、この世界の車とか飛行機とか、そういうのの方が近そうじゃない?

 この世界に来てから魔法は使えないし、私の知ってる魔力で動くのかも怪しいわ」

 

 

 手詰まり、適当に触って動く事はないだろうが、こんな得たいの知れないモノを放置するのも危険だ……

 だが堂本ネオウは、クラスメイトからの修理の依頼も断るほど、魔法の研究とやらから離れている。

 どうしたものか……

 

 っと私の心が堂本ネオウに寄ってるなんて事は決してない。

 あくまで危険の排除が目的……そう言い聞かせマナと作戦を練ることにした。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練っているので少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると幸いです。


 下の星から評価も、入れてくださるとモチベが最高潮になるとか。


 他の連載作品も見て頂けると、良い事があるらしい。

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