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世界情勢エッセイ

「消費減税」をしたのに支持率低迷! カナダのトルドー首相はなぜ辞任するのか?

作者: 中将

◇政権末期は批判が殺到



筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 今回はカナダのトルドー首相が25年1月6日に首相と与党自由党の党首の辞任を表明しました。

新党首が選出されるまでは現職にとどまるものの、25年4月以降に新代表の下で総選挙が行われることについて個人的な意見を述べていこうと思います。


 ちなみに日本はカナダからは2兆円前後毎年取引があり、特に穀物や資源などを輸入している超重要国でもあります。



質問者:

 トルドーさんは2015年から9年以上もカナダを率いてこられたわけですが、どうしてここに来て辞任されることになったのでしょうか?



筆者:

 トルドー政権では、

 原住民との和解、非課税児童手当の実施、ジェンダー平等な閣僚起用(男女比50%ずつ)など比較的評判の良い政策もあったわけですが、


 連邦炭素税の導入(インフレに影響)、娯楽用大麻の合法化、安楽死合法化(なんと、生活保護よりもやりやすい)など議論が紛糾する政策も多く、徐々に歪みが政権末期では出てきていました。


 特にカナダ国民の不満が爆発したのは新型コロナウイルスのワクチン接種の義務化でした。

 2022年初めには「自由の車列フリーダム・コンヴォイ」と呼ばれる多数のトラックによる抗議行動に発展。トルドー氏は結局、前例のない緊急権限を使ってデモ隊を排除したもののあまりにも強権的であったことから「独裁的」と批判され、政権にとって「大きな傷」になりました。


 その後にロシアとウクライナの問題により住宅と食品の価格が急上昇し国民の大半の心が離れたようです。


 移民をめぐっては野心的な受け入れ目標を掲げていましたが、公共サービスに負担がかかり出すと、これを撤回したりなどグダグダな政権末期だったようです。


 最近の政権支持率は20%前後と低空飛行で、国民からしたら「選挙が待ち遠しい」と言った状況だったようです。


 トランプ氏がとどめを刺した感じで、

 クリスティア・フリーランド副首相が先月、突然辞任し、

 アメリカのドナルド・トランプ次期大統領がカナダ製品に関税をかけると脅していることに触れ、トルドー氏が「重大な課題」に十分に対処していないと、内部からも非難の声が高まっていたようです。



◇消費税減税の「やり方」がマズかった



質問者:

 日本や欧州でも物価高への対策が課題でしたが、内外からの圧力で倒れてしまった感じなんですね……。


 でも、24年末には日本では消費税に当たるサービスに関する付加価値税が減税になったようなんですけど、それではどうしてダメだったんでしょうか?



筆者:

 実は今回はここがメインテーマなわけです。


 今後、こう言われないか心配なわけですよ。「カナダでは消費減税をしたのに国民から批判が多く、政権が倒れた。日本もやるべきではない」とね。


 しかしこの消費減税は“厄災“とでも言うようなものだったのです。



質問者:

え、どうして減税なのに厄災なんですか……?



筆者:

 まずこの減税は24年12月14日から2カ月の間しか実施されないものです。

 11月下旬に突如として決定した政策で、しかもクリスマス商戦直前だったので「値段の張替え」の手間が尋常ではありませんでした。


 また、減税されるのは一律ではなく「品目として定義されたものごと」と複雑でした。

 特に「子供向け商品」が非課税なのですが、何か「子供向け」なのかはほとんど「勝手に決めた」ものでした。


 クリスマスツリーは非課税なのにクリスマスツリーの飾りは課税

 ポケモンカードは非課税なのにフットボール選手のカードは課税

 ゲームソフト本体なら非課税ですが、ダウンロードしたゲームは課税だったりするなど、


 もう何が非課税で何が課税か分からない状況なのです。


 しかも、大混乱になることが分かってから消費税減税は事実上の義務では無いといった謎めいた発表までされたようです。



質問者:

 それは酷いですね……。もう、一括の給付金の方がマシですね。



筆者:

 日本でも去年の6月から「所得減税」というニックネームの「給付金の変化球版」のようなものがありましたが、あれも事務負担が大きく給付金の方がマシだと批判が殺到しました。


 ようはあれに近いものがカナダでもあったという事ですね。


 カナダの世論調査でもこの消費減税が発表されてからも全く支持率は上がらなかったために、カナダ国民側も“ある種の理解”があったのだと思います。



質問者:

 日本の「所得減税」と同じように「名前だけ人気取り政策」だったという事なんですか?



筆者:

 そうなります。日本でも減税のやり方が支持率上昇に繋がらず岸田政権が退陣しましたが、カナダでも似たようなことが少し遅れて起きたということなんです。



◇カナダは今後大混乱



質問者:

 「消費減税が支持率上昇に繋がらなかった」という言葉のイメージとちょっと違ってくるという事は分かったんですが、

 今後のカナダはどうなるんでしょうか?



筆者:

 まず、今回のトルドー氏の退陣は別に「国民のために思ってやったこと」では無かったようです。


 トルドー氏は議会下院が3月下旬まで休会することを明らかにしているようですが、

 本来この間は予算を決めなくてはいけない期間となります。


 それをトルドー首相の自由党が体勢を立て直すための「時間稼ぎ」をするだけの時間としての休会なので、カナダ国内では怒りが再び爆発しているようです。


 なぜ休会なのかと言いますと、国会が開かれると野党などが不信任を成立させて強制解散をさせないための策だと言います。

 現在連立している「新民主党」が不信任賛成に回ることを表明していることから、不信任決議が可決される可能性が高いことも影響しているようです。


 ようは、不信任を阻止し、新しい自由党代表での「ご祝儀相場」を狙っているようです。


 カナダで24年12月末に行われた世論調査では、自由党の支持率が16%となっているのに対し、最大野党・保守党が45%と大きくリードする情勢ですからね。



質問者:

 確かに3か月近くも休会なのは何故なのかな? と思いましたが、それは酷い話ですね……。


 何か、「減税」もそうでしたが、党首を替えて支持率上昇を狙うのは日本とかなり似たような展開になっている気がしました……。



筆者:

 この長期の休会がカナダ憲法からして、そもそも認められるかが分かりません。

 どう見ても自由党の都合のために休会しているようにしか見えませんからね。

 大体4月前後には予算が成立するようなので予算審議をする必要も本来ならばあります。


 この休会が違法であればすぐさま国会が開かれて不信任から即座に総選挙と言った事態にもなるかも分かりません。



質問者:

 色々大変そうなんですね……。



筆者:

 ただ、カナダでは選挙が行われれば支持率が高い保守党に政権交代される可能性が高いために日本よりマシとも言えます。


 保守党が消費減税などを公約にしていることからそれに先んじて実行しようとしたのかもしれませんね。

 結果的には自爆となりましたがね。



質問者:

 減税する政党に政権交代が出来そうならカナダは幸せかもしれませんね……。



筆者:

 日本は「ザイム真理教」に政治家が侵されているのか自民と立憲と言う二大選択肢がどっちも増税と言う悲惨さですからね。


 増税同士の政党が政権交代のパスをしあっているような有様ですからね。

 これでは国民生活が良くなる要素がありません


 日本も「他の増税なし」の「恒久的消費減税」又は「恒久的社会保険負担減」になることを心の底から願いたいですね。


 しょうもない減税をやるぐらいなら給付金がましでしが、給付金では消費刺激策にならないので恒久減税しかないんです。

 増税一辺倒だと将来不安のために皆さん貯金しますからね。


 ただ、ややこしい減税(今野党で言われているような給付付税額控除)をするぐらいなら、完全に廃止した方が事務の手間が省けて良いと思いますけどね。



質問者:

 増税ばかりではどれだけ使ったらいいか分かりませんからね……。

 でも、減税にも色々種類があるという事を本当に学んだ感じがしますね……。



筆者:

 何かしら「手間」がかかるのは大抵「利権」が絡んでいる可能性が高いです。


 純粋に「消費税完全廃止」これが一番手っ取り早いと思いますよ。

 一番効果があるのは社会保障費の低所得者の負担軽減措置ですが、少し手間がありますからね。


 僕はそういう事も含めて訴えていきたいと思います。


 という事でここまでご覧いただきありがとうございました。


 今回は、


 トルドー首相はコロナ以降失政続きで支持率を失って辞任に追い込まれた。

 「消費減税」は12月からと時期が悪く、撤廃品目も複雑で、2カ月しかないこともあって国民から不評だった。

 減税は分かり易い方が国民のためになるので今後も主張していきたい。


 と言うことをお伝えしました。


 今後もこのような日本に関わる国際情勢や政治経済について個人的な意見を述べていきますのでどうぞご覧ください。

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