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クラン 魔を狩りし者へようこそ ~深淵を目指す英雄見習いコンビ~  作者: 鎖月 弥生
第0章 選定される英雄見習い

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第5層目

Side サズキ


 ハルさんはだいぶ回復したのか、調子を確かめるように体を動かしている。

 テスト前の考察と、最後のカルマの慌てようを外から見ていたから分かった。

 ハルさんの速度の変化は、おそらく風魔法だ。


 とはいえ職員さんが何も言わないということは、あれはパッシブ扱いなのだろう。

 となると、速度が急変する可能性がある。それは少し厄介だ。


「よし、待たせたな、黒新米」


「大丈夫です。むしろ、うちの馬鹿がすみません」


「バカってなんだー!」


「いや、彼の言う通りだ。対モンスターでは、勝って生き残った者が正義だからな。気にしてはいない」


「そうだそうだー!」


「すみません、少々お待ちください」

「かーるーまぁー?」


「ひぃ!すみません!調子に乗りました!」


 はぁ。

 作戦が上手くいって気持ちいいのは分かるけど、同じ手を使いづらくなることも考えてほしい。


「お待たせしました。もう大丈夫です」


「そ、そうか。ならいいが……じゃあ、お願いします」


「承知しました。では、実技テストを開始します」


 ハルさんは長剣を両手で握り、今度は下段に構えた。


「両者、位置について」


 支給されたガントレットの感触を確かめながら、両腕をだらんと下げる。


「始め!!!」


 ハルさんは、カルマの時と同じようにこちらへ向かってくる。


「ぐぎゃぎゃ。オデ、賢い、ゴブソル。同じ手、食らわない」


 大丈夫ですよ、ハルさん。

 僕とカルマは、戦い方が違いますから。


「ほらほら、どうした!動かないと、このままかち上げるぞ!」


 距離が詰まる。

 長剣の間合いに入った。

 さて、そろそろ。


「ふぅ」


「はっ?」


 ハルさんが目を見開く。

 初見の人は、だいたいこういう反応をする。


 僕が、相手の獲物をガントレットでそのまま抑え込むからだ。


 先生曰く、僕の怪力スキルは同ランク帯とは一線を画すらしい。

 パッシブのみ、かつゴブリンソルジャー程度の出力で振るわれた長剣なら、止めるのは難しくない。


「ぐぎぎ…なんつー馬鹿力してんだ、黒新米」


「お褒めいただき、ありがとうございます」


「だがな、俺の武器は剣だけじゃないぜ!」


 バックラーが振るわれる。

 距離的に回避は不可。なら、迎え撃つ。


 舞台に、木で石を殴ったような音が響いた。

 僕が頭突きで迎撃しただけだ。


 ただ、その衝撃で拘束が緩み、ハルさんに距離を取られてしまった。

 額が切れ、視界が赤く染まる。


 まあ、問題ない。


 ―――どうせ、すぐ治る。


「はっ!真面目ちゃんかと思ったら、お前の方がイカれてんのか!」


「何を言ってるんですか。僕は、僕にできることをしているだけですよ」


 血を拭う。

 もう流れてこない。


「じゃあ、今度はこっちから行きますね」


 真っ直ぐに駆ける。


「策があろうがなかろうが、叩き伏せてやる!これじゃあ、どっちがゴブリンか分からねぇなぁ!」


 ハルさんは長剣を大上段に構え、待ちに入る。

 リーチ差を考えれば正解だ。


 しかも、推定風魔法による向かい風が吹いてくる。

 これで僕の速度が削られる。


 でも、残念。



 Side 朧月 狩魔


「あーあ。こりゃ勝負あったな」


 武器を持たない相手が、待ち構える剣士に正面から突っ込む。

 普通なら、自殺行為だ。


 普通ならな。


 鈍い音が二度、舞台に響く。


 一つは、長剣が相棒の左肩を穿った音。

 もう一つは、相棒の拳がハルさんの顎を打ち上げた音。


「判定、致命!勝負あり!!!」


「ありがとうございました」

「カルマ、勝ったよ」


「おめっとさん。とりあえず職員さん来てるから、ポーション貰っとけ」


「それもそうだね。ありがとうございます」


 相棒はポーションを受け取り、一息で飲み干す。


「調子は?」


「終わった時点で、もうほぼ治ってたよ」


「そうかい。最後、途中まで膝で狙ってたろ」


「うん。そっちの方が確実だからね」

「でもカルマが先にやっちゃったから、フェイントにした」


 実際、相棒は長剣を肩に食らいながら、途中まで膝で金的を狙う軌道に入っていた。

 ハルさんが反射的に足で防いだから、そのままの勢いで拳を振り上げ、顎を打ち抜いた。


「シンプルにえげつないぞ、相棒」


「相棒が正中線上の弱点を常に狙うたちだから仕方ないよ」


「それもそうか」


「「ははははは」」


 なお、相棒の後ろで膝を抱えるゴブソルと、それを慰める職員さんがいるが、今は見なかったことにしておこう。


「朧月さん、鳴無さん。お二人とも致命判定となる一撃を確認しましたので、実技テストは合格です」


「「はい!」」


「朧月 狩魔」

「鳴無 紗綺」


「Bランク冒険者 ジョウモクの推薦を認め、次の者をFランク冒険者として登録します」

「お二人のご活躍をDEAは応援、サポートさせていただきます」


「「ありがとうございます!」」


 ICカードサイズの免許証と、野球ボールサイズの黒色の玉を貰う。


「こちらが正式な冒険者免許証と、初心者応援のランダムスキルオーブになります」


 初心者、応援…?

 内心、首をかしげていると、隣から圧を感じる。

 やっべ。真面目に聞いていなかったのバレた。


 鬼が出るか蛇が出るかと思っていたが。


 出てきたのは、雷様でしたとさ。




ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


次話以降は、数日おきの更新ペースでの投稿になります。

引き続き、お付き合いいただけると嬉しいです。

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