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クラン 魔を狩りし者へようこそ ~深淵を目指す英雄見習いコンビ~  作者: 鎖月 弥生
第1章 駆け出す英雄見習い

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第33層目

 Side 秋音


 食後に出てきたデザートを2()()いただきつつ、目の前の後輩達を眺める。


 私と変わらないくらい甘味が好きなサズキは、抹茶のティラミスに舌鼓を打ち、幸せそうな顔をしている。


 それに対して、私にデザートを()()したカルマは、羨ましそうにサズキを見ているが、あれは別事を考えている時の顔だな。


 どうせ、私を迎え入れた事によるメリットとデメリットを改めて考えているんだろう。

 別に私はお前らのデメリットになるつもりは無いし、カルマもそれを理解しているはずだ。

 それでも思考を巡らせるのは、ご苦労なことだ。


 もう少し世界を肩肘張らずに見れば、楽に生きられるだろうに。

 そんなんじゃ近いうちに禿げるぞ。


 まぁ、お前らの境遇と目標を考えたら、それくらい世界を疑ってかかるのが正解かもしれないけどな。


 ったく、難儀な後輩達だ。

 ダンジョンの外のしがらみはある程度弾いてやるから、せいぜい私が満足できるだけの給料を払えるようになるんだな。


 ……とりあえず、自重から覚えさせるか。



 Side カルマ


 うわぁ……姉御が黙々とデザート食べながらこっち眺めてるよ。

 恐怖以外のなにものでもない。


 いつもだったら相棒みたいにニッコニコしながら食べてるのに、なんかニヤニヤしてら。


「それにしても姉御、ダンジョンの外のことだけとはいえ俺らに構ってていいんですか?」

「自分たちのパーティだってあるでしょうに」


「別に問題ないさ。元々私らはDランクまで上がれたら解散する予定だったからな」

「むしろ暇になるから丁度いい機会だったとも言える」


「先輩達のパーティが解散するんですか?」

「先輩たちの代の学園No,1パーティの名を欲しいがままにしていたのに……」


「上に行きたい奴らと現状で満足してる私らで熱意に差ができたから仕方ないさ」

「下手にその状態でダンジョンに潜り続けて、選定に巻き込まれたりしたら全滅一直線になる」

「だから世間的に中級者として扱われているDランクに上がったのを期に解散するのさ」


 熱意に関してはパーティを組む上で難しいところだよな。

 相棒の事もあるが、その辺の擦り合わせとかが面倒でパーティを組んでいない面もある。


「でも上に行く先輩方は大変っすよね。姉御が抜ける穴は大きいっすよ」


「なに、アイツらも馬鹿じゃないし、私もそこまで薄情じゃない」

「使える人脈使ってハルさんとこの下部クランに入れるようにしておいたさ」


 ここでもハルさんの名前が出てくるのか……。

 というより先生がハルさんと仲がいいのかもな。

 姉御はその繋がりを強かに利用してるってとこか?


「流石姉御、抜かりないっすね」


「だろう?だからお前らのサポートも万全にしてやるから任せな」


「うっす、あざっす!」


「ありがとうございます秋音先輩、よろしくお願いします!」


「ふふん、大舟に乗ったつもりでいな!」

「そうだ、どうせお前ら愉快なことになってんだろ」


「愉快なことって……まぁ他人事なら割と愉快っすけど」


「デザートも食べて一息着いたんだ。お茶でも飲みながら卒業後のことを話しな」

「私と父さんの先輩冒険者2人で聞いてやるよ、お前らの冒険譚」


 なら先達の胸を借りて話さしてもらうか。

 この半月ちょっとにしては濃すぎる冒険譚を。



 ーーーーー



 俺らが全部を語り終える頃には、先達の2人はリアクションし疲れたのか、真顔で天井を見上げていた。

 んー、親子っすね。


「あっ、そうだ相棒言い忘れてた」


「どうしたのカルマ?」


「今さっき姉御に殴り倒された相棒を起こした時に氷魔法覚えた」


「えっ?」


「ほら」


 氷塊を3つほど生成して、頭上をクルクル周回させる。


「えぇー!!!」

「どっ、どういう事なのカルマ!」


「いやぁ、どうやら適正のあるスキルって、未取得の状態でも取得済みスキルの領分に侵食して発動できるみたいでな?」

「その状態を認識出来れば取得できるみたいだ。今回の場合は例の氷刀がそれに該当したみたいでな」


「は、はぁ……なるほどね?」

「たまに謎のタイミングでスキルを取得するケースがあるって聞くけど、もしかしたらその仕様のせいなのかもね」


「多分な」


「これでスキルの取得条件がまた1つ判明したね」

「オーブ、経験、素質の自覚かぁ……他にもあるのかな?」


「んー、後ありそうなのは譲渡とかじゃないか?」


「たしかに!ありそうだよね」


 俺らがキャッキャ話してると、フリーズから帰ってきた先生が肩を震わせる。

 おっと、これはまずいかも。

 とりあえず氷塊は消しとこ。


「お!ま!え!ら!」

「そういう所を自重しろと言ってるんだぞ、問題児コンビ!」


「父さん、私これ無理かも。このあんぽんたん達を制御できる気しない」


「頑張るんだ秋音、お前の手腕にかかってる」

「とりあえず問題児コンビ、その説はこっちで検証するからひとまず心の中に仕舞っとけ」


「もちろんそのつもりっすよ」

「面倒事はごめんっす」


「ほんとに信じていいんだな?バカルマ」


「もちろんっすよ姉御」

「俺らに横の繋がりとかないっすから」


 言っててちょっと悲しくなったけど事実なので仕方ない。


「そんな自信満々に言われると俺の教育の仕方が間違ってたように思ってしまうな……」


「先生は悪くないですよ。ただ僕達が選んだ道に交わる人が極端に少ないだけです」


「そうそう、それにその為の姉御なんでしょ先生」

「頼りにしてるっすよ、姉御!」


 そう、何も俺らが変に頑張る必要はないのである。

 適材適所、出来る人にお願いすればいい。


 決して俺が人見知りだとか人付き合いが面倒とかではない!

 決して!!!


「はぁ、調子の良い奴だ」

「まぁいい、そこら辺も上手いこと調節してやるさ」


「それじゃあ話もまとまったことだし、そろそろ退店するぞ」

「ついでに送ってってやるからお前ら先に車乗っとけ」


「わーい!助かるっす先生!」


「ご馳走になります、先生」


「おう」


 端末から会計の手続きをしたであろう先生が先に部屋から出ていく。


 あっ、そうだ。


「姉御、これ渡しとくっすね」


「なんだこれ?」


「例のチェストへの接続端末っす「はぁ!?」、どうせ素材の調整とかするなら見れた方が便利っすよね?」


「それはそうだが!こんな厄ネタ気軽に渡すな!」


「えぇ、遅かれ早かれ渡すことになるんすから、対面してる今が丁度いいじゃないっすか」

「2、3日休んだらまた俺たちダンジョン潜るつもりっすし」


「ったく仕方ねぇなぁ……私も物を入れていいのか?」


「それはもちろん。ただ俺らに見られて困るものは入れないでくださいっすよ?」


「分かってる。ならありがたく使わせてもらおう」

「それじゃあとっとと車行くぞ。このままのんびりしていたら父さんが先に会計終わっちまう」


 そう言って姉御が部屋から出て行く。


 …


「なぁ相棒」


「なに?カルマ」


「自重する気あるか?」


「秋音先輩には悪いけど無いよ」


「だよなぁ」

「立ち止まってる暇なんてねぇよな」


「うん」


「これからも無理無茶無謀に付き合ってもらうからな、紗綺(さき)


「もちろん、何処までもついて行くよ、狩魔(かるま)


 拳を軽くぶつけ、席を立つ。


 さぁ、今度は先生達にここを奢れるくらい稼げるようになろうか。


 とりあえず帰ったら次に行くダンジョンを探すとこからだな。

 姉御に相談しつつ探すことになるだろうが、そこら辺は相棒に上手いことやってもらおーっと。


 俺?俺はほら勘でダンジョンの候補上げる係だから……。

 ちゃんと仕事してるもん!


ここまで読んでいただきありがとうございます。

これにて第一章は閉幕とさせていただきます。


ここから少しだけお休みをいただきますが、

一週間後に第一章の主要人物紹介を投稿予定です。


その翌日から第二章を更新再開します。


引き続き、カルマ達の物語を楽しんでいただけたら嬉しいです。


もし続きが気になる、待ってるよと思っていただけましたら、

ブックマークや高評価、コメントなどお待ちしております。


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