第2層目
本話は同時投稿分の2話目になります。
この後も続けて投稿していますので、よろしければこのまま読み進めていただけると嬉しいです。
さて、相棒を置いて駆け抜けること10分。
学園からさほど遠くない場所に、DEAことダンジョン探索協会はある。
ここに来るのは学園に入学した当初、仮免を取得した時以来だが、相変わらずデカいビルだ。
都会からは少し離れているし、土地だけは有り余っている。10階建てでも不思議じゃないってわけだ。
――さて。
いい加減、着信音が五月蠅い電話に出るか。
「よっす、ボタン何個残った?」
「ワイシャツの袖ボタンだけだよ、ほんとに怖かった」
「って、そうじゃなくて。カルマ、まだ中入ってないよね!!!」
「流石の俺もそこまで薄情じゃないさ。あれなら着替えてから合流するか?」
「いや大丈夫。とりあえずリュウから学ラン借りたから、もうちょっと待ってね」
「了解。じゃあコンビニ寄って待ってるわ」
あの後輩くんも可哀想に。
下手したら相棒が学ランを返した後、同級生の女子たちに襲撃される可能性すらある。
まぁそれは未来の彼に頑張ってもらうとして、俺は相棒が来るまでコンビニで時間を潰すことにした。
――――――
「お待たせ、薄情者」
「別にそんな待ってねぇよ、色男」
「あと置いてった件は、これでチャラにしてくれよな」
俺は肩で息をする相棒に、午前ティー(赤)を投げ渡す。
「はぁ…。まぁ、あの状況にカルマが巻き込まれるの苦手なのは知ってるからいいけどさ」
恨みがましく睨まれるが、喉を潤す方を優先したのか、それ以上の追及はなかった。
「それにしても、仮免登録以来だから久しぶりだね、ここ」
「だな。かれこれ2年半以上ぶりか」
「そしてこれからは、ここがメインの活動拠点になるわけだ。息も整っただろ、行こうぜ相棒」
「うん」
――この場所が、これからの俺たちの生死を分ける場所になる。
さぁ、未知を楽しむ気持ちを忘れずに行こうか。
俺たちはDEAの中へ入る。
この三河支部は比較的新しく、各階で役割がきっちり分担されている。
今回の目的は、冒険者登録などの手続きがメインの2階だ。
「仮免の時も思ったけど、書くこと多すぎない?」
「お役所仕事だしね。仕方ない部分もあるんじゃないかな」
「それに僕たちは仮免がある分、これでも免除されてる方だよ?」
「まぁ確かに。仮免の時よりは少ないか」
正直、仮免登録の時は昨今のアプリ利用規約かってくらい文章とチェック欄が並んでいた。
それに比べれば今回は住民票5枚分程度。楽になったと言えば楽だが、今さら大怪我や命の保証云々を読まされるのは面倒だ。
――そんな覚悟、とっくの昔に済ませてるっての。
「っと、俺は書き終えたから先に発券してくるぜ」
「ん、おっけー」
今日は平日ということもあり、思ったより早く順番が回ってきた。
「本日のご用件は、冒険者登録でよろしかったでしょうか」
「はい、そうです」
「かしこまりました。では書類の提出をお願いします」
俺は先ほど書いた書類と、先生から受け取った推薦状を差し出す。
職員さんはそれを見るなり、わずかに目を見開いた。
「……制服を見て、もしやと思いましたが」
「少々確認が必要になります。お時間をいただいてもよろしいでしょうか」
「大丈夫です」
「ちなみに、どれくらいかかりますか?」
「仮登録時のカードをご提出いただければ、そのまま進められますので、1時間前後ですね」
「了解です。ではカードをお願いします」
「ありがとうございます。後ほど同じ番号でお呼びしますので、建物内でお待ちください」
仮免も推薦状もあるし、もっとサクッと終わると思ってたが、まぁそう甘くはないか。
ちょうど腹も減ったし、相棒も同じ感じだ。飯にするか。
「相棒、サイセ行こうぜ」
「1階にあったよね。いいよ」
――――――
『番号札〇〇、番号札〇△の方、3階305会議室へお願いします』
腹ごなしを終えて戻ると、ほどなくしてアナウンスが流れた。
周囲の冒険者たちが、わずかにざわついた気がする。
「あれ、会議室だってさ」
「推薦状出してるから、まとめて説明する感じじゃないかな」
「そういう感じか。ただ、なんか周り浮ついてるような気もするが」
「まぁ気にしても仕方ないか。呼ばれたし行こうぜ」
「そうだね。職員さんも忙しいだろうし」
俺たちが階段の方へ向かうと、数名の冒険者がこちらに視線を向けていたが、今は気にしないことにする。
さて、寝落ちしないよう気合い入れていくか。
…頼むぜ職員さん。話が長くてもいいから、せめて面白くあってくれ。
Q.
登録に必要な情報が多いのはなぜ
A.
ある程度の知能、もしくは人脈をダンジョンは求めるため
あとは中途半端な覚悟で探索者になって無用な犠牲を出さないようにするため
知能があれば読んで必要な情報を記載することができる
人脈があればどこに何を記載すればいいかを聞きながらできる
少なくともどちらかができる人間なら、初心者としてやっていける
そういう方針のもと、日本のDEAはこの登録方法を採用している




