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クラン 魔を狩りし者へようこそ ~深淵を目指す英雄見習いコンビ~  作者: 鎖月 弥生
第1章 駆け出す英雄見習い

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第17層目

 案の定、俺らが光に近づくと一定の距離を保ち、まるでこちらを案内するかのように逃げていく。

 光に注視しすぎると見落としそうになるほど細いけもの道を、相棒と共に駆け抜けて追いかける。


 草木を掻き分け、木の根を飛び越え、枝を斬り払い、こちらを煽るように揺らめく光を追い続けること十分。


 いい加減フラストレーションが溜まり始めた頃、唐突に視界が開けた。


 目の前は広場のようになっている。

 漆塗りの鳥居の奥には、こじんまりとした神社が佇んでいた。


「こんなところに神社ねぇ」

「相棒、ここの情報は?」


「残念だけど一切ないよ」

「ただ、ダンジョンには稀に隠しエリアが存在するって言われてるから、ここもその一部なんだろうね」


「あぁ、あの都市伝説まがいのやつか」

「半信半疑だったが、本当にあるとはなぁ」


 ダンジョン出現から二十年。

 様々な情報が世間に出回っているが、その中には真偽不明の都市伝説めいた噂もある。


 隠しエリアもその一つだ。

 辿り着ければ新たな力が手に入る――らしい。


 ……とりあえず、存在が証明されたのはありがたい。


 俺はその都市伝説の一つに縋っている身だ。

 信憑性が上がるってもんだ。


「ちっ、にしてもあのクソフェネクスはどこに行きやがった」


「確かに。どこに行ったんだろうね」


「あいつの毛皮をはぎ取ってやりたかったんだがな」

「まぁ、神社の前で戦闘なんて罰当たりか」


「それもそうだね」

「せっかくだし、散策がてらお参りしていこうよ」

「この神社、うちの裏山の神社に似てて親近感が湧くから参拝していきたいんだ」


「確かに似てるし参拝していくか」


 この規模の神社なんてどこも似たようなものだろうが、確かに雰囲気が近い気がする。


 相棒は鳥居の前で一礼し、端をくぐって中へ入る。

 賽銭箱の前で行くとこちらを振り返った。


「ほら、カルマもこっち来なよ!」


「ほいよっと」


 俺も相棒と同様に鳥居をくぐり、賽銭箱の前に立つ。

 ……本坪鈴(ほんつぼすず)まであるのか。本格的だな。


「ダンジョン内の神社って、ご利益なんになるんだろうな」


「ドロップ運上昇とか勝運とかかな?」


「どうせなら願望成就で頼む」


 五百円玉を賽銭箱へ入れる。


 二礼。

 二拍手。


 ――戻りますように。

 そのための困難に打ち勝つ力を。


 一礼。


 目を開けると、相棒も願い終えたところだった。


「相棒、何を願っ――」


 振り返った瞬間。

 そこには、先ほどまで存在していなかった宝箱が鎮座していた。


「なぁ相棒。宝箱なんてなかったよな」


「少なくとも、さっきまではね」


「……何を願った?」


「宝箱が欲しいとは言ってないよ。そっちは?」


「同じくだ」


 会話を交わしつつ距離を詰める。

 ……本当に賽銭箱とサイズ変わらねぇな。


「直感先生の反応はなし」


「開ける?」


「もちろん」


 蓋を開き、漆黒へ腕を突っ込む。

 なになに――スキルオーブが二つか。


 ……二つ!?


 爆速で腕を引き抜く。

 水色の野球ボール大の玉が二つ、確かに握られていた。


『これより、英雄選定を開始する』


 脳内に響く声。

 同時に直感先生が警告を発する。


 相棒を突き飛ばし、二人して地面を転がる。

 直前まで立っていた石畳が陥没していた。


 土魔法か!


「相棒、これ砕け!」


 オーブを一つ押し付け、自分も砕く。


 ――なるほど。俺の願いの産物かもしれんな。


「ステータス」


 ソウル:極限集中オーバーロード

 スキル:剣術、直感、天の眼(スカイアイ)(NEW)、水魔法


 さぁ、不届き者。

 このダンジョンで唯一土魔法を使える小火姫狐(ファイアフェネクス)を探すとするか。


「天の眼」


 ……はは、面白ぇ。


 右目は通常視界。

 左目は――TPS視点。


 視点移動は……意思で操作可能か。


 酔う前に片付けるぞ。

 クソフェネクスをな!!!



 ―――――



 ……と、まぁそんな感じで意気込んで小火姫狐をぶちのめし。

 安堵したのも束の間、小火狐が複数出現した時点で、俺たちは確信した。


 これはモンパニ――モンスターパニックだと。


 モンパニは、ダンジョン内に一定以上のモンスターが存在すると発生すると言われている。

 その際、近くにいる冒険者へ階層を無視して襲い掛かる。


 ウェーブ制で進行し、間隔はまちまち。

 ウェーブ数はダンジョンの総階層数と等しいとされている。


 ……言われている、されている。

 不確定要素が多くて嫌になる。


 【火花】は全十五階層。


 つまり、世間一般に言われている仮説通りならようやく折り返し地点というわけだ。


 俺は酔わないように切っていた天の眼を再発動する。


 ……脳の処理がバグりそうだ。


 これ、効き目側で発現してたら詰んでたかもしれん。

 左目だから、薄く全体把握する感覚でまだ使えている。


 3wave目でメイン視界にしようとして、視点移動に慣れずに酔いかけた。

 危うく小火狐に燃やされるところだった。


 これ以上、学園支給の戦闘用ジャージを破損させるわけにはいかねぇ。


 軽い復元スキルは組み込まれているが、あくまで応急処置レベルだ。


 この年になって短パンわんぱく小僧になるのは辛いんだよぉ!!!


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