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クラン 魔を狩りし者へようこそ ~深淵を目指す英雄見習いコンビ~  作者: 鎖月 弥生
第0章 選定される英雄見習い

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1/10

プロローグ

はじめまして、初投稿になります。


本作は「二人で一人」をテーマにした現代×ダンジョン×ファンタジーです。

拙い部分もあるかと思いますが、二人が英雄になるまでの軌跡を、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

 2000年1月1日 0時0分。


 イギリス・グリニッジ天文台がこの歴史的瞬間を迎えたとき、大地が、そして世界が震えた。

 世界各地で同時に発生した地震は震度7以上を記録し、揺れは3分以上続いた。


 人々は恐怖と混乱に包まれ、都市は悲鳴と警報の音に満ちた。

 ようやく揺れが収まり、避難を開始しようとしたその瞬間——。


 世界中のテレビ、ラジオ、電話、スピーカーなど、音を発するあらゆる機器から、一斉に謎の音声が流れ出した。

 それは音声を耳にした人が、最も理解しやすい言語で、否応なく脳へと届く。


『久しいな、忌々しい人類』

『我らはあの時、貴様らに受けた屈辱を、一時たりとも忘れたことはない』

『ゆえに、ここに宣戦布告する』

『貴様ら人類を殲滅する……人魔対戦を再開する』


 それだけを告げると、音声は突如として途切れ、機器は元の状態に戻った。

 人々が震災による被害を確認し始めたころ、さらなる異変が発覚する。


 世界各地に、突如として漆黒の箱が出現していた。

 突如現れたその箱は、元々その場に存在するものを押しのけるように現れ、不気味なほど統一された規格で、威圧感を放っている。


 これは異空間へと繋がる“門”であり、その内部には、この世の生物とは異なる怪物が潜んでいた。

 人々はこれを【ダンジョン】と呼ぶようになった。


 有史以来、最大規模の被害をもたらした《人魔震災(じんましんさい)》から、20年の時が流れた。


 人類は混乱と絶望の中で生き延び、やがて新しい常識に順応し、生活は安定していく。

 正義感、惰性、知的好奇心、欲望——。様々な思いを抱いた者たちが、怪物の巣食うダンジョンへと足を踏み入れていく。


 ――そして二十年後。


 ダンジョンが日常になった世界で、

 その“再開された戦争”に、否応なく巻き込まれる二人の少年がいた。


 この物語は、ダンジョンが乱立する世界を生きる未来で、英雄と呼ばれる二人の冒険者の物語である。


 ―――――――


 2020年7月某日。


「クラン《魔を狩りし者(まをかりしもの)》の結成を祝ってー! カンパーイ!!!」


「乾杯!」


 数多の苦労を乗り越え、ようやく手に入れたクランハウス。

 俺たちは、これまでの頑張りを労う祝賀会を、2人で開いていた。


「やっとスタート地点に立てたな、相棒(サズキ)


「うん、ようやくだね」


 対面に座る黒髪の美青年が、シャンパンの入ったグラスを傾けながら、微笑む。


「ここまで一年と少しか。早いと思うか、もう少し短縮できたと思うか、悩むところだな」


「うーん。一般的な冒険者がDランクに上がるのに2、3年かかるってよく聞くから、僕たちはかなり早い方だと思うよ?」


「確かに。となると、俺たちはそこそこ順調ってことか」


「慢心はしちゃダメだけどね」


 相棒の言葉に、俺は苦笑する。


「そりゃそうだ。この業界は、慢心した奴から死んでいく」


 この一年で知り合った同業者は数多い。

 しかし、その半数は、いつの間にか音沙汰もなく、姿を消していた。


 それが意味することは、一つしかない。

 彼らはダンジョンに呑み込まれ、二度と戻ってこなかったのだ。


「まあ、しんみりするのは、また今度にしようよ、カルマ」


 そう言いながら、相棒がグラスを掲げる。


「そうだな。今日は、俺たちの記念日だもんな」

「よっしゃ、もう一度、乾杯といこうぜ!」


「もちろん!」


「それじゃあ、俺たちのさらなる躍進を願って——」


「「カンパーイ!!!」」


 宴が始まって1時間が経つ頃には、お互いにアルコールが程よく回り、口数が気づけば増えていた。


「にしてもよ、ここまで来るだけでも割と波乱万丈だったよな」


「学園を卒業して、その足で冒険者登録をして、そこから色々あったもんね」


「ほんとになぁ。まあ、そのおかげでこのペースでここまで来れたってのもあるか」


 そう、ほんとに、ここまで来るのに色々あったもんだ——。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


この後、22時に第1層目~第3層目をまとめて投稿予定です。

もし続きが気になりましたら、

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