街へ
ノルデンの街。
貴族は住んでいないが、貿易中核都市として、栄えている。
冒険者ギルド、薬師ギルド、錬金術ギルド、商業ギルド、鍛冶ギルド、治療院、創世神教の教会、図書館など大体のものが揃っている。
北が俺が来た森。
西の川を超えた先には、また別の都市。
東には、王都アルデオールがある。
南にまっすぐ行くと港街もある。
結構キレイに整備されているので、ネズミは駆除されてしまう可能性もあるらしい。
貧民街もあるので、そこなら大丈夫かもしれない。
らしい。
叡智さんは、本当にいい仕事をしてくれる。
明日の朝、門から忍び込んで、貧民街を目指そう。
ネズミに転生した俺は、森での暮らしに区切りをつけ、さらなる進化のために、魔法スキルを身に着けに行くのだった。
夜のうちに外壁の周りを見ておこう。
草原だ。
夜でも、モンスターとか出るのだろうか。
ちなみに叡智さんによると魔力の淀みから出来るのが、モンスターと呼ばれるものらしい。
この世界は、魔力にあふれているので、淀みは至るところに出来ると言われている。
淀みから生まれたモンスターは独自に繁殖することもあるそうだ。
こっちの世界の人間からしたら害獣にしか見えないのかもしれない。
そして、この世界には、動物もいる。
動物の体内には、魔石はないらしい。
人間にも魔石はないのだとか。
さて、そんな話を思い出していたら、スライムに遭遇した。
ポヨポヨ跳ねている。
半透明の体には、しっかり魔石も入っているのが見えた。
一応鑑定してスキルを持っていないか確認する。
自己再生というスキルを持っていた。
便利そうなので、コピーさせてもらった。
余計な騒ぎになってもしかたないので、俺は、スライムは攻撃せず、門の見える位置で休んだ。
朝になる。
まだ、門は開かない。
そりゃあ、夜明けから門番さんも働かないよな。
鐘が8回なると、門が開いた。
冒険者たちがたくさん出てきた。
軽くスキルをコピーしていく。
料理、夜の目、索敵、テイムのスキル。
火属性、闇属性の魔法。
インパクト、ブレイクの技。
をコピーでもらった。
誰もいなくなってから、こそっと街に入る。
警備はザルだった。
とりあえず路地裏へ行く。
街の様子を見ながら、歩く人を鑑定していく。
商人らしい人から、異空間収納のスキルをコピーできた。
とりあえず、これでいい。
なんだかドキドキする。
見つかったら、結構騒ぎになりそうだからな。
貧民街へと路地裏を走っていく。
スキルとかの確認もしたいが後。
でも、欲しいスキルも魔法も手に入ったはずだ。
貧民街は、臭いのかもしれない。
独特のにおいだった。
ネズミの鼻には、あまり関係ない。
ところで、貧民街に入ってから、小さいモンスターの群れが追ってきている。
俺も小さいのだが、まあ、いいとして。
ちょっと、気になるので、空き地に誘導した。
空き地で待っていると、5匹のネズミがやってきた。
こちらに敵意を持っているようだ。
俺は、どうしようと思ったが、なんか仲間っぽい気もしてきた同じネズミだし。
そこで、門の外の冒険者からコピーしたテイムを使ってみようと思った。
テイムを使うと5匹とも大人しくなった。
一番大きいのを鑑定する。
洞窟ネズミLV3/LV15
ステータス
生命力5/5
精神力5/5
魔力5/5
体力4/4
スキルなし
魔法なし
技なし
なんか、お腹すいてるみたいだな。
こいつら、もしかして、俺のこと食べようとしてたのか?
見るとつぶらなひとみでこっちを見てきてやがる。
ったく、仕方ないな。
俺は、洞窟ネズミを待たせると、無属性の身体強化の魔法を使って、素早く表通りに出た。
果物屋を見つけて、隙をついて、りんごっぽい果物を3つばかり異空間収納に入れる。
いつか、お金払います。
すみません。
心の中で謝罪する。
速攻で、戻って、りんごっぽい果物を洞窟ネズミたちに出してやった。
洞窟ネズミたちの嬉しそうな雰囲気が伝わってきた。