冬
森は、どんどん寒くなっていった。
俺は、風をしのげるうろの底で丸くなっている。
あれからクマも見ていない。
多分、クマも冬眠準備をしていることだろう。
1日1日ふるふる震えていると、すごく暇になる。
時々、うろの外を見るが、やはり風は冷たい。
そんな日々を送っていたところ、冒険者風な3人が、森の奥に入っていくのを見つけた。
スキルを盗もうとしたが、寒くて集中出来ない。
頑張って、やっとコピーしたのは、光属性の魔法だった。
クマの雄叫びが響く。
どうやら、冒険者4人で、あのクマを倒しに来たようだ。
ステータスを見る限り、倒せるとは思ったが、野生の本能が出ると結構やばそうだった。
野生の本能は、生命力が下がるほど能力が上がる効果があったからだ。
ほどなくして、3人は、無事に帰って来る。
3人のうち2人はレベルも上がっている。
割と余裕そうだ。
手ぶらなのは、異空間収納のようなものがあるからだろうか?
3人は、俺の目の届く範囲で、休憩しだした。
人間:剣士 LV17
ステータス
生命力25/38
精神力8/30
魔力10/10
体力2/45
スキル
見切りの才LV27
技
スラッシュLV12
「硬いのはやっかいだったが、俺の新調した剣なら余裕だったぜ。」
人間:僧侶 LV15
ステータス
生命力20/20
精神力4/28
魔力8/35
体力8/8
スキル
魔法高速発動LV8
魔法
水属性LV5
光属性LV5
複合聖属性LV5
「回復魔法とバフがなかったら、結構しんどかったんじゃないですか?」
人間:戦士 LV25
ステータス
生命力16/45
精神力8/40
魔力2/13
体力12/34
スキル
農業LV8
盾強化LV15
魔法
無属性LV10
技
挑発LV23
パリィLV12
「二人共すごい活躍だったよ。ギルドには、Dランク合格って伝えとくよ。」
「やった!」「ありがとうございます!」
3人が談笑している間に、スキルをコピーしていく。
今日は、本当にラッキーな日のようだ。
見切りの才、魔法高速発動、農業、盾強化、水属性、無属性、複合聖属性、スラッシュ、挑発、パリィ。
どこで、使うかわからないスキルもあるが、まあいいだろう。
大収穫だ。
冬は続く。
あの3人の冒険者の後には、1人も人間は現れなかった。
雪が降る。
本格的に寒い。
体もプルプル震えている。
うろから外を見るも絶対に雪の地面には降りたくない。
そんな日。
雪とともに、舞い降りてきたものがあった。
氷の小精霊LV1
ステータス
生命力1/1
精神力1/1
魔力2/2
体力1/1
魔法
水属性LV1
風属性LV1
複合氷属性LV1
俺は、氷の小精霊たちのホタルのような輝きにわびしさを感じながら、魔法をコピーしていった。
やることはやる。
途中で寒くなって、落ち葉のベッドに入るまで、コピーは続いた。
氷の小精霊たちは、倒さなかった。
倒して、アリの時みたいになったら、冬では、負けてしまうと思ったからだ。
雪もまだ積もっているし…。
雪解け。
いつの間にか、氷の小精霊たちは、いなくなっていた。
俺はというと、暇な時間は、スキル、魔法、技を鍛えてレベルを上げた。
叡智は結構暇つぶしに使えた。
雪に関する物語、とかで検索すれば、色々出てきた。
雪の精霊と人間の男の悲恋の話とかは、どこかで聞いたことがあるような話だった。
やっぱり、物語って、どこか根本は似ているのかもしれない。