龍の里
龍の里に行く俺達は、たまにはということで、人化していた。
仲間ネズミも人化できるのだ。
「この姿、落ち着かない。」
「あなたはこっちの方が好きみたいだけど…。」
「この姿だったら子ども産める?」
可愛い女の子に囲まれるのは、なんとも…。
エレオノーラは、こっちに少し軽蔑の視線を向けた。
「あなた、最初の時、私のパンツばかり見てたよね。っていうか、転生者だってのも結構前に気づいてるからね。」
「てんせーしゃって?何?」
「つよいの?」
「まあ、今じゃ、私も転生者みたいなものだけど…。」
龍の里出は、のんびり過ごし、のんびり試練を受けた。
世界樹の種を芽吹かせたり、魔力だまりの温泉につかったり、龍に稽古をつけてもらったり。
仲間ネズミは大変と言っていたが、俺とエレオノーラには、完全にバカンスだった。
エレオノーラは、適当に魔法で、肉体を作ると剣を持って、どんどん技術を吸収していた。
無属性の魔法を極めていくとこんなことも簡単になる。
精神魔法で、相手の攻撃を先読みし、吸収魔法で、減った魔力も回復する。
強くなり続ける永久機関だ。
そして、エレオノーラにできることは、俺にも出来るし、俺の場合は、集めていたスキルもあるので、もっと楽だった。
最後の試練は、龍秘宝という死んだ龍の残す魂のかけらを食べるという試練だった。
失敗すると死んだ龍に体を乗っ取られてしまうのだとか…。
みんなクリアしていた。
「龍って死んだりするのか?」
「生まれてくるから数も増えるだろ?弱いのは、間引かれるんだよ。」
「ヴァルムートは大丈夫だったのか?」
「俺は若いし、伸びしろもかなりあるそうだ。変なことしてなきゃ大丈夫とは言われたことがある。っていうか、お前のその質問。俺が弱いって聞こえるぞ。」
「他意はないさ。お前の強さはわかってる。」
そう、こいつはかなり強い。
龍光線を吐いて海を割ったこともあるからな。
龍の里から帰る。
龍の里の皆さんは、有効的で人格者だった。
帰り際に、俺とエレオノーラは、世界の理から外れた古龍、いわゆるゾンビ古龍の討伐を依頼された。
数は、結構多かったので、暇な時にでもやってみようということになった。
帰りは転移で一瞬だった。
それからしばらく、俺たちは表舞台から姿を消した。
が、時々、死んだはずのエレオノーラの名前で、リスティオ魔導学院に革新的な魔法論文が届くようになり、エレオノーラの元弟子やエレオノーラのファンは、大騒ぎになったりしている。
「お客さん、多いですよ!」
「いや、それで合ってるよ。実は前に、何個かちょろまかしたことがあったから。」
「え、そうなんですか?そういうことなら、遠慮なくいただきますけど、もうちょろまかさないでくださいね。」
「はい。すみません。あ、君のおばあさんか、おかあさんにあの時はすみませんでしたとも伝えて下さい。」
りんごっぽい果物をたくさん異空間収納に収納して、足早に去る青年。
それを変な目で見る果物屋の女の子。
空は、雲一つなく晴れていた。




