それから…
「あなた、結局、従魔契約の期間は応相談って言っておいて、一生尽くしてくれましたね。」
俺達は、ベッドで横になるエレオノーラの顔の近くで話を聞く。
「魔法の深淵。あの子は、戻ってこなかったけど…。」
アレクシア。
魔法無属性LV1800超えの化け物転移使い。
俺とエレオノーラで、新しい転移理論を構築すると食いに来て、結局、突き抜けて、今、どこにいるのやら。
「ねえ、ねずみさん。最後に私なりの魔法の深淵を見てくれる?」
エレオノーラは、起き上がり、魔力を増幅させる杖を持つ。
「叡智。」
一言つぶやく。
彼女の周りに魔力が渦巻く。
彼女の肉体が、魔法叡智に合わせて、再構成される。
「不思議ね。でも、悪くないわ。だから行ってしまったのね、アレクシア。この先に行ったら多分戻ってこれない。」
魔力が胡散する。
がくりと倒れるエレオノーラ。
俺は、エレオノーラを風魔法で受け止めて、ベッドに寝かせた。
「…ありがとう。ねずみさん。私は、今、幸せだわ。あとは、よろしくね。」
そのまま、エレオノーラは息を引き取った。
エレオノーラの葬儀を見ながら思う。
俺は、70年ぶりのフリーなモンスターになったのか。
エレオノーラは最後に叡智の危険性を教えてくれたのだろう。
エレオノーラとの思い出が頭をよぎる。
魔導学院をスタンピードが、襲った時、一騎当千で戦ったこと。
エレオノーラの実家に、付き合っている男のフリをして出向いたこと。
世界を見たいと言ったエレオノーラについていき、世界中を旅したこと。
ひたすら、2人で叡智から魔法を解析していき、三日三晩寝ないで論文を書いたこと。
どれも、楽しい思い出だ。
仲間ネズミたちも、寂しそうにしている。
塔の上から、エレオノーラが、埋葬されるのを見る。
いつかの約束。
もう20年前からの約束。
「私が死んだら…。」
俺は、召喚魔法と従魔契約を行う。
弾かれる契約。
相手が交渉してきた。
俺は、ほとんど、のむ形で契約が結ばれる。
賢者レイスLV1/LV100
ステータス
生命力85/85
精神力120/120
魔力360/360
体力35/35
スキル
叡智LV1
魔法の才LV243
魔法
たくさん。
「一週間ぶりかな?」
エレオノーラだ。
新しい従魔契約。
エレオノーラと賢者ネズミは双方対等とする。
「死後の世界は中々すごかったよ。」
俺は、テンションの高いエレオノーラにたじたじだ。
そこへ、レインとヴァルムートが転移でやってくる。
「お前ら…。いや、いい。規格外だったのは昔からだ。」
「落ち込んでるだろうと思って、龍の里を案内しようと思ったんだが…。これは、必要なかったか。」
レインは半龍人となり、学生時代から少し成長した姿で若いまま。
ヴァルムートは、全然変わっていない。
俺とヴァルムートは、おばあさん教師改めおばあさん理事長から時々、無理難題をふっかけられ、世界中を飛び回った仲なのだ。
おばあさん理事長?
あの人も行方不明になっているそうだ。
叡智でなら探せないこともないだろうが、そこまでしたくない。
まあ、ともかく、ヴァルムートと俺はそういう仲なのだ。
「龍の里へは行きたい。」
仲間ネズミたちの進化のため、いつかは行きたいと思っていた。
ちなみに、1番大きい子は天魔ネズミ。
中くらいの2匹は、雷魔ネズミ、影魔ネズミ。
チビたちは、爆発魔ネズミと嵐魔ネズミになっている。
レベルも上限だが、これ以上は、特殊な条件をクリアしないといけないのだそうだ。
「こんな、晴れた日にしめっぽいことしてないで、早く行こう!」
学生時代の姿のエレオノーラは、自分の葬儀の最中なのに不謹慎なことだ。




