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ショートショート7月〜3回目

ぼたもち

作者: たかさば

小豆と砂糖を、ぐつぐつ…ぐつぐつ

柔らかくなったら、丁寧につぶしていく


もち米を炊いて、すりこぎ棒で…もっちゅ、もっちゅ

まとまってきたら、つくねて丸めていく


両手に塩水をつけて、あたたかい半殺しのもち米を…にぎ、にぎ

全部丸めたら、あんこでつつんでいく


もち米が見えないように、そっと…ぺた、ぺた

完成したものは、お重箱に詰めていく


ずらりと並ぶぼたもち…うん、全部すごく美味しそう


我が家では、春も夏も秋も冬も…季節を問わず、ぼたもちを作る


季節によって、呼び方が変わるとか、なんとか…

おはぎ、ぼたもち、夜船、北窓…風流なこと


うちでは、もち米をあんなどで包んだものはすべて…ぼたもちと呼んでいる


こしあんだろうが、粒あんだろうが、キナコがまぶしてあろうが、丸っこかろうが、小ぶりだろうが、大ぶりだろうが、全部ぼたもちという名称をつかっている


うちのぼたもちは、ちょっと柔らかめに炊いたもち米を使うのが特徴だ

柔らかめに炊くことで、素早く餅っぽさを出すことができるから


うちのぼたもちは、ちょっと塩が効いているのが特徴だ

潰したもち米を塩水でにぎって、素早く丸めるから


我が家には、先祖代々伝わる…ぼたもちのレシピがある


いつ頃から引き継がれているのかは定かではないが…確かに伝わっている、確かなものだ


昔は、もち米を蒸し器で蒸していたけれど…祖母の代で炊飯器を使うようになった

昔は、塩を入れてもち米を炊いていたけれど…母の代で塩水でもち米を丸めるようになった


先祖代々伝わるぼたもちは、時代時代で新しい発想を受け入れながら…変わらぬ美味しさのまま、受け継がれている


……今年も、お墓に持って行かなければね

ご先祖様たちに、ちゃんと皆さんの愛した味が伝わって…現代に残っていますよと、報告しなければね


ずいぶん風変りになっているから、驚かれるかも…知れないけれど


つぶあんにキナコにずんだ、桜餅風味、イモあん、フリーズドライイチゴフレークまぶし、カレー入りに、甘納豆ミックス、ピザ風味…


正直、ちょっと…私の代でやらかしてしまった感は否めない


……どうか、ご先祖様たちに、怒られませんように


私は、少しだけ祈るような気持ちで…お重箱のふたを閉めた

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